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開業するなら助成金を活用しよう!おすすめの制度や利用する際の注意点など解説

開業するなら助成金を活用しよう!おすすめの制度や利用する際の注意点など解説

開業をする職種によっては、初期費用や運転資金などまとまった金額のお金が必要になることがあります。

そんなときに役立つのが、事業者を資金面で支援してくれる助成金です。助成金を受け取ることができれば、開業時や開業後の経済的な不安を解消しやすくなります。

この記事では、助成金の概要や制度を設けている主な団体、おすすめの助成金の種類などについて紹介します。助成金の利用を検討している方は、ぜひご一読ください。

参考記事:開業とは?起業・独立との違いは?必要な準備についてもわかりやすく解説

助成金とは事業者を資金面で支援するための制度

助成金とは、主に国や地方自治体が設けている「事業者に向けた資金面での支援制度」のことです。

助成金には開業時の費用を支援するものや、人件費を支援するものなど、さまざまな種類があり、上手に活用することで企業や店舗経営時の経済的な負担を減らせます。借金とは違い支給扱いになるため、返済する必要もありません。

受給するには審査に通過する必要がありますが、原則として必要な書類を提出して条件を満たすことで審査には通過できます。気になる助成金制度があれば、まずは受給の条件を確認しましょう。

●補助金との違い

助成金と似たような役割を持つ制度として、「補助金」があります。どちらも国や自治体から支給されるお金という点は共通していますが、大きな違いは受給できるハードルの高さです。

補助金は予算と件数に上限が設けられているケースが多く、必ず受給できるとは限りません。 申し込み件数が採択件数をオーバーしている場合には、審査に落ちてしまう可能性があります。

原則として条件を満たせば受給できる助成金と比べると、補助金を受給するハードルは高いと言えるでしょう。

●融資との違い

企業や店舗の開業時に資金不足に陥ったときには、融資を受けることで資金調達をする選択肢もあります。融資と助成金の違いは、返済の必要性の有無です。

先述の通り、助成金は支給扱いになるので返済は不要ですが、融資を受ける場合は、契約内容に基づいて返済をする必要があります。

違いが曖昧な方は、助成金と補助金は「もらえるお金」、融資は「借りるお金」と考えるとわかりやすいかもしれません。

助成金を設けている主な団体

助成金を設けている団体は複数あり、それぞれで内容や特徴が異なります。自分に合った助成金を探すためにも、どの団体がどんな助成金を設けているのかについて把握しておきたいところです。

ここでは、助成金を設けている主な団体を紹介します。

●厚生労働省

助成金を設けている団体としてまず挙げられるのが、厚生労働省です。厚生労働省では、賃金引き上げを行う事業者への助成金、人材確保をサポートする助成金など、さまざまな種類の助成金を設けています。

各助成金によって内容は異なりますが、厚生労働省が設けるものは雇用や労働環境に関する助成金が多い傾向があります。

●地方自治体

地方自治体では、各自治体ごとにさまざまな種類の助成金を設けています。

たとえば、地域での創業を支援する助成金、空き店舗を利用する事業者に向けた助成金など、内容や金額は各自治体によってそれぞれ異なります。

なお、地方自治体が設けている助成金は、地域での創業など地方活性化に繋がる助成金が多い傾向があります。現在の居住地で開業する方は、住んでいる自治体が設けている助成金を探してみるとよいでしょう。

●民間企業

助成金は公的な機関だけが設ける制度と思われがちですが、中には社会福祉の発展や社会公益を目的に助成金を設けている民間企業もあります。

創業支援や研究開発の支援など、助成金の内容は企業ごとにさまざまです。公的な機関に劣らない内容の助成金を設けているケースもあります。

開業の際に補助金・助成金を受け取るメリット

開業の際に補助金や助成金を活用することには、以下の3つのメリットがあります。

●返済が不要

助成金や補助金には返済義務がありません。
返済しなくてよい理由は、助成金や補助金の原資が、企業と労働者が支払っている雇用保険料や国税、地方税などから拠出されるためです。
助成金や補助金にはそれぞれ要件があるため、それらに該当していれば申請し、受け取ることができます。
返済不要の資金を確保できることは、開業後の投資回収の面において最大のメリットといえるでしょう。

