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脱サラで念願のカフェ開業へ …「自分のお店を持ちたかった理由」とは?
コーヒーを出すだけがカフェの仕事ではない。大切なのはお客様とのコミュニケーション
- 町山 友康/サカノウエカフェ
坂の上にお店があることから付いた名前が「サカノウエカフェ」。人気はオリジナリティ溢れるラテアート。人気の街、東京・湯島に、念願のお店をかまえたオーナーの町山さんにお話しをうかがいました。
カフェ開業前にいきなりトラブル発生!?物件選びは要注意!
ーー町山さんが東京・湯島に「サカノウエカフェ」を開業したのは、2012年10月でした。それまではどんな仕事をされていたのですか?
ビリヤードやダーツなどが置いてある複合アミューズメント施設の社員として働いていました。地方に支店を出すようになり、僕も店長として働く中で、いつか独立して、自分のお店を持ちたいと思うようになったんです。会社を辞める決心がついたのも、妻の応援があったからです。反対されていたら絶対に独立はしなかった。ーーお店も色々ありますが、なぜカフェを開きたいと思ったのでしょうか?
独立心は強かったのですが、じゃあ、何をやるのかと思った時に悩んでしまったんです。大きいスペースを借りるとなるとお金もかかるし、自分の資金と照らし合わせた時にカフェという業態が僕には合っているんじゃないかと。人が集まってワイワイ楽しんでくれたり、もてなすことも好きだったりするんです。ーー独立に向けて具体的に動くようになったのはいつ頃でしたか?
実際に不動産屋に通うようになってからですね。ただ、当時の僕は世間知らずで「駅から近くて、家賃も坪1万を切っている物件はないですか?」と、今思えばとんでもない要望ばかりを口にしていました(笑)。だから、まともに相手にはしてくれなかったです。実は物件を探している時、トラブルに遭ってしまったんです。
会社員をやりながら独立準備をしていたので、余裕がなかったんでしょう。ある不動産屋から紹介された物件を何となく気に入り、「ここは良物件だから早く手付金を」と言われるがまま振り込んでしまったんです。他の不動産屋に聞くと、実は又貸し物件で賃料も多めに見積もられていたことが発覚。それに又貸しだから、大家が立ち退きを申し立てたら、すぐにでも撤退せざるを得ない物件だと知らされたんです。結果としてお金は戻ってきましたが、自分に不利なことばかり書かれていた契約書や出店場所をしっかり確認しなかった自分の甘さを痛感した出来事でした。その時にアドバイスしてくれた不動産屋が今の物件を紹介してくれました。坂道を登るたびに「もう辞めようかな」。坂の上の危機を救ったものとは?
ーー物件の決め手は何だったのですか?
この物件を知った当初、駅からもちょっと遠いし、坂道の上にあるし、果たしてお客様は来るのだろうかと不安でしたが、手持ちの資金で借りられる賃料でしたし、「このエリアは商圏も大きいし、ライバル店も少ない。個人でスタートするには手頃な大きさで、カフェを開くにはちょうどいい物件」と勧められたのが大きかったですね。トラブルから救ってくれて、商圏データを提示してくれるなど的確なアドバイスをしてくれた担当者だったので決めました。今となっては、まさにその通りだと実感しています。個人で物件を探すのであれば、信頼できる不動産屋との出会いはその後の自分のビジネスを大きく左右するといっても過言ではないかもしれません。ーー開店後のカフェ経営は順調に進みましたか?
厳しかったですね。最初の頃は集客に苦労しました。食事メニューはパスタ、生姜焼きくらいしかなかったし、そもそもカフェ経営ってコーヒーだけ出していれば何とかなると勘違いしていたのです。もちろん、同業店を視察したり、美味しいコーヒーを飲んでもらったりするための勉強はしていたのですが……。坂道を登るたびに、「もう辞めようかな」と弱気になることもありましたが、10月のオープンから3ヵ月後の1月に風向きが変わり、急激に売り上げが伸びたんですよ。近所にある湯島天神と神田明神の参拝帰りのお客様が立ち寄ってくれたのがその理由です。当時はまだ土地の事情を把握できていなかったので、こういうこともあるんだと気持ちが上向きになりました。カフェ経営は何でもできる!?タイ料理やイタリアンにかき氷だって取り入れる
ーーそこから起死回生をどうやって図られたのでしょう?
近所で働く会社員や住民の方々が店の存在を知ってくれるようになりリピーターとなってから、ランチや夜の貸し切りも増え、食事メニューに力を入れるようになりました。カフェ経営の面白さは何でもできるところです。タイ料理やイタリアンも出せるし、トレンドになっている食べ物があれば、それを取入れる。最近だと「かき氷」が人気でしたが、うちもさっそくメニューにしました。あとは宣伝ですね。インスタグラムやFacebookといったツールを使えば、お金をかけることなく自分で宣伝ができます。実際にフェイスブックを通じて予約が入ることもあるので、例えそれが1件でも僕の店にとっては大きいですし、個人オーナーはブランディングを兼ねて発信力を高めることも必要不可欠だと痛感しています。ーーこれからカフェを開きたいと考えている方にアドバイスをお願いします。
正直、個人でカフェを開業しようと思っても、儲けを出すまでが大変なので、あまりオススメはできないですが(笑)利益を出す商品があることが大事です。テイクアウトも売り上げを後押しするひとつの手段ですが、それに足りうる人材やメニュー、スピード感が必要です。もうひとつは、いかにしてリピーターを増やすかということ。僕の場合、規模の小さな店ですし、1日の来店数には限りがある。カフェはコーヒーを出すだけが仕事ではありませんからね。どうやったら繰り返し来ていただけるか。これは常に考えています。町山 友康
1977年東京都生まれ。建築の施工会社、アミューズメント施設勤務を経て、東京都文京区に「サカノウエカフェ」を開業。
サカノウエカフェhttps://www.facebook.com/サカノウエカフェ-180101772126904/
東京都文京区湯島2-22-14 ビュークレスト御茶ノ水三組坂(みくみざか)という坂の上にお店があることから付いた名前が「サカノウエカフェ」。モーニングもやっているため、営業時間は朝の8時から夜10時まで。オリジナリティ溢れるラテアートが大人気。フワフワのかき氷、スイーツから季節によって変わる食事メニューも好評。
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