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IT会社出身のオーナーが伝統と革新を融合させて生まれ変わったカフェ…40年の歴史がある新宿・コーヒーラウンジレモン

リニューアルしてもサイフォン式コーヒーを引き継いだ。ここでわざわざコーヒーを飲んでいただく意味を継承するために。

  • 中鉢博之/コーヒーラウンジ レモン

IT会社出身のオーナーが伝統と革新を融合させて生まれ変わったカフェ…40年の歴史がある新宿・コーヒーラウンジレモン_記事画像

新宿伊勢丹の並びという一等地で40年間営業してきた喫茶店『檸檬』が昨年大幅にリニューアルし、カフェ好きな女子たちから支持される『コーヒーラウンジ レモン』に生まれ変わった。バリスタとして店頭に立ち、訪れた人にサイフォンで淹れた美味しいコーヒーを振る舞っているオーナーの中鉢博之さんに、老舗の伝統と革新を融合させて新たな客層を取り入れる秘訣を聞く。

タバコを吸う方も多かった店内を全面禁煙に。40年培った流れを一気に変えるコンセプトチェンジ

――大幅にお店をリニューアルされましたが、どんな点が変わりましたか?
この街には働く女性が多いので「仕事や買い物の途中に寄って疲れた心や身体を癒やして元気になってもらう」という新たなコンセプトで女性をターゲットにした店作りをしていきました。そのなかで今まではタバコを吸う方も多かったのですが店内を全面禁煙にして、それに伴ってメニューも変えて食べ物は新鮮なものを召し上がっていただくために鮮度の高い野菜を仕入れるルートを確立しました。料理に使うツナも缶詰ではなく生で食べても美味しい魚をオイル漬けにした自家製のツナを作って、それをサンドやパスタに使っています。飲み物に関しても今まで提供できていなかったエスプレッソを中心としたメニューを増やして、コーヒーが苦手な方向けに紅茶やハーブティ、ジュース類のラインナップを増やしたのでドリンクだけでもかなり豊富になりました。逆に言うとリニューアル前から守っているのはサイフォンと豆の種類程度で、それ以外は一新しました。

タバコを吸う方も多かった店内を全面禁煙に。40年培った流れを一気に変えるコンセプトチェンジ

――これまで通りサイフォンでコーヒーを淹れることにこだわった理由は? 
今はどこのお店でもマシーンでコーヒーを入れているのでボタンを押すと出てくるのがほとんどなんです。でもそれだと味気ないし、ハンドドリップはかなり練習を積まないと難しくて同じ人が淹れても毎日味が変わるほどで、アルバイトを含めたスタッフ全員で同じ味を維持するのは難しいんです。でも今うちが使っているサイフォンであれば味が統一できて、お客様もご納得いただけるコーヒーができるのでそこはあえて変えずに引き継ぎました。それにサイフォンで入れると香りも立ちやすいですし飲みやすいところも気に入っている点です。それがないとうちでわざわざコーヒーを飲んでいただく意味がなくなってしまうので。

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コーヒーと和菓子、グラフィックデザイナーが描いた看板。異業種コラボが産み出す効果とは?

――他にご自身が思うレモンの強味はなんだと思いますか?
人の繋がりで助けてもらっているところですね。例えばうちではコーヒーに併せて練り切りを出しているんですけど、普通和菓子屋さんは知らないところには卸してくれないんです。でも友人に和菓子職人がいるので特別に卸してもらえています。さらに店の内装を頼んだのも友人ですし机を作ってくれたのも友人、さらに椅子を譲ってくれたのも友人だし、リニューアルのときに作った看板も友達のグラフィックデザイナーに描いてもらったものなんです(笑)。そういう異業種のネットワークのお陰でお店が出来ているなと実感しています。

――それがまた面白い化学変化を起こしてお店の個性となっているんですね。では新宿でお店をやる上で嬉しいことや大変なこととは?
外国人観光客も多くて、滞在中に毎日のように来てくれたりするのはすごく嬉しいですね。最後は「帰っちゃうの?」って寂しくなります(笑)。大変なのは日替わりで街の動きが変わることで、例えば外国人のお客様が多い日があった翌日は全然違っておばさまたちがたくさんいらっしゃったり、かと思えばまったく人が来ない日もあって、何がどうなって回っているのか未だに掴みきれていないところです。だから一度に多くのお客様がまとまって来ると、スタッフの手配が充分にできていないときなどは満足のいく対応が難しくてお客様をお待たせすることもあって、申し訳ないなと思っています。

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――でも一杯一杯サイフォンで大切にコーヒーを入れていらっしゃるわけですから、来てすぐ「どうぞ」とはいきませんよね。
そうですね。例えば平日のランチセットでは単品で600円のコーヒーを200円で出しているんですけど、それでもポットには入れずに一杯一杯その都度サイフォンで作っているので時間がかかるんです。また、フードも簡単に最終調理まではできるように仕込んでいても最後に一手間を加えるようにしていますし、ケーキに飾り付けをしたり、カフェラテに絵を描いたりしていると時間がかかってしまって……。だからフォーマットをちゃんと確立してお客様の要望に答えることが今の課題でもあります。

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――ご自身がオーナーとしてお店を引き継がれてからは1年弱ですが、ご家族が営んでいる姿を見てきた経験も踏まえて、これから店舗の開業を目指す人たちにアドバイスをするとしたら?
自分がお店を継ぐまでは立地と内装だけでお客様を呼べると思っていたんですけど考えが甘かったですね。個人でやるのであれば例えばコンテストで優勝したといったネームバリューも重要になってくる気がします。あとは何かひとつでもお店の売りやこだわりを持っているとそれを軸にして広げていけるのかなと思います。

中鉢博之

中鉢博之

親族が40年前から営んできた『檸檬』に子どもの頃から慣れ親しむも、自身はIT会社に勤めるバリバリの営業マンとしてキャリアを築いてきた。その一方でお客様と正直に向き合えるこの商売に魅力を感じ、脱サラして昨年のリニューアルタイミングより店を受け継いだ異色の経歴の持ち主でもある。

コーヒーラウンジ レモン

コーヒーラウンジ レモンhttps://www.facebook.com/CoffeeLoungeLemon/
東京都新宿区新宿3-14-24 パークシティ3

リニューアル前の店名は漢字表記で“檸檬”。お店を始めた叔母さんが梶井基次郎の小説『檸檬』が好きだったことと、以前は叔母さん夫婦が同じ場所で果物屋を営んでいたこともあってこの名前にしたそう。昨年一新された店内はセンスの良い家具が並び、バリスタの作業が見られるカウンター席の1階と、ゆったりと広さもあり大きな窓から新宿の街並みを眺める開放的な2階からなる贅沢な空間で、都会の喧騒を忘れる居心地の良さ。

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