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自宅開業(プチ起業)を行う人が年々増えています。日本政策金融公庫(日本公庫)が公開している「新規開業に関する調査」のレポートによると、サラリーマンの副業や育児中の主婦のスキマワーク、シニア世代のセカンドキャリア形成など、年齢や性別を問わず様々な人が自宅開業という選択肢を選んでいるようです。
ネットの普及によって労働の形も日々変化していることもあり、日本では2011年以降は新規開業率も年々増加しています。これらの事実から、開業のハードルは少しずつ下がってきていると言えるでしょう。
この記事では、自宅で開業できる仕事にはどんなものがあるのか、実際に開業をする際の手続き方法について見ていきます。自宅で開業を行うメリットと、その手続き方法
自宅で開業するメリットは、何といっても「働く時間と場所を自分の都合で自由に選べること」です。実際、日本公庫の調査でも、開業した個人事業主のうち69.9%もの人が「起業してよかったこと」として「自由に仕事ができる点」を挙げています。
また、自宅のスペースの一部を事業に利用すれば、事務所の分の賃料がかからないのもポイントです。物件取得や月々の賃料は開業にかかる費用の中でも資金使途の大きな割合を占めるため、この費用を大幅に抑えることができるというのは自宅開業ならではのメリットと言えるでしょう。
さらに、確定申告を行う際には家賃や光熱費、ガソリン代といった月々にかかってくる固定のコストも、その一部を経費として申請することができるため、節税の面でも恩恵があります。開業する際の手続き
在住地域を所轄している税務署で「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」という届出を出すだけなので、開業に必要な手続きは非常に簡単です。費用などがかかることもなく、窓口が開いている時間(平日の8:30~17:00)に税務署に行くのが困難な場合には、郵送で提出することもできます。
開業の届け出を出す際には「青色申告承認申請書」を提出する場合も多いです。これを提出することで、確定申告の際に青色申告を行うことができるようになります。
青色申告では、事業所得から最大で65万円を差し引くことができる「青色申告特別控除」といった制度を利用したり、事業のためにかかった経費を赤字として3年間にわたって繰り越せる「損益通算」を行ったりすることで、節税が可能です。自宅で開業できる仕事には何があるのか
ネットショップを開く
在宅でもできる仕事の筆頭は、ネットを利用したものでしょう。特にネットショップなどは、開業に際して特別な知識や資格も必要ないため、人気のあるビジネスモデルです。
また、実店舗を持たずに始められるネットショップは、仕入にかかるコストや配送料といった運転資金を除けば0円~数万円で開業できるのが魅力です。対して実店舗を持つ場合、月々の物件の賃料はもちろん、保証金(賃料の6~12ヵ月分程度が相場)や内外装の工事(坪当たり30~50万円が相場)がかかってくるので、開業資金には非常に大きな差が生まれます。
ネットショップというと敷居が高く、法人しかできないイメージがありますが、今は個人向けの開業プラットフォームも非常に増えているため、簡単に開業が可能です。知識や経験を活かし、サロンや教室を開く(ネイル、エステ、ピアノ、料理、英会話など)
自分の培ってきた技術を用いてサロンや教室を開く開業のスタイルです。開業動機として「趣味や特技を活かしたい」と考えている人に向いたビジネスと言えるでしょう。
こうした開業動機を持っている人を対象に特別調査を行った日本公庫の「趣味起業家の実態と課題」というレポート によれば、相対的に女性に人気のある業務形態で、主婦の割合も高い傾向にあります。
また、提供するサービスによっては、必須ではなくとも資格を持っていたほうが有利な場合があります。たとえばエステサロンやネイルサロンを開業する場合などは、通信教育でも取得が可能な民間資格があります。
なんといっても好きなことを仕事にできるというのがサロンや教室開業の醍醐味ですが、こうした事業を自宅で開業する場合、「自分の家にお客様を招く」ことになるため、トラブルを防ぐための対策が必要になります。
事業に利用する空間と生活空間を分けるといったプライバシーを守るための対策はもちろん、賃貸住宅でこれらの事業を行う場合には、大家さんや管理会社から許諾を得る必要があります。無許可で営業をすると賃貸借契約違反で立ち退きを求められる場合もあるので注意しましょう。クラウドソーシングを利用する(ライター、デザイナーなど)
「文書を書くのが好き」「ウェブデザインが得意」「編集やデザインの仕事をしていた」といった能力や経験、意欲があるなら、クラウドソーシングを利用してフリーランスのライターやデザイナーとして仕事を行うこともできます。
