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プロレス団体DDTが飲食事業など多角経営をする背景とは?

“プロレス”も“飲食店”も、最重要視するのは顧客満足度

  • 高木三四郎/DDTプロレスリング

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高木社長をはじめ3人のレスラーによって旗揚げされたDDT。高木社長は2007年にバー「ドロップキック」を開店。さらには居酒屋やストレッチ専門店も手掛けています。プロレス団体と複数の飲食店を並行して運営・経営する高木社長に、多角化の目的やこれまでの経緯をお聞きしました。

プロレス団体DDTの飲食事業は「選手の働き口」

ーー高木さんはプロレス団体だけでなく、飲食店などの経営者の顔もお持ちだそうですね。
飲食事業はDDTを旗揚げした後に始めています。その理由ですが、試合のギャラだけでは選手が生活できないという現実があったから。そういう選手は普段バイトをしているのですが、突発的に試合が入った場合、普通のお店だとなかなか融通が効かないですよね。それならば、いっそのこと自分のところで働き口を作ってしまえ!という考えで、始めたものです。

ーー選手の受け皿として、という意味合いが強かったのでしょうか。
そうですね。団体が店をやればファンの方たちも来てくれるだろうし、ケガなどで長期欠場になってしまったり、選手のセカンドキャリアを考えたりする上でも働き口を確保できているのは大きいですからね。それに自社で行えばそのまま利益にもつながりますし。

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ーー最初に手掛けたのはどんな業態のお店でしたか?
DDTが最初にスタートさせたのは2007年に開業した「ドロップキック」というバーです。現役選手がカウンターに立つというシチュエーションは目新しかったのか、予想以上にたくさんのお客さんが来てくれました。その後の事業展開としては、2009年に居酒屋の「エビスコ酒場」、2012年にストレッチ専門店「ベストストレッチ」(現在3店舗)、2016年にバーをもう1店舗と「新宿ぎょえん整骨院」を開業しています。

DDTのカレー店は3年で閉店…その難しさを痛感し勉強になった

ーーもはやDDTはプロレス団体だけでは括れないですね(笑)。でも、そこまで手広くされているということは、多角経営は順調なんですね。
いや~……そんなことはないんですよ。過去にはスタッフにお金を持ち逃げされたこともあったし、カレー屋事業にも乗り出したんですが、それは上手くいかなかったですね。

DDTのカレー店は3年で閉店…その難しさを痛感し勉強になった

ーー失敗の原因は……?
カレー店は東京・中野で開業したのですが、価格設定を見誤ってしまったことです。今振り返れば、自由が丘や中目黒のような価格帯で出していたのですが、中野はカレーにそこまでお金を落とす人が多くはなかったんです。結局オープンから3年でクローズしてしまいました。
カレー店をやってみて分かったのですが、そもそもカレーって原価率が高い食べ物なんです。儲けを出すなら回転率を上げて、原価を抑えること。そしてやるならルー工場を作って多店舗展開する位じゃないとダメですね。それにカレーは繊細な食べ物。湿気や気圧で風味が変わるんですよ。だからとろみや味が安定しないことがよくあったんです。カレー屋は難しいなと思ったし、その後の飲食店経営の勉強にもなりましたね。

DDTのマッサージ店は「普段から自分たちがやっていること」の延長(笑)

ーー一方で飲食店以外にもストレッチ店や整骨院にも進出されていますね。
マッサージ店に行った時、施術内容は僕らが普段やっていることとあまり変わらないなと思ったんです。要は試合前のストレッチなんですが、きちんとメニュー化すればビジネスに落とし込めると確信して、パーソナルトレーナーの資格を持った選手と一緒に事業化させたものです。現在は3店舗あるのですが、各店舗のスタッフは普段から選手をメンテナンスするトレーナー兼選手です。
整骨院に関しては柔道整復師の資格を持っていた選手が、新たに鍼灸師の国家資格を取得したこともあり、開業に至りました。選手からの申し出で、ビジネスとしていけるなと思った案件については、投資してあげたい気持ちがあるんですよ。それに選手に託すのも、プロレスファンが来てくれるというメリットがありますし、選手の安定収入につながるからです。

DDTのマッサージ店は「普段から自分たちがやっていること」の延長(笑)

ーー経営者としてプロレスも、それ以外の事業も日々見ていかないといけないのは大変ではないですか?
最初は頭の切り替えが大変でしたね(笑)。ただ、プロレスだけのことをずっと考えていると煮詰まってしまいますし、違うことをすることでそれぞれにフィードバックできるようになりました。
プロレスもそれ以外の事業も、お客さんやファンとの信頼関係がないと成立しません。僕らが提供するもの、例えば試合やエビスコ酒場に行けば必ず満足できるというものをお客さんに与えていきたいですし、経営者として顧客満足度を高めていきたいという意識は常にもっています。

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高木三四郎

高木三四郎

1970年生まれ、大阪府出身。プロレス団体DDTプロレスリング(以下DDT)の選手兼社長。大学卒業後、24歳でプロレスデビュー。その後、いくつかの団体を経て1997年にDDTを設立。アイデアマンとして知られ、その頭脳で業界トップクラスの団体に成長させた。その経営手腕を買われ、2015年5月から武藤敬司率いるWRESTLE-1のCEOに就任し、業界初の“2団体経営者”として話題を集めている。

DDTプロレスリング

DDTプロレスリングhttp://www.ddtpro.com/

プロレス団体DDT
1997年にプロレス団体DDTを設立後、2007年にバー「ドロップキック」をスタート。スタッフは現役選手なので、ファンとの交流の場としても人気を集めるように。その後ドロップキックと同じビル内に居酒屋「エビスコ酒場」をオープン。こちらも選手がスタッフとして働いている。この他にバー「スワンダイブ」、ストレッチ専門店「ベストストレッチ」、「新宿ぎょえん整骨院」など多角経営を展開中。

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