●第三者から意見を聞ける

助成金や補助金の申請時には、事業計画書を作成する必要があります。

事業計画書を作成する中で、起業する事業のビジョンや目標とする売上高などを明確に構築していくことができます。
また、審査を受けることで第三者の目線が入るため、これから始めようとする事業に対し客観的な意見を取り入れる機会にもなります。資金調達だけでなく、よりよい事業に発展させるという点においても大きなメリットです。

●外部から信用を得られる

助成金や給付金を申請する際に提出する事業計画書の審査を受けて、無事受給が決定すれば事業自体に一定の評価を受けたことを意味します。

これにより、金融機関などの外部から信用を得ることも可能です。

もし、金融機関からの融資を受けたい場合には、同様に事業計画書の提出を求められる場合が多いですが、すでにお墨付きを受けているため審査の際に有利になります。

開業の際に受け取れる補助金・助成金の税金について

給付された補助金や助成金は、経理上では雑収入や雑所得などの科目により、収入として計上する必要があります。
そのため開業の際に受け取れる補助金や助成金に対しては、税金がかかる場合があります。税金を考慮しないと、納税の時期に支払いが苦労する場合もあるので十分注意してください。

ですが、補助金の多くは対象経費の2分の1や3分の2を上限として支給されるため、通常は補助よりも経費の方が多くなり、収入がマイナスになるため税金がかからない場合がほとんどです。

但し、30万円を超える高額の設備などを購入し、その一部を補助金でカバーする場合は購入した期に減価償却費として経費計上しなければなりません。

例えば、小規模持続化補助金を活用して600,000円の看板を設置して、補助を受けたとします。

300,000円以上の看板であるため、耐用年数が10年の場合は初年度の経費計上は60,000円です。

補助金は、看板費用の3分の2である400,000円を受け取っているため、差し引き340,000円の所得が発生したことになり、所得税がかかります。

上記を表としてまとめると、以下のようになります。

30万円未満の経費の場合30万円以上の経費の場合
経費 看板費 210,000円 看板費 600,000円
助補金額140,000円400,000円
当期に計上する経費210,000円(一括処理)60,000円


※耐用年数10年の定額法換算の金額

当期の所得▲70,000円340,000円


以上のように、基本は税金がかからないものの、パターンによっては税金がかかるため注意してください。

開業や起業をする際におすすめの助成金制度5選

助成金は種類が多く、選択肢の幅が広いところが魅力です。しかし、数が多いからこそ自分に合った助成金を探すのに苦労することもあるでしょう。

ここからは、開業する際におすすめの助成金制度を5種類紹介します。どの助成金を利用するか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

参考記事:飲食店が利用できるコロナ対応の助成金・補助金・融資まとめ!自治体ごとの支援も紹介

開業や起業をする際におすすめの助成金制度5選

●地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)

地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)は、中小機構と各都道府県の団体が共同出資している地域独自の官民ファンドです 。

ファンドでは農林水産物や伝統技術を活用した商品開発、販路開拓の取り組みなどを支援しており、研究・商品開発、需要の開拓に係る費用を助成対象としています。

受給の対象となるのは、主に中小企業の経営者や創業者です。地域の独自の農林水産物、伝統技術を絡めた事業を行っている方におすすめの制度と言えます。

●キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用の労働者のキャリアアップを図る事業者を支援するための制度です。

合計で下記7種類のコースに分かれており、従業員の正社員化や賃金規定の改定などを実施した事業者が助成金を受け取ることができます。

・ 正社員化コース
・ 障害者正社員化コース
・ 賃金規定等改定コース
・ 賃金規定等共通化コース
・ 諸手当制度等共通化コース
・ 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
・ 短時間労働者労働時間延長コース

企業や店舗が労働者のキャリアアップを図る際にはコストが気になりますが、キャリアアップ助成金を活用すれば経費を削減しつつ、従業員のキャリアアップを行えます。開業時に人を雇う予定がある場合は、ぜひ活用したい制度です。

