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最近話題のエリア:奥渋谷。エッグタルトというお菓子の専門店で、行列を作るまでになった「ナタ・デ・クリスチアノ」さんのこだわりや、経営の展開について、店主の佐藤なつみさんに伺いました。
ターゲットは奥渋谷のご近所さん。エッグタルトのようなお菓子をリピートしてもらうために絶対に必要なものとは?
ーー「ナタ・デ・クリスチアノ」はエッグタルトの専門店。どのような経緯でお店を開かれたのでしょうか?
主人がヨーロッパでシェフをしていたことがきっかけで、2010年にポルトガル料理のレストラン「クリスチアノ」をいわゆる奥渋谷、渋谷区富ヶ谷で始めたのですが、利用してくださるご近所のお客様も多かったんです。そうした方々に、もっと気軽に私たちのお菓子や惣菜を楽しんでいただきたいと考え、2013年にポルトガルの伝統菓子であるエッグタルトを主力とした「ナタ・デ・クリスチアノ」をオープンしました。当時はまだエッグタルト自体が日本では物珍しかったですからね。
洋菓子店というと、ガラスのショーケースに色とりどりのケーキが並んでいて……という雰囲気を想像しがちですが、うちでは陳列はせず、工房でお菓子を作っている合間に小窓から注文をお受けする方式。販売している商品も素朴な焼き菓子が中心です。もともとターゲットがご近所さんで、買い物や仕事帰りの道すがら、菓子工房から漂うバターの香りに誘われて、「ちょっと1個売ってくれる?」と気軽に顔をのぞかせるようなイメージにしたかったんです。海外では、製造工場の裏口から近所の人が買いに来るという光景がよく見られるんですよ。ーーそれが今やご近所のみならず、遠方からもたくさんのお客さんが来店し、行列ができるほどの人気店だとうかがっています。
このエッグタルトのお店にしてもレストランにしてもリピーターのお客様が多く、口コミで広げてくださっていると思うのですが、そういった中で評価していただいていることは、やはり"味"だと思います。ベーシックな材料のみの素朴なお菓子だけに、食材には徹底的にこだわり、生産者の元に自ら足を運び、吟味して何度も試作を重ねました。ーーその味という点では、どのようなこだわりを持っているのでしょうか。
エッグタルトは使う材料が少ないんです。果物やスポンジ、ムースを使っているような洋菓子とは全く違う、いわばおまんじゅうみたいなものなんです。だからこそ材料にはこだわりたい。使っている小麦粉は、小麦の味がしっかりしていて、伸びがよく、しけりにくい埼玉県産。卵だとお菓子に向いている卵臭さが少ない相模原産。また、うちのお菓子は塩がアクセントになっているのですが、最近ようやくポルトガル産の塩が輸入できるようになって変えたところ、より味がまとまった印象になりました。やはり相性がいいんでしょうね。
「クリスチアノ」などうちが経営するレストランの食材も同じなのですが、中間業者は挟まず、仕入れも全て自分たちで行っています。日本全国、農家や漁港に足を運ぶのは大変なことですが、信頼できる生産者が作った食材を使いたいですし、生産者と直接話をすることで彼らの思いや要望を知ることができ、お互いによい協力関係を築くことができます。一例をお話すると、漁師さんはいくら魚がとれても、売れないという理由でやむを得ず捨てることがあります。それは彼らにとっても苦渋の選択です。だったら食べられるのであればうちで使いましょうと購入する代わりに、うちが欲しいものを確約して獲ってもらう。つまりWIN-WINになるということです。デパート催事のメリットは知名度アップ!エッグタルトを知らない人に知ってもらう機会になった
ーー「ナタ・デ・クリスチアノ」さんは、デパートの催事場などでのポップアップショップ(期間限定の仮店舗)を展開されていますが、その意図は?
きっかけは、渋谷の東急デパートさんから依頼を受けたのが最初で、その催事に見学に来られていた各地のデパートの方から「うちでも是非」と声をかけていただいたんです。ポップアップのメリットは、何といっても知名度が上がること。お店のことやエッグタルトを知らない人に足を止めてもらうチャンスとなり、広く知っていただくことで、お店に足を運んでくださるお客様も増えるという宣伝効果があります。
デパ地下に店舗を構えるのはハードルが高くて大変ですが、1週間程度のデパートの催事なら挑戦しやすいと言えるかもしれません。とはいえ、少ない従業員で店舗もやりつつ全国の催事場を回るのは困難ですから、信頼できる提携先を確保したり、出店は近場に絞るなどの工夫は必要です。話題の奥渋谷にもウイークポイントが…それを埋めていきたい
ーー今後の展開について、お聞かせください。
2017年に、同じエリアに新店舗をオープンする予定です。最近、この辺りはお洒落なカフェなどが増えてきたこともあり、「奥渋谷」と呼ばれ注目を集めるようになりました。その一方で、昔ながらの魚屋さんやお惣菜屋さんなどが商店街から姿を消してしまい、住民の方々が日常的に必要としているものを売るお店が年々減っているんです。
そうした変化を常日頃からキャッチし、今何が必要とされているのかを考えることは、新店舗をオープンする上でも、既存店を継続していく上でも不可欠。「ナタ・デ・クリスチアノ」を始めた3年前と同じ考え方のままでは、商売は上手くいかないでしょうね。
私たちの会社のコンセプトは、「このまちにないものをつくる」。開業するときというのは、どうしても自分のやりたいことにこだわりがちですが、世の中のニーズに応え、多くの人に喜んでもらうためにはどうすればよいのか・・・こだわる価値があるのは、こちらのほうだと思います。佐藤 なつみ
1980年、愛知県生まれ。ポルトガル菓子専門店「ナタ・デ・クリスチアノ」の店主。ご主人は株式会社キュウプロジェクト代表でポルトガル料理店「クリスチアノ」(渋谷区富ヶ谷)のオーナーシェフを務める佐藤幸二氏。キュウプロジェクトでは「マル・デ・クリスチアノ」、タイ料理「パッポンキッチン」など多店舗展開を行っている。
ナタ・デ・クリスチアノhttp://www.cristianos.jp/nata/
東京都渋谷区富ヶ谷1-14-16スタンフォードコート103「クリスチアノ」のテイクアウト部門として2013年にスタート。ポルトガルの名店の味を再現したエッグタルトが人気を集め、行列の絶えないお店に。この他、ポルトガルのカステラ「パン・デ・ロー」やチーズとシナモンのタルト「ケイジャーダ」など日本では珍しいポルトガルお菓子などを中心に販売。渋谷駅東急フードショー「ジスウィーク1」で年に2回(これまでの実績)、「ナタ・デ・クリスチアノ」のポップアップショップを展開。
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