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便乗メニューは違法?レシピ・メニューの著作権と飲食店の対策を解説

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飲食店の起業を考える際、他店の人気メニューに着目する方も少なくはないでしょう。これを「便乗メニュー」と呼びますが、正式な用語ではなく、流行に乗じたメニューのことを指します。
この手法を利用する場合、著作権や商標権などの法的リスクを理解することが重要です。本記事では、SNS時代におけるこれらの課題を解説し、安全なメニュー開発に取り組めるようにします。法的トラブルを避けつつ、お店の個性を活かした新メニュー作成のヒントを得ましょう。

目次

便乗メニューとは

開業時のメニュー開発では、話題のイベントや他店の人気商品を取り入れる手法も一つの選択肢になります。ここでは、こうした便乗メニューの基本的な定義や、近年話題を集めている背景について解説します。

便乗メニューが指す意味

「便乗」という言葉には、他人の乗り物に同乗するという本来の意味から転じて、「巧みに機会をとらえてうまく利用する」という意味があります。日常会話でも、流行や話題に乗ることを指してよく使われる身近な表現です。
飲食店における「便乗メニュー」とは、他店の大ヒット商品や世間のトレンド、話題のイベントなどにあやかって開発されたメニューを指します。ゼロから新しい料理を生み出すのとは異なり、すでに市場で人気を集める要素を自店に取り入れるのが特徴です。ここを工夫すれば、メニュー開発の大きなヒントになります。
注目を集めている理由は、集客への期待と法的リスクが隣り合わせだからです。うまく取り入れれば話題作りにつながる反面、やりすぎると単なる「パクリ」としてトラブルを招きかねません。だからこそ、どこまでが安全な範囲なのか、正しい線引きを知っておくことが開業時の安心につながります。

便乗メニューが話題になっている理由

便乗メニューが近年目立つようになった背景には、情報伝達のスピードと飲食業界を取り巻く厳しい環境があります。ここを押さえておくと、今後のメニュー開発でどのようなリスクに備えるべきかが見えてきます。
大きな要因は、SNSの普及です。一つの人気商品が話題になると瞬時に拡散され、消費者ニーズが爆発的に高まります。この波に乗り遅れまいと、手っ取り早く似た商品を展開する店舗が現れやすくなっています。
さらに、物価高騰などの厳しい経済状況も影響しています。食材費や光熱費が上がり続けるなかで、一から新しいメニューを開発するのはコストや手間がかかります。そのため、すでに売れることが証明されているヒット商品にあやかりたいという心理が働きやすくなります。手堅く利益を出したいという背景が、便乗メニューの増加につながっています。

便乗メニューと模倣・パクリ・類似との違いは?

他店の人気商品を取り入れる際、便乗メニューと模倣やパクリは同じように感じられるかもしれません。ここからはそれぞれの言葉が持つニュアンスの違いや、法的な解釈の分かれ目について詳しく解説します。

模倣とは

まず、模倣(もほう)とは、既存のアイデアやデザインを真似て、似たようなものを作り出す行為を指します。開業の準備を進める中では、他店の成功例をヒントにしたくなる場面も多いのではないでしょうか。
飲食店における模倣の典型例としては、他店の人気メニューの具材や味付けをそのまま自店で再現することが挙げられます。料理そのものにとどまらず、メニュー表のレイアウトや独特のネーミング、看板や内装の雰囲気を似せる行為も模倣に含まれます。ここを見落とすと、意図せず他店の権利を侵害しかねません。
人気店の良い部分を取り入れること自体は、経営の参考になります。ただし、どこまでが許容される範囲で、どこからが法的リスクを伴う行為になるのか、まずは大まかな境界線を押さえておきましょう。

パクリとの違い

他店のメニューを参考にする際、「パクリ」と「類似」の境界線を把握しておく必要があります。ここを曖昧にしたまま開発を進めると、意図せず顧客の信頼を失う事態になりかねません。
両者の明確な違いは、以下のようになります。
【パクリ】他店のアイデアや見た目をそのまま無断で流用すること。消費者の印象としては「単なる真似だ」とネガティブに受け取られやすく、店舗のイメージ低下やトラブルを招きます。
【類似】他店のトレンドを参考にしつつ、自店独自の工夫を加えること。消費者の印象は「流行を取り入れつつ、この店ならではの良さがある」と好意的に見られやすいのが特徴です。
このように、独自の価値を足す視点があるかどうかが大きな分かれ目です。まずは自店のコンセプトと照らし合わせ、単なる模倣になっていないか客観的に確認してみてください。