●特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金は、65歳以上の高齢者や生活保護受給者など、一般的に就職が難しいとされる状況にいる方を雇用した際に支給される助成金です。就職が困難な理由ごとに、下記6種類にコースが分かれています。

・ 特定就職困難者コース
・ 生涯現役コース
・ 被災者雇用開発コース
・ 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
・ 就職氷河期世代安定雇用実現コース
・ 生活保護受給者等雇用開発コース

就職が難しい方を積極的に雇用する場合に活用したい制度です。

●中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)

中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)とは、40歳以上の方の起業を支援するための制度です。

起業日の年齢が40歳以上の方が新しく人を雇った場合、人材募集や採用、教育などにかかった費用の一部を助成してくれます 。現在の年齢が40歳以上で、開業時に人を雇う予定のある方におすすめできる助成金です。

●各自治体が設ける創業助成金

助成金制度は、各自治体においても多数設けられています。

特に各自治体が力を入れている事業などに対しては、積極的に助成金が給付されているため、自身が開業する自治体がどのような助成金制度を実施しているかチェックしておくとよいでしょう。

例えば、東京都だと「創業助成金」という助成金制度があります。
創業助成金は創業5年以内の事業者または開業を予定している人を対象としている制度です。
助成額の限度は300万円であり、交付期間中にかかった経費のうち3分の2以内で助成されます。(交付期間は交付決定後6ヵ月~2年以内)
人件費や賃借料なども対象になるため、審査が通れば非常に活用しやすい制度です。

なお、大阪府には、「大阪起業家グローイングアップ補助金」という制度があります。大阪府内の事業者またはこれから大阪府内で起業予定の人を対象に、2分の1以内の助成率で100万円を上限とした補助金を受けることができます。
「大阪起業家グローイングアップ補助金」は、申請要件としてビジネスプランコンテストに出場し、優秀提案者になる必要があるので入念な準備が必要です。

開業する際は補助金の活用も視野に入れよう

求める内容の助成金が見つからない場合には、補助金の活用も検討しましょう。補助金は予算と件数に上限があるケースが多いですが、審査に通過して利用できれば開業や経営に関する経済的な負担を減らせます。

ここからは、開業時に役立つ補助金を2種類紹介します。
なお、開業後に申請できる補助金については以下の記事を参考にしてください。

参考記事:飲食店が利用できるコロナ対応の助成金・補助金・融資まとめ!自治体ごとの支援も紹介

●創業補助金

創業補助金とは、創業時に必要な経費の一部を国や自治体が支援してくれる制度のことです。窓口に事業計画書や申請書を提出し、審査に通過することで受け取れます。

まとまった初期費用を用意するのが難しい方、用意した初期費用の金額に不安のある方におすすめです。

●小規模事業者持続化補助金(一般型)

小規模事業者持続化補助金(一般型)は、小規模事業者の販路拡大の取り組みなどを支援するための制度です 。

審査に通過すると、50万円を上限に店舗改装やチラシ作成などにかかった費用を支援してくれます。開業後に販路開拓をするための資金が足りない方に向いている補助金です。

新型コロナウイルス関連の助成金・補助金

ここまで開業や人材雇用に役立つ制度を紹介しましたが、中には新型コロナウイルスの影響を受けた事業者に対する助成金・補助金もあります。

ここからは、新型コロナウイルスに関連する助成金・補助金を見ていきましょう。

なお、ここで紹介する新型コロナウイルス関連の助成金・補助金の内容は、2021年11月18日時点の情報です。時期によって内容が変わる可能性もあるので、利用する際は最新の情報をチェックしてください。

●月次支援金

月次支援金は、新型コロナウイルスの流行によって発生した経営への悪影響を緩和することを目的とした支援金です。次の2点を満たしている方が給付の対象となっています。

・ 緊急事態措置、まん延防止などの措置に伴う飲食店の休業・時短営業または外出自粛などの影響を受けている方
・ 緊急事態措置、まん延防止などの措置が実施された月のうち、措置の影響を受けて月間の売上が2019年または2020年の同じ月と比べて50%以上減少している方

