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入間市・ジョンソンタウンで開業した人たち-この場所がもたらすもの-

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埼玉県入間市にある話題の人気スポット「ジョンソンタウン」。ここで現在店舗を運営している人たちは、どのような経緯でこの場所を開業の地として選んだのか。そして、この地で開業することのメリットを4人の飲食店経営者にお聞きした。第3回目では、メロウフードカフェの経営者で、この街に家族4人で暮らす高橋みきえさん、そして、レンタルスペース完備のカルチャーカフェ グランディールを経営する皆川安季子さんにお話を伺った。

店舗兼住宅のメリットとは?

1人でカフェを切り盛りする経営者として、この街に暮らす2児の母として、この街はどのように見えているのだろうか?
育休中に起きた3.11の東日本大震災(2011年)が、メロウフードカフェの経営者で、この街に家族4人で暮らす高橋みきえさんが開業に至る大きなきっかけだった。

店舗兼住宅のメリットとは?

子育てにもぴったり?店舗兼住宅は子どもの成長を実感させる

3.11以前は電車で1時間かかる東京のレストランに勤めていた高橋さんだったが、「有事があったときに、家族のもとに母親が帰って来られない環境はまずいんじゃないか」との思いから、「自宅で自分のお店を持つ」ということを具体的に考えるようになっていく。
そして、いざ開業するとなったときに、開業地として、住居として選んだのが、ジョンソンタウンだった。

友達が入間に住んでいたという関係から、かつてのこの地を知っていたという高橋さん。当時の様子を「掘っ立て小屋のようなボロボロの米軍ハウス群という印象だった」と語るが、それから数十年の月日が経ち、家族で内見に訪れた際には、このエリアが見違えるほどキレイになっていたことに驚いたと言う。
もともと「米軍ハウス」という住宅にも思い入れがあったことや(福生の米軍ハウスでも店舗を探していた)、小・中学校や公園が近くにある環境が子育てに向いているとの理由からこの場所を選んだ。

高橋さんのカフェは店舗兼住宅。家族との関係にはどんな変化があったのだろうか。
「親がどんな風に働いてお金をもらって家のご飯のお金を稼いでいるのかを直接見るって、子どもにとってめちゃめちゃ社会勉強になっていると思います。率先して子どもたちも手伝いをしてくれるので助かっていますし、常に家にいるのでやはり子育ての面でも目がきちんと届く安心感としてメリットがあると思います」と話す。
親と子どもが近い距離にいるからこそ、「親の背中を見て育つ」ではないが、子にも感じるものがあり、それが子の成長につながっていることを高橋さんは実感している。子どものことを語る高橋さんの顔はとても幸せそうだ。

駅から徒歩18分のお店はビジネスとしてプラスか、それともマイナスか。

子育ての場所としても最高の場所であるジョンソンタウン。しかし、ビジネスの観点から考えたら駅から徒歩18分はマイナス要素に感じてしまう。そのあたりはどうなのだろうか。
「ビジネス的なことを考えたら駅ビルや駅の周りの商店街とかに入った方がいいでしょうし、集客としてもジョンソンタウンはそんなにおすすめの場所ではないですけど、それよりもこの街の“非日常感”に魅力を感じました」。
そう話す高橋さんには、カフェに対する確かな思いがあった。
「カフェってすごく特殊な飲食店だと思うんです。今はコンビニに行けば美味しいごはんが500円以下で食べられて、ファミリーレストランなら見た目がきれいで美味しいものがたくさんあります。じゃあ、なんでカフェに行くのかって言ったらお腹を満たすだけじゃないプラスαの物語を求めてくるんですよね。それを発信するためにも、私が求める非日常な雰囲気のあるカフェは、駅ビルではなくてここじゃないと出せないなと。駅からの距離は気になりませんでした」。

駅から徒歩18分のお店はビジネスとしてプラスか、それともマイナスか。

開業の第一歩は事業計画書を形にすること

高橋さんはお店に来るお客様から「カフェを開きたいんです」とよく声を掛けられるそうだ。その問いにどんな答えを返すのかを聞くと、
「第一歩は事業計画書をきちんと形にすることだとお伝えしています。誰かに提出するから作る、じゃなくて、その計画書が今後の自分自身の指針になるんです。私は自分がお店を作った時にどんなコンセプトでどういう人にどんな想いを持ってやりたいか、どんな料理をどんな原価でやるかなど細かくきっちり書いたんですけど、いまだに見返しますし、今でもその気持ちはブレていません。だからお店をやりたいのならまずは書き出して自分の想いを形にする事がスタートです」。
お店をはじめてからは、
「キチンと軌道修正する部分はしながらも、ブレない事が大事だと感じています。このメニューを作ったら売れるんじゃないかとか、流行っているからこれをやろうとか、売れようと思ったお店作りって続かないんですよ。でも自分の好きなものを発信している、これしかできないからこのスタイルでやっているんだっていうお店は残っているんですよね。やり続けるにもそっちの方が楽しいんです。もちろん流行りにのるっていうやり方もあると思うし、大きいグループ会社だと3年で飲食店を潰して流行りのものを追いかける戦略の会社もあります。でもこの記事を読まれている方はほとんどが個人事業主だと思うので、流行りを追うよりも自分が何を伝えたいのかを事業計画書できっちり形に残してそこからブレないようにすれば、長く続けられるんじゃないかなと思います」。
高橋さんのカフェに対するブレない思い、ブレない気持ちがこのお店を支えている。

開業の第一歩は事業計画書を形にすること

身近なところにお店のコンセプトはある?