アイデアと表現の違い

著作権において、類似性を判断する基準となるのが「アイデア」と「表現」の線引きです。ここを混同したままメニュー開発を進めると、思わぬトラブルにつながるかもしれません。
日本の著作権法では、頭の中にある「アイデア」そのものは保護対象になりません。それが具体的な形として外に出された「表現」になって初めて、法律で守られる仕組みです。

区分具体例保護対象
アイデア料理の組み合わせ、味付けの工夫、調理の手順対象外(著作権では保護されない)
表現レシピを文章でまとめた書籍、料理を撮影した写真対象(著作権で保護される)

このように、飲食店が考案したレシピの構成や味付け自体はアイデアにとどまり、原則として著作権では保護されません。まずはこの違いを整理しておきましょう。

そもそもレシピに著作権はある?

料理のレシピ自体に著作権があるのか、開業を考えるうえで気になるところです。
レシピというアイデアそのものには著作権が認められません。
ここではレシピと著作権の関係について詳しく解説していきます。

レシピが保護されにくい理由

料理のレシピそのものは、著作権法で保護されにくいのが現状です。苦労して生み出した味付けや調理法が法律で守られないと聞くと、不安を感じるかもしれません。
その最大の理由は、レシピが食材の組み合わせや分量、手順といった「アイデア」に該当するためです。著作権法が保護の対象とするのは、思想や感情を創作的に表現したものに限られます。頭の中にあるアイデアや単なるデータは表現物とみなされず、著作権の対象外となります。
そのため、他店の料理を食べて独自の調理法を推測し、自分のお店で同じような味を再現しても、基本的には違法になりません。だからこそ、味だけでなく店舗の雰囲気や接客など、簡単には真似できない部分でファンを育てていく視点が求められます。

メニュー表は著作権の対象になる?

レシピそのものとは異なり、お客様が実際にお店で目にするメニュー表は、著作権の保護対象になる可能性があります。ここを混同して他店のメニュー表をそのまま真似してしまうと、思わぬトラブルに発展しかねません。
ただし、単に料理名や価格をリストアップしただけのものは、事実の伝達にとどまるため保護されにくいのが一般的です。一方で、独自のイラストやこだわりのキャッチコピー、工夫を凝らした全体的なデザインなど、そこに作成者の個性的な表現が含まれている場合は、著作物として認められやすくなります。
開業に向けて準備を進める中では、魅力的な他店の見せ方につい惹かれることもあるはずです。しかし、そのままデザインを流用することは避け、ご自身の店舗コンセプトに合ったオリジナルの表現を一から考えてみてください。

レシピの写真や動画は著作権侵害になる?

レシピのアイデア自体に著作権がなくても、写真や動画の扱いには注意が必要です。ここを混同してしまうと、思わぬトラブルを招きかねません。
料理そのものとは異なり、撮影された写真や動画には「撮影者の著作権」が発生します。構図や光の当て方など、撮影者の工夫が表現として保護されるためです。そのため、他店がメニュー表やWebサイトに載せている写真や動画を無断でコピーして使う行為は、明確な著作権侵害にあたります。
手軽に画像を共有できるからといって、他人の画像を自店のSNS掲載用などに流用するのは危険です。自店のメニューをアピールしたい場合は、必ずご自身で撮影したオリジナル素材を使うようにしてください。ここまで徹底できれば、発信面でのリスクはぐっと下がります。

メニュー・レシピに関する著作権以外で関係する法律

メニュー開発では、著作権以外のルールも押さえておく必要があります。ここを見落とすと、知らずに他店の権利を侵害してしまう恐れがあります。
ここでは、飲食店のメニューに関係する商標権や意匠権、不正競争防止法といった法律の概要を解説します。