支給される金額の上限は、中小法人だと月20万円、個人事業主の場合は月10万円となっており、返済の義務はありません。

●事業再構築補助金

事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響で変化した経済社会に対応するため、事業を再構築する方に向けた補助金です。下記の要件を満たす方が対象となっています。

・ 2020年4月以降の6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高がコロナ以前(2019年または2020年1月〜3月)の3ヶ月間の合計売上高と比較して10%以上減少している
・ 2020年10月以降の6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高がコロナ以前の同3ヶ月間の合計売上高と比較して5%以上減少している
・ 事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関を策定し、一体となって事業再構築に取り組める
・ 補助事業終了後3年〜5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、または従業員1人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上の増加

事業再構築補助金は、飲食店や小売業など業種問わず幅広く利用可能です。新型コロナウイルスの影響で事業の立て直しを検討している方は、ぜひ活用しましょう。

●雇用調整助成金

雇用調整助成金とは、新型コロナウイルスの影響によって事業の縮小を余儀なくされた状況下で、従業員の雇用維持を図る事業者を支援する制度です。

以下の条件を満たしている方を対象としており、業種問わずに利用できます。

・ 新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
・ 最近1ヶ月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している
・ 労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている

雇用維持のために雇用調整(休業)を実施する場合に、休業手当の一部などを助成してくれます。

助成金制度を利用する際の注意点

助成金は、企業や店舗を開業する際に経済的な不安を取り除いてくれる便利な制度ですが、利用するのであれば下記3点に注意してください。

・ 受け取るまでに時間がかかる
・ 確実に受け取れるとは限らない
・ 同一目的の助成金は併用できない

それぞれの注意点について順番に解説します。

●受け取るまでに時間がかかる

助成金を受け取るタイミングは種類によって異なりますが、一般的には申請から2ヶ月〜3ヶ月後が振り込まれる目安となります。

また、申請する際に書類の準備など申請に時間がかかってしまうと、助成金を受け取るタイミングも遅くなるでしょう。

そのため、開業や経営に必要な資金として助成金を元手に計画するのはおすすめできません。最初のうちは、融資や自己資金で店舗の資金繰りをする前提で開業するほうがよいと言えます。

開業にかかる費用については、以下の記事で詳しく解説しています。

参考記事:開業資金として必要な金額は?お金のトラブルを防ぐために調達方法を知ろう!

●確実に受け取れるとは限らない

助成金を受け取るためには、各制度で設けている一定の基準や条件を満たした上で審査に通過する必要があります。

支給の条件を満たしておらず、審査に通過できなかった場合は助成金を受け取れません。助成金を受け取れなくても経営が大きく傾かないよう、安定した運営計画を立てましょう。

また、支給額が大きいなどのメリットが大きい制度については、競争倍率が高くなる傾向があります。

確実に取得するためには、要件となる各項目に対して漏れなく対応する必要があります。

●同一目的の助成金は併用できない

大半の助成金は併用できますが、助成金の利用目的が同一の場合には原則として併用できないため注意しましょう。

たとえば、同じ設備を購入することを目的に2種類の助成金は利用できません。ひとつの目的に対して1種類の助成金を利用するのが基本です。

申請後に「別の助成金に申請しておけば良かった」と後悔しないためにも、利用する助成金の内容をしっかりと比較した上で決めることをおすすめします。

利用できる助成金を把握して開業準備を整えよう

店舗や事務所の準備・工事など、開業時には多額の初期費用が発生するケースもあります。資金面に不安のある方は、自分が利用できる助成金の種類を把握し、経済的な不安要素を取り除きつつ開業準備を行いましょう。

また、開業準備を進める上で心配事がある方は、「canaeru(カナエル)」のような開業準備を支援してくれるサービスを活用するとよいでしょう。

開業支援サービスで資金の相談をしたり、サポートを受けたりすれば、安心して開業準備を整えられます。これから開業を予定している方は、ぜひ利用を検討してください。

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この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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