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まだ食べられる食品が廃棄されてしまうことを「食品ロス」や「フードロス」といいます。食品ロスは世界的な問題であり、飲食店にとっても経営コスト削減のために見直すべき課題となっています。この記事では、食品ロスの問題や、飲食店が取り組める食品ロス削減についてご紹介します。
目次
飲食店にて食品ロスが出てしまう理由
近年食品ロスは問題視されていることの一つでもあり、お店側に少しでも食品ロスを出さないようにと言う声も出されているのです。しかしながら最近では、インスタ映えを狙って料理を注文して、写真を撮るだけとって食べない若者が増えているのが現状です。
食品ロスは今、世界的にも問題視されている
国連食糧農業機関(FAO)の発表によると、世界では1年間に13億t近くの食品ロスが発生していて、これは世界10億人の飢餓人口を十分に解消できる量だといわれています。そればかりでなく、食品ロスは世界規模で多くの問題を引き起こす原因になっています。
食品が廃棄されるということは、その食品を作るための水、土地、エネルギー資源が無駄になったということを示します。世界の多くの紛争はこうした水、土地、エネルギー資源を巡る争いがほとんどですし、その紛争はさらに土地を荒廃させ、食料不足の地域を生じさせます。一方では食料を廃棄しているのに、一方では不足しているという事態がこうして起こってしまうのです。
資源の無駄遣いは、過剰生産と言い換えることもできます。例えば、余分な農地を開墾してしまうために広大な森林が失われ、自然破壊が起こり、地球の温暖化が進み、環境負荷が増大してしまいます。
また、捨てる必要がないものを廃棄するために税金が使われ、企業でも廃棄物処理のために余分な経費がかかります。その分、税金や物価が高くなり、結局一般の人々の生活を圧迫することにつながるのです。欧米先進国では消費段階での食品ロスを減らす取り組みが行われている
食品ロスは先進国・開発途上国ともに問題となっていますが、先進国では、主に卸売りや消費段階に食品ロスが多いという特徴があります。
そのため、欧米先進国においては、消費段階での食品ロスを減らす様々な方法が考えられ、取り組みが始まっています。
例えば、海外では外食での食べ残しを持ち帰る「ドギーバッグ」はすでにおなじみの習慣です。また、スペインには、地域の共有の冷蔵庫に飲食店で余った食品を入れておき、必要な人に無料で提供するシステムもあります。
一方日本では、食中毒の心配があるためか、食べ残しの持ち帰り習慣がありません。国民性としても鮮度にこだわりが強く、なかなか海外のような積極的な食品ロス対策が進みにくい背景があります。食材の廃棄削減のために飲食店ができる7つのこと
世界的に問題になっている食品ロスは、飲食店においても大きな問題。飲食店での食品ロスは、お店側の「仕込み過ぎ」、お客様側の「食べ残し」の2つが主な原因と考えられています。仕込み過ぎによる食品ロスは原価率を上げる原因になるので、飲食店が食品ロス問題に取り組むことは経営を見直すよいチャンスになります。
政府や自治体も取り組みを行っており、例えば自治体の「食べ切り協力店」事業などに参加して、食品ロス対策に協力する店として登録されれば、店のイメージアップや知名度を上げることにつながるでしょう。
ここでは、具体的に食品ロス削減のために飲食店ができることを7つあげてみました。1. 食品ロスの程度や廃棄にかかっている経費を調べる
まず、実態を知ることが大切です。毎日どのくらいの食品ロスがあって、どのくらいの経費が廃棄にかかっているかを算定してみましょう。どの過程での食品ロスが多いのかを調べることも大切です。
2. 規格外の食材も使用し、仕入れの量を見直す
野菜や果物など、仕入れの段階での劣化や傷を見越して多めに仕入れることはよくあることです。一方、刻んでしまう食材などは、規格外のものでも味に変わりがない場合もあります。
近所の青果店から仕入れれば、見栄が大事な食材は型崩れのないものが手に入りますし、あらかじめ相談して、食材によっては規格外のものを安くわけてもらうようにしてみるのも一つの方法です。
また、仕入れる数量は毎回確認し、必要な分だけを仕入れるようにしましょう。3. 期限切れにならないよう保存や収納を工夫する
期限切れによる廃棄ほどもったいないことはありません。収納方法を工夫して、食材は古いものから使い切るよう従業員への指導を徹底することも大切です。
4. 適正な仕込み量を把握する
毎日のオーダーを見直して、適正な仕込み量を把握しましょう。あるいは、オーダーを受けてから調理できるオペレーションに改善可能か検討してみましょう。
5.「売り切れ御免」「小盛り」などのメニューの工夫