商標権とは

商標権は、自社の商品やサービスを他店と区別するためのマークを独占的に使える権利です。特許庁へ出願して審査を通過し、登録されることで初めて効力が発生します。せっかく考えた大切なブランドを、勝手に真似されるリスクから守るための強力な盾と言えます。
飲食店において対象になりやすいのは、こだわりの商品名や看板に掲げる店舗名のほか、オリジナルのロゴなどです。これらが商標登録されていれば、他店が同じような名前やマークを無断で使うことを法的に差し止めることができます。
もし商標権を取らずにいると、あとから別の人が同じ名前を登録してしまい、今まで使っていた店名やメニュー名を変えざるを得ない事態にもなりかねません。人気メニューを開発したり新しいお店を出したりするときは、名前やロゴもセットで守ることを意識しておきたい部分です。

意匠権(いしょうけん)とは

意匠権(いしょうけん)とは、物品や建築物、画像などの外観デザインを保護し、その独占的な使用を認める知的財産権のことです。優れた外観は消費者の関心を惹きつける要素ですが、すぐに真似されてしまう悩みもつきまといます。そこで、新しい造形を生み出した努力を守るためにこの権利が用意されています。
飲食店において関わるのは、店舗独自で開発したオリジナルの食器や、建築物・内装などのデザインです。最近では、特徴的な形状をした食品そのものが、商品として意匠登録されるケースも出てきました。ここを押さえておくと、他店にはない自店のこだわりを法律面から守る手立てが見えてきます。
ただし、意匠権による保護を受けるには、特許庁へ出願して審査を通過しなければなりません。すでに世の中にあるものと似た形状では登録できないため、これから新しいメニューや容器を開発する際は、独自性がどの程度あるかどうかが一つの判断材料になります。

不正競争防止法とは

不正競争防止法は、事業者間の公正な競争を守るための法律です。飲食店を経営するうえで、著作権や商標権の登録がなくても、他店との思わぬトラブルを防ぐための重要なルールとなります。
特に気をつけたいのが、広く知られた店名や外観などの「周知表示」を無断で使うケースです。これによって、お客さまが系列店だと「混同」してしまうような見せ方は不正競争にあたります。人気店のブランド力に便乗するような行為は法的なリスクを伴うため、看板や店構えを決める際は注意が必要です。
また、他店が開発した商品の形態をそのまま「模倣」して提供することも規制の対象となります。売れているメニューをヒントにするのは自然なことですが、見た目までそっくり真似をしてしまうと警告を受けるかもしれません。まずは自店のオリジナル要素をどこで出すか、十分に検討しておくことが大切です。

差止請求・損害賠償が発生するケース

他店の権利を侵害してしまった場合、具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか。ここを軽く見ていると、想定外の金銭的・信用的なダメージを負いかねません。
著作権などの侵害が認められると、権利者からメニューの提供停止を求める「差止請求」や、売上減少分などの支払いを求める「損害賠償請求」を受ける可能性があります。実際に、スペイン料理のレシピブックを巡る裁判(大阪地裁令和2年1月27日判決)では、料理写真の選択や配列に個性が表れているとして、著作物としての保護が認められました。
料理のアイデア自体に著作権がないからといって、他店の料理写真やメニュー表の構成をそのまま流用するのは大きなトラブルの元です。まずは、自店のメニュー作りで他者の表現を無断で使っていないか、制作過程を一度振り返ってみてください。

便乗メニューを活用するメリット

他店の人気メニューを参考にすること自体は、直ちに法律違反となるわけではありません。権利侵害のリスクへ十分に配慮したうえで上手に取り入れれば、店舗の運営において次のようなメリットを期待できます。

人気商品の需要を取り込める

トレンドとなっている話題の料理を自店舗に導入する強みは、すでに世の中にある関心の高さを活かせる点です。ゼロから新しいものを開発して認知を広める作業は、想像以上に時間や手間がかかって大変です。
その点、SNSなどで注目されている人気メニューであれば、お客様のほうからその味を求めて来店してくれる確率が高まります。多額の宣伝費をかけずとも、スムーズな集客につながりやすくなるのが大きな魅力です。
さらに、知名度や話題性のある商品は注文率が高くなる傾向にあります。そのため、店舗全体の売上を底上げする効果も十分に期待できるはずです。まずは自店のコンセプトに合うトレンドを調べ、取り入れられる要素がないか探ってみてください。