カルチャーカフェ グランディールを経営する皆川安季子さん。カフェでありながら、2階のスペースはレンタルルームとして貸し出している。この形態は皆川さんのコンセプトだ。
「ネイルやお花など、主婦には手に技術がある人がいっぱいいて、お友達同士で誰かの家に集まって教えてもらうみたいな機会が何度かあったんです。でもそのとき思ったのが、家を片付けなきゃ人を呼びたくないっていう友達も多かったので、そういう人がいつでも集まれるカフェができたらいいなぁって考えたことがきっかけです」。
そこからカフェの開業方法を調べ始めたそうだが……開業まではあっという間だった。
「ネットで検索してみたら”カフェ開業スクール”にヒットしたので軽い気持ちで資料請求して、学校見学に行ったら『ぜひ通ってください!』と言われ、ものは試しと軽い気持ちで通い始めて(笑)。結局、週2回で2年間通って、授業の最終段階では不動産屋さんで物件を探して開業をシミュレーションしたんです。その授業でたまたまジョンソンタウンを観に行ったら気に入って、そこからトントン拍子で開業しちゃいました(笑)」。
おしゃれな場所で開業したいというミーハーな気持ちがあったと皆川さんは笑って言うが、『ママ友が集まれる場所としてカフェを開く』というのが目的。地元から近く、駐車場もあり、静かで子どもを連れて行きやすい環境だった、という点でも、ジョンソンタウンは打って付けの場所だった。

身近なところにお店のコンセプトはある?

カフェとレンタルスペースを併用することの悩み

1階のカフェと、2階のレンタルスペースをどのように使い分けているのかと聞くと、
「2階はレンタルスペースにしていて公民館のように使ってほしいって思っているんです。公民館は営利目的ではなかなか借りられないけど、ママたちはやるなら少しでもお小遣いがほしいと思うんです。そういう人に気軽に借りてもらいたいなと思い、レンタル料は何人来ても1時間500円(土日は1000円)。その代わりドリンクでも食べ物でもいいので1人一品注文していただくんですけどね。ただ、借りたいという方は日曜日に集中しがちで、うちは1階もそんなに座席数がないので混んでくると2階に入っていただくんですけど、休日のランチ時間に2階に予約が入るとうちの利益的に苦しくなってしまうので、なかなかうまくいかないなっていうのが最近の悩みどころでもあります」。
そんな状況でも2階をレンタルスペースとして貸し出している。

カフェとレンタルスペースを併用することの悩み

食器はジョンソンタウン内の雑貨屋さんから調達!

ちなみに、カルチャーカフェ グランディールの食器はジョンソンタウン内の雑貨屋さんで仕入れている。
「うちで使っている食器はジョンソンタウン内にあるアガサさんで買っているんですよ。なので『食器が足りない!』っていうときはすぐに買いに走れるのは助かります(笑)。普通なら業者に頼んで発注してっていうことになると思うんですけど、足りないときにすぐ補充できるのは安心ですよね」。
食器を使ったお客様からは「これステキね」と言われることもあるそうで、
「店内にはアガサさんの食器を販売用に置いています。これは私の売上ではないのですが(笑)、こういう関係性がいいですよね」。
こんなところでも、ジョンソンタウンの横のつながりが感じられた。

食器はジョンソンタウン内の雑貨屋さんから調達!

第4回目の連載では、第1回目に登場していただいた、この街を管理する磯野商会の磯野章雄さんと、第2回目、第3回目に登場していただいた、イーストコンテンツカフェ・赤久保良二さんと、黒糖カフェKAFUU・池上小枝子さん、メロウフードカフェ・高橋みきえさん、カルチャーカフェ グランディール・皆川安季子さんの4人の経営者のお話から、なぜ、この場所は街として”成功”したのか考察していく。

【プロフィール】
高橋みきえさんプロフィール
1980年生まれ、埼玉県ふじみ野市出身。調理学校を卒業後は都内のエスニックレストランやカフェの厨房を渡り歩き、2008年に独立してからは料理教室やフードコーディネイター、フードスタイリストなどを数多く経験。2012年に念願だったカフェメロウフードカフェをオープンした。

メロウフードカフェ(MellowFood CAFE)