クラウドソーシングとは、オンライン上で仕事を受発注できる仕組みのことで、営業に時間を使えない場合でも、自分のスキルに合った案件を探すことができます。募集されている案件はアンケートに答えるだけのものから、専門的なスキルが求められる案件まで多岐にわたります。
クラウドソーシング市場は急成長を遂げている分野で、一般社団法人クラウドソーシング協会が公開した資料によれば、2013年には215億円程度だった市場規模が2020年には2950億円にも到達すると言われています。
アメリカでは政府がクラウドソーシングの積極的活用を指示しており、国家規模のプロジェクトやNASAのアルゴリズム開発などの事例もあり、世界規模で注目されている働き方です。フランチャイズで開業を行う(清掃手伝いなど自宅開業可能なフランチャイズもある)
一方、「フランチャイズで開業をする」という方法もあります。フランチャイズというと、コンビニエンスストアやチェーン店、飲食店など、開業に多額の資金が必要になるイメージがありますが、自宅でも開業が行えるビジネスモデルもあります。
そもそもフランチャイズとは、事業主が運営本部にロイヤリティーを支払う代わりに、運営本部の持つ商標や経営ノウハウ、技術や経営面での指導などを得ることができる契約のことです。これらの運営本部のサポートがあるため、未経験の仕事でもスタートしやすく、かつすでに成功したことのあるビジネスパッケージを利用できることから事業を軌道に乗せやすいといったメリットがあります。
たとえばフランチャイズに加盟してエステティックサロンを自宅開業する場合などは、具体的な施術の研修を受けたり、必要な機材の貸し出してもらったりといったサポートを受けることができます。
また、学習塾や幼児教室、結婚カウンセラー(結婚相談所)、キャリアコンサルタントなど、フランチャイズに加盟して開業することができる事業の内容は非常に多岐に渡ります。興味のある分野からフランチャイズ本部を探すといったこともできるでしょう。
事業主が契約を結ぶフランチャイズ本部や業務形態によって一日あたりの平均就労時間なども様々ですが、自分に合ったフランチャイズを見つけることができれば、スムーズに自宅開業が行えます。資格を活かしたコンサルティング業(フィナンシャルプランナーなど)
専門的な知識を活かして企業や個人にアドバイスを行う、コンサルティングというビジネスもあります。たとえば金融や保険のプロフェッショナルである「フィナンシャルプランナー」や、ウェブサイトのデータ解析を得意とする「ウェブ解析士」などがこの業態にあたります。
クライアントは個人だったり法人だったりコンサルティングを行うジャンルによって様々ではありますが、対面での打ち合わせなどを行うこともあるため、自宅の一部を事務所として利用することで自宅開業が可能です。
クライアントの抱える問題を解決するための相談に乗ってあげる仕事ということもあり、コンサルティング業を営むには深い専門知識やそれを裏付ける資格取得が必要になることも多いですが、逆に言えば自分の職業経験や実績、資格を活かせる仕事でもあります。
経営戦略やM&Aによる事業統合といった企業経営のトップレベルの相談に乗る「戦略系コンサルタント」から、クライアントに似合う服の色や髪の色を提案する「カラーコンサルタント」まで、コンサルタントが活躍しているジャンルは多岐に渡っているので、自分の能力を活かした開業を目指すことができるでしょう。開業をする上では「利益の追求」も重要
場所や時間を制限されずに仕事ができる個人事業主(フリーランス)という働き方に魅力を感じている人は多いですが、事業を行う以上は利益の追求は必要不可欠な視点です。「好きな時間に好きな場所で働いて大儲けできる」のは理想ですが、現実はそううまくはいきません。
日本政策金融公庫の調査によると、自宅開業や少額開業を行った人は「仕事のやりがい」や「私生活の満足度」は勤務者と比べて非常に高い傾向にあるものの、反面で「収入が安定しない」「収入自体が少ない」といった問題を抱えていることが分かっています。
理想のライフワークバランスを実現するためには、同業者の売上の傾向を調査したり、自分が1日あたりどの程度事業に時間を使えるのかを考えたり、お金と時間の両面から地に足のついた事業計画を立てるべきです。
開業はあくまでも目的ではなく手段であるということを理解していないと、理想と現実のギャップに苦しむことになる可能性もあります。この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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