メニュー開発の参考になる

すでに市場で人気を集めている商品を分析することは、自店のメニューを考えるうえで大きなヒントになります。ゼロからすべてを生み出そうとすると時間も手間もかかりますが、既存の成功例をベースにすれば、開発の効率化を図れるのが魅力です。
流行しているメニューのどの部分がお客様に支持されているのかを分解してみると、思いがけないアイデアの糸口が見つかります。味付けの工夫や食材の組み合わせなど、取り入れられる要素を抜き出して自店のコンセプトと掛け合わせることで、新しい価値を生み出しやすくなります。
そのまま形だけを模倣するのではなく、どうすれば自店らしさを出せるか考えていく過程が、実は一番面白いところかもしれません。優れた部分をしっかりと学びつつ、自分たちならではの要素をどう足していくかが、長く愛される看板メニューを作るポイントです。

市場の変化へ対応しやすい

市場の変化に対して、スピーディーに打ち手を繰り出せる点も経営上の大きなメリットです。昨今は物価の高騰が続き、多くの飲食店が原材料費の値上げ対応に追われています。
こうした状況下では、消費の傾向やお客様の求めるものも目まぐるしく変わります。少しでもお得感のあるものや、SNSで話題になっている新しい味を求める流れが強まっていると感じる方も多いのではないでしょうか。
まったくゼロの状態から新メニューを開発するには、試作やリサーチに多くの時間と手間がかかります。しかし、すでに世の中で受け入れられているトレンドを自店向けにアレンジすれば、開発期間を大幅に短縮できます。お客様の関心が高いタイミングを逃さずに新しい価値を提供し続けることは、安定した店舗運営の基盤づくりにつながるはずです。

便乗メニューを活用するデメリット・注意点

話題性を集めやすい便乗メニューですが、安易に取り入れると思わぬ落とし穴もあります。ここを見落とすと、後でトラブル対応に追われかねません。
ここでは、便乗メニューを活用する際に生じるデメリットや注意点について解説します。

法律違反になる可能性がある

便乗メニュー最大の懸念点は、やはり法律違反によるペナルティです。料理のレシピそのものは著作権で保護されにくいものの、他店のメニュー表のデザインや料理の写真をそのまま無断で使うと著作権の侵害にあたります。
また、他店がすでに登録しているメニュー名やロゴを勝手に使用した場合は、商標権の侵害としてトラブルに発展するケースがあります。さらに、独自性が高く広く知られている商品の外観や提供方法などを真似た場合、不正競争防止法に抵触するリスクも出てきます。
ここを見落とすと、後から販売停止や損害賠償を求められる事態になりかねず、店舗運営に大きなダメージを与えます。まずは自店の新メニューが他社の権利を侵していないか、客観的な視点で確認する時間を設けておきましょう。

店舗イメージが低下する恐れがある

法的な問題に発展しなかったとしても、便乗メニューの提供はお店のブランドそのものを傷つけるリスクをはらんでいます。せっかくこだわりを持って立ち上げるお店の魅力が、思わぬ形で損なわれかねない部分です。
今はSNSでお店の情報があっという間に広まる時代です。人気店のメニューと酷似したものを提供していると、来店された方にすぐ気づかれてしまいます。「話題の店の真似をしている」という声が拡散すれば、お店の評判は一気に落ち込んでしまうでしょう。
一度失われた信頼を回復するには、膨大な時間と労力がかかります。目先のトレンドをそのまま取り入れるのではなく、お店独自の工夫を加える視点を持っておきたいところです。新しいメニューを出す前に、お客様からどう見えるかを客観的に見直してみてください。

トラブル対応の負担が増える

他店から「メニューの提供をやめてほしい」とクレームが入った場合、日常の店舗運営に加えて大きな実務負担が発生します。ここを見落とすと、対応に追われて本来の業務に手が回らなくなりかねません。
まずは相手側の主張が法的に妥当かを判断するため、専門家である弁護士へ相談する手間が生じます。法律事務所を探して打ち合わせの時間を確保するだけでも、開業準備や営業で忙しい時期には大きな痛手です。
さらに問題が長期化すれば、着手金や相談費用といった金銭面での負担もかさんでいきます。こうした想定外の出費は、利益の幅が限られる創業期において経営を圧迫する要因となります。
トラブルの火種を抱えながらの営業は、精神的なストレスも決して小さくありません。オープン後の余計な負担を減らすためにも、開発段階から権利関係をクリアにしておくことが大切です。