仕込み量を見込みにくい、あるいは材料の保存が難しいメニューによっては、仕込んだ数だけオーダー可能な「売り切れ御免」メニューにするのも一つの方法です。そのメニューに特別な付加価値がついたイメージになり、かえって集客につながる場合もあります。
また、お客様の中には、ご飯の量などが多すぎて残してしまう方も。「大盛り」だけでなく「小盛り」メニューを作ると喜ばれるでしょう。6. 食品ロスが出ないようメニューについてよく打ち合わせする
宴会などでは、「食べ放題」や「おまかせ」にするよりも、できればお客様の年代や性別の構成を聞いてメニューを決めたほうがお客様にも喜ばれますし、食品ロスも少なくなるでしょう。手間はかかりますが、メールのやり取りで済むこともあるので繁忙期ほど打ち合わせは大切です。
7. 食べ残しの持ち帰りにも柔軟に対応する
食べ残しの持ち帰りは、日本ではこれまで推奨されてきませんでした。しかし、農林水産省は、消費者庁・環境省・厚生労働省とともに『飲食店等における「食べ残し」対策に取り組むにあたっての留意事項』を2017年に発表しました。[注1]こちらには、「食べ残しの持ち帰り」について、食中毒を防ぐための注意点が消費者と飲食店に向けて記載されています。
日本では、万が一、持ち帰った食べ残しで食中毒が起こった場合、飲食店側に責任が問われるか否かについて明確な法的判断が現時点では出ていません。しかし、お客様から希望が合った場合にはドギーバッグを提供したり、保冷剤をサービスしたりするなどの柔軟な対応をすべき時期に来ているのかもしれません。
[注1]
農林水産省『飲食店等における「食べ残し」対策に取り組むにあたっての留意事項』フードシェアリングのサービスとは
食品ロスを無くすために、近年注目されてきているのが、フードシェアリングサービスです。フードシェアリングサービスとは、いわゆるお店にて食品が余ってしまった場合に、その食品が欲しいというお客様をマッチングして譲り受け、食品ロスを無くすというサービス。このフードシェアリングのお店側のメリットとしては、食品ロスをなくすことができることで、逆にマッチングしたお客様側のメリットとしては通常よりも安く食品を手に入れる事ができます。フードシェアリングサービスは、お互いにウィンウィンな関係なサービスなのです。
TABETE
そんなフードシェアリングサービスの一つであるこのTABETEは、捨てられてしまう危機にある食事をお客様とマッチングすることにより食品ロスをなくすことができる社会派ウェブサービスとなっています。
Reduce Go
Reduce Goは、食品ロスを減らしたいという飲食店と、お店の料理を安く食べたいユーザーをマッチングしてくれるフードシェアリングサービスです。また、定額1,980円にて月2回まで受け取ることができるということが特長的となっています。一時期、人気すぎて事前登録を一時中断していたこともあるほどの人気アプリとなっています。
食品ロスを削減する方法
では、食品ロスを削減するためにはどのような方法があるのかご紹介していきます。
・フードシェアリングサービスの利用
先程ご紹介をした通り、フードシェアリングサービスを利用すると良いでしょう。
・事前に仕込みすぎない
適度な仕込みの量を知ることにより、仕込みすぎを防げます。
・食べ残し対策の少食の人用のメニューを作る
食べ残し=量が多いという方も居ますので、そのような方のためにも、少々の人用のメニューを作るなど、メニューに工夫をすると良いでしょう。フードシェアリングのメリット・デメリット
フードシェアリングのメリットは、食品ロスが減るばかりでなく、フードシェアリングに参加している店ということで、意識の高い店としてお店のグレードが上がります。新しいユーザーに店を知ってもらえるメリットもあるでしょう。味が気に入れば、フードシェアリング以外でも利用してもらえるかもしれませんね。
注意点としては、アプリを扱うのが得意な人が必要になる点があげられます。人手不足で、それどころではないという店も多いのではないでしょうか。また、引き取り手がなかなか来店しない、急なキャンセルなどのアクシデントがあった時、そこまで手間をかけてフードシェアリングをしていては採算が合わないという場合もあるでしょう。
日本ではまだ普及していない考え方ですから、今後の展開を期待したいですね。お店の食品ロスを再点検して対策に取り組む
食品ロスは、地球規模の深刻な問題であると同時に、飲食店にとっては経営に直結する課題でもあります。まずは自分のお店の食品ロスを再点検し、できるところから対策にチャレンジしてみませんか。消費者の関心も高まっている昨今、「あのお店は食品ロスに意識が高いから好感が持てる」という理由で集客できたら一石二鳥ではないでしょうか。
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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