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月に2000人が訪れる東京・神田にあるバーバーが発信する「らしさ」とは?

ブームはいつか去る。その後に残るのは自分のスタイルがある店だけ。

  • 渡部 智寛/THE BARBA TOKYO(ザ・バルバ・トウキョウ)

月に2000人が訪れる東京・神田にあるバーバーが発信する「らしさ」とは?_記事画像

東京・JR神田駅から2分という好立地な場所にお店を構える、アメリカンなバーバー、THE BARBA TOKYO。このお店のオーナー・渡部智寛さんへインタビュー。理髪店の平均来客数は月に100人ちょっとと言われるなか、THE BARBA TOKYOは2店舗合わせて2000人が訪れると言います。その集客の秘密に迫りました。

バーバーの店舗デザインも手掛ける理容師…大切にしたのは"本物"ということ

ーーいつ頃から独立を考えていましたか?
理容師を志した時です。学生の頃から自分の考えを持って貫くタイプだったので、自分のスタイルに合った店をつくりたいと思っていました。なので、開業するまでは国内外に約20店舗を展開する「ヘアーサロン銀座マツナガ」に勤めていましたが、借金せずに済むよう計画的に貯蓄していたんです。ただ、お世話になった会社の恩義に報いるため、店長を務めた店の売り上げを全店トップにし、後進をしっかり育ててから独立しました。それが2013年です。

バーバーの店舗デザインも手掛ける理容師…大切にしたのは"本物"ということ

ーー渡部さんのバーバー(理髪店)は内装にすごくこだわっていますよね。
父親の影響で、幼少の頃から50年代のアメリカンカルチャーが好きでした。当時の映画に登場するキャデラックやハーレーダビッドソンなどに憧れて育ったので、その世界観をつくりたかった。大切にしたのは"本物"ということ。自分は「〇〇風」とか「〇〇っぽい」という言葉が嫌いなんです。だから、店舗デザインも自ら手掛けたし、インテリアもアンティークショップを巡って納得できる物だけを買い付けました。自分でやったぶん満足いく店になったし、結果的にコストも抑えることができました。
神田(※東京駅から1駅)に開業したのは、第一に前の店が東京駅のすぐそばだったから。指名いただいていたお客様のアクセスを考えてのことです。それに、お洒落な理美容室が集まる原宿や恵比寿より、神田の方が目立つだろうと思いました。神田って安い飲み屋が軒を連ねているイメージがありますが、うちは100メートルも歩けば外堀通りに出られて大手町駅も近い。品のいいビジネスマンがたくさん通るのを見て、「ここならいける!」と確信しましたね。

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月に2000人が訪れるバーバーになった理由は〇〇〇〇〇

ーーオープン以来大人気で2015年には2店舗目をオープン。合わせて月に2000人が訪れる評判の店になった、その成功の秘訣は何でしょう?
技術に自信があるのはもちろんですが、うちのコンセプトに共感してくださっているのだと思います。もともとバーバーは男の社交場でした。50年代のアメリカでは身だしなみを整える場であるとともに、待ち時間にお酒を飲んだり葉巻を吸ったりしながら談笑するサロンだったんです。自分は「MANCAVE(男の隠れ家)」をコンセプトに、店を男同士で趣味嗜好の話をする空間にしたい。だからこそ、デザインやファッションにこだわっているんです。
今年の春(※取材は2017年1月)に3店舗目を出す予定ですが、そこは飲食店とのコラボレーションを計画しています。バーバーと飲食店をガラスで仕切って一体感を出し、カットの前後のちょっとした時間に一杯飲めるような場にしようと思っています。アメリカではハンバーガショップや古着屋などが併設しているバーバーも多いんですよ。

月に2000人が訪れるバーバーになった理由は〇〇〇〇〇

同じようなコンセプトのバーバーが続出。抗議をしたら…?

ーー最近はそのアメリカを起点としてバーバーブームが再燃し、お洒落なバーバーも増えていますね。
確かにブームと言われていますが、自分は「ブーム」という言葉が好きじゃないんです。仕事はブームに乗ってするものではない。実は昨年、うちを真似た店を10店舗くらい発見したんです。レイアウトまで同じ店もあってさすがにひどいので抗議したら、みんな謝罪してきました。「憧れてつい……」と言って。真摯な態度をみせてくれたのでそれで終わりにしましたが、一番言いたかったのは自分らしさを出すべきだということ。
理容師は個性が活きる仕事です。自分はアメリカのバーバーカルチャーが好きで、この業界に入った頃から今のような店を目指していました。だからブレることがありません。でも、ブームに乗るだけではそのうち飽きられるし、自分自身もつまらなくなるのではないでしょうか。自分の意思を出した店だからやりがいがあるし、それに共感するスタッフ、そしてお客様が集まってくれる。そう信じてやっています。

お客様の第一ではなく、スタッフ第一?理容師でもあり経営者でもあり続けることの秘訣とは?

ーー多くのスタッフを束ねる経営者として気を付けていることはありますか。
「お客様が第一」とよく言いますが、自分はまずスタッフを一番に愛さないとだめだと思っています。一人ひとりの個性を見つけ、伸ばしてやるのが経営者の務め。技術の向上に加えて、それぞれに役割を与えて組織に必要な存在だと伝えています。SNSもそのひとつ。スタッフががんばって発信してくれるおかげでご新規様が月に200人ほど来店してくださいます。SNSはカット後のお客様のヘアスタイルを掲載しているのが好評なようです。
もちろん、褒めるだけではいけません。ファッションは個性を尊重しますが、挨拶や喫煙マナーなど、人としての礼儀作法は厳しく指導しています。そうやってスタッフを育てることが店のイメージに繋がる。そもそも仲間を愛せない人間が、もっと遠い関係のお客様に気持ちを込めた接客なんてできないと思うんです。
だから3店舗目をオープンさせたら、しばらくは社員教育と店づくりに力を入れるつもりです。広く展開することよりも、自分が好きなバーバーカルチャーをしっかりと根付かせることのほうが大切ですからね。

お客様の第一ではなく、スタッフ第一?理容師でもあり経営者でもあり続けることの秘訣とは?

渡部 智寛

渡部 智寛

1982年北海道生まれ。通称TOMさん。幼い頃からアメリカンカルチャーの影響を受けて育つ。専門学校卒業後、「ヘアーサロン銀座マツナガ」に就職。約10年勤務し、店長を務めた東京駅店では個人・店舗とも社内トップの売り上げを達成した。2013年に独立して「THE BARBA TOKYO」をオープンするとたちまち評判になり、15年には2号店を出店。17年春には飲食店とコラボレーションした3号店を開く予定。

THE BARBA TOKYO(ザ・バルバ・トウキョウ)

THE BARBA TOKYO(ザ・バルバ・トウキョウ)http://thebarbatokyo.com
東京都千代田区内神田3-4-12 トーハン第7ビル1F

JR神田駅から徒歩2分の理髪店。「男の隠れ家」をコンセプトに50年代のアメリカを彷彿とさせる空間が広がる。カットやパーマ、シェービングはもちろん、フェイシャルマッサージやネイルポリッシュなど豊富なメニューを用意。20代~70代まで、2店舗合わせて月に2000人が訪れる人気店となっている。

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