便乗メニューを活用しつつ差別化を図る5つのポイント

トレンドを取り入れることは大切ですが、ただ真似るだけでは競合に埋もれてしまいます。ここからは、人気メニューの要素を活かしながら、自店舗ならではの魅力を出して差別化を図るための5つのポイントを解説します。

1. 最新のトレンドや市場動向を把握する

他店との差別化を図るには、飲食業界の最新トレンドを継続的に収集することが不可欠です。まずはSNSやグルメサイト、業界ニュースを活用して、日々の市場動向を広くチェックしておきましょう。
さらに、実際に人気店へ足を運び、メニュー・接客・店舗づくりを直接研究することも有益です。現場の空気感を肌で感じることで、初めて求められるものが立体的に見えてきます。
ただし、流行をそのまま真似するだけでは周囲の店舗に埋もれてしまいかねません。市場のニーズを正しく理解したうえで、自店のコンセプトに合う形へアレンジして取り入れることが、確かな強みへとつながります。

2. 周辺の競合店舗を徹底的にリサーチする

他店との差別化を図るには、まず出店予定の商圏内にある競合店舗を詳しく調べることが第一歩です。ここを省いてしまうと、気づかないうちに近隣の店舗と似たメニューを提供してしまい、お客様を取り合ってしまいかねません。
調査する際は、店舗のジャンルや価格帯、営業時間、主な客層などを細かく確認します。あわせて、テイクアウトやデリバリーなどのサービス内容も実際に比較してみてください。
集めた情報を見比べると、地域に不足しているニーズや業態が自然と浮かび上がってきます。そこから、競合店舗にはない自店ならではの差別化ポイントを見つけていきましょう。

3. ターゲットを具体的に設定する

他店との差別化を図るには、まずターゲットを明確にすることが重要です。誰に来てほしいのかを絞り込むことで、お店の方向性がブレにくくなります。
具体的には、年齢や性別だけでなく、職業やライフスタイルまで細かく設定します。こうした架空の顧客像(ペルソナ)を描くことで、お客様が本当に求めるニーズを深く把握できるようになります。
ターゲットの好みがわかれば、それに合わせたメニュー開発や価格設定、店舗づくりへと落とし込んでいくことができます。軸が定まることで、他店に埋もれない一貫したブランディングへとつながります。

4. 他店にはない強みを作る

競合店と明確に差別化するには、自店だけの強み(USP)を確立することが何より大切です。まずは「この店だから選ばれる理由」を具体的に設定し、お客様へ伝える軸を定めます。
たとえば、独自の看板メニューを開発したり、特定の産地に絞った食材へのこだわりを持たせたりするのが有効な手段です。これに加えて、心地よい接客や魅力的な空間づくりといったサービス面も、立派な差別化要素になります。
ここで見落とせないのは、一度作った強みをそのままにしないことです。日々の営業を通じて継続して磨き上げることで、結果としてお店のブランド価値が高まっていきます。

5. 一貫性のある店舗コンセプトを作る

他店と差別化し、リピーターを獲得するためには、一貫性のある店舗コンセプトを作ることが何より重要です。メニュー単体ではなく、お店全体で魅力を伝える土台となります。
まずは想定する客層や市場調査の結果を反映させ、コンセプトを明確に設定します。そのうえで、メニューはもちろん、内装や接客、販促活動に至るまで統一感を持たせることがポイントです。
ここがブレてしまうと、来店した方にお店の魅力が伝わりにくくなります。コンセプトに沿った統一感が強固なブランドイメージの形成につながるため、独自の世界観を作っていきましょう。

飲食店が安全にメニューを開発する方法

他店のアイデアを参考にしつつも、法的トラブルを避けて安全にメニューを開発するには、いくつかの手順を踏む必要があります。ここでは、飲食店が安全にオリジナルメニューを開発するための3つのステップを解説します。

STEP1 権利関係を確認する

メニュー開発を進めるにあたり、考えたメニュー名がすでに商標登録されていないかを確認します。ここを後回しにすると、販売開始後に名称変更を余儀なくされるリスクがあり、看板やメニュー表の作り直しなど思わぬ出費につながりかねません。
確認作業は、独立行政法人工業所有権情報・研修館が運営する無料データベース「J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)」を使った検索が便利です。トップページの検索窓に候補となるメニュー名を入力するだけで、すでに他店が商標権を取得しているかを調べられます。
もし同一や似ている名称が登録されていた場合は、別の名前に変更するなどの対策が必要です。少し面倒に感じるかもしれませんが、この事前のひと手間が後の大きなトラブルを防ぐ防具となります。思いついた名前をいくつか検索にかけるところから手をつけてみましょう。

STEP2 オリジナル要素を追加する

権利関係の確認を終えたら、次は自店舗ならではの強みをメニューに組み込んでいきます。他店の良い部分を参考にしつつも、そのまま真似るのではなく、独自の価値を加える作業が欠かせません。
まずは、食材の選定から見直します。地元の特産品や季節の野菜を取り入れるだけで、簡単に独自の個性を引き出せます。次に、味のベースとなる部分へ自店らしいアレンジを加えます。ターゲット層の好みに合わせてスパイスを効かせたり、隠し味を変えたりすることで、まったく新しい一皿へと生まれ変わります。
味が決まったら、盛り付けにも工夫を凝らします。器の選び方や彩りを変えるだけでも視覚的な魅力が増し、お客様の記憶に残りやすくなります。最後に、ターゲット層の予算に合わせた適正な値段を設定します。高すぎず安すぎない絶妙な価格を見極めることで、無理なくリピートしてもらえるメニューが完成します。

STEP3 判例や参考資料を確認する

メニュー開発の最終段階では、過去のトラブル事例から法的リスクを洗い出す作業に入ります。ここを感覚だけで進めてしまうと、思わぬ形で法律違反を指摘される恐れがあります。
まずは、インターネットの無料法律相談掲示板や、弁護士事務所の解説サイトなどを活用して情報収集を行います。サイト内の検索窓に「飲食店 メニュー 類似」などのキーワードを入力し、自店舗と似た状況の相談事例がないか探します。
次に、そこで回答されている法律の解釈や、実際の判例に目を通します。特に不正競争防止法や商標権に関する判例は、参考になるケースが少なくありません。ここまでくれば、安全なメニュー提供に向けた見通しが立ちます。自分たちだけで判断に迷う場合は、専門家へ直接相談して確認を終えるのが確実な手順です。

便乗メニュー・著作権に関するよくある質問

新しくメニューを考案する段階では、著作権や法律面での細かな疑問が次々と湧いてくるものです。
ここでは、盛り付けの類似やSNSへの写真掲載など、飲食店を開業する際によくある疑問について詳しく解説します。

盛り付けを似せると法律違反になりますか?

Q. 他店の盛り付けや料理の見た目を参考にすると、法律違反になりますか?
A. 原則として、一般的な盛り付けを真似するだけで直ちに法律違反になる可能性は低いです。料理の盛り付け自体はアイデアの範疇とされ、著作権で保護されにくい傾向にあります。
ただし、例外として法的なリスクが生じるケースもあるため注意が必要です。例えば、芸術作品のように極めて創作性の高い盛り付けであれば、著作物として保護される可能性があります。
また、使用されている特注の容器や食器、独自の商品デザインに意匠権が設定されている場合もあります。これらを無断で模倣すると、意匠権の侵害に問われかねません。
さらに見落としがちなのが、SNSやメニュー表に載せる料理写真です。写真の構図までそっくりに再現して掲載すると、元の写真の著作権侵害となる恐れがあります。こうしたトラブルを避けるためにも、自店ならではの工夫を少し足して安全にメニューを作り上げていきましょう。

他店の料理写真をSNSに掲載してもよいですか?

Q. 他店の料理写真をSNSに掲載してもよいですか?
A. 他店や第三者がネット上に公開した写真を無断で使用するのは控えてください。料理自体に著作権はなくても、それを撮影した「写真」には撮影者の著作権が発生します。インターネット上の画像を勝手にメニュー表や自店のSNSに転載すると、著作権侵害のトラブルに発展する恐れがあります。
どうしてもその写真を使用したい場合は、必ず撮影者から事前に許可を得る必要があります。法律上「引用」として認められるケースもありますが、出典の明記や自分のコンテンツが主役であることなど、厳しい条件をクリアしなければなりません。ここを安易に判断してしまうと、後から損害賠償を請求されるなど思わぬ負担を抱えることになります。
安全に店舗の情報を発信していくなら、自店で料理を作り、ご自身で撮影した写真を使うのが一番確実な方法です。他店のメニューを参考にしたいときも、写真は自前のものを用意して、不要なリスクを未然に防いでおきましょう。

人気店の商品であることを表示して販売してもよいですか?

Q. 人気店の名前や関係性をアピールして販売してもよいですか?
A. 無断で他店との関係性を表示して販売することは避けるべきです。「〇〇店監修」「〇〇公認」「コラボ」といった言葉を使って集客するには、必ず事前に相手方の許可を取る必要があります。
実際には関係がないにもかかわらず、人気店と関わりがあるように見せる表示は、消費者に誤認を与えてしまいます。景品表示法違反になるだけでなく、商標権の侵害や不正競争防止法に抵触するリスクも伴うため、安易な判断は禁物です。
問題になりやすい表示例として、「(実在の店名)風」「(実在の店名)の味を再現」などが挙げられます。特定の店名を出すのは控え、「話題の台湾風カステラ」「濃厚な鶏白湯ラーメン」のように、料理のジャンルや特徴を伝える安全な表現へ言い換えておきましょう。

海外で人気のメニューを日本で真似しても問題ありませんか?

Q. 海外で人気のメニューを日本で真似しても問題ありませんか?
A. そのまま真似をして提供することはおすすめできません。海外の商品であっても、すでに日本国内で商標登録されている可能性があるためです。
もしその海外企業が日本でも広く知られている場合、無断で模倣すると不正競争防止法に抵触するリスクが高まります。最新のトレンドをいち早く取り入れたいところですが、思わぬトラブルに発展するのは避けたいものです。
また、現地の店舗が発信している写真や動画、ロゴなどをSNSやメニュー表へ無断使用することも権利侵害にあたります。日本で販売を始める前には、国内での権利関係がどうなっているか、事前の確認が欠かせません。そのまま真似るのではなく、独自の工夫を加えたオリジナルメニューとして提供する方法を探ってみてください。

期間限定で販売する場合でも権利侵害になりますか?

Q. 期間限定で販売する場合でも権利侵害になりますか?
A. 短期間の販売であっても権利侵害が認められる可能性があります。販売期間の長短と法的責任はまったく別の問題だからです。ここを誤解したまま見切り発車でメニューを出してしまうと、後から思わぬトラブルに発展しかねません。
「1週間だけの期間限定だから」「1日10食の数量限定だから」といった事情は、他者の権利を侵害してよい免責理由にはなりません。また、実際に商品を販売する前であっても、メニューの写真や名称をSNSや広告に掲載した時点で問題になるケースがあります。宣伝だけでもリスクが生じる点は、意外と見落とされがちなポイントです。
そのため、提供する期間にかかわらず、販売開始前の入念なチェックが欠かせません。新しく考案した料理の名称、メニュー表のデザイン、使用する写真などが他者の権利を侵害していないか、事前に確認する手順をしっかりと組み込んでおきましょう。

著作権が心配な場合はどこへ相談すればよいですか?

Q. メニューの権利関係が不安な場合、どこに相談すればよいですか?
A. トラブルが大きくなる前に、知的財産を専門とする機関へ相談することをおすすめします。提供開始後に問題が発覚すると、メニューの提供中止や損害賠償などに発展しかねないため、事前の確認が欠かせません。
具体的な相談窓口として、以下の3か所が挙げられます。
・知的財産に詳しい弁護士や弁理士
・地域の商工会議所や商工会
・著作権相談センター(公益社団法人著作権情報センター)
また、専門家からスムーズにアドバイスをもらうためには、現状を正確に伝える準備が必要です。相談へ行く前に、以下の情報を整理しておきましょう。
・自店のメニュー名と料理の写真
・参考にした他店のメニュー情報(参考元)
・現在の販売状況や提供開始の予定日
手元にある情報をあらかじめまとめておけば、専門家も状況を的確に把握でき、より具体的な解決策の提示へとつながります。

便乗メニューは法律を理解しオリジナル性を高めることが重要

トラブルを避けるには、著作権や商標権、不正競争防止法を正しく理解し、独自の要素を加えた安全なメニュー開発を行うことが基本です。ただ、権利関係の確認は専門的で、一人で判断するには不安を感じる場面も多いものです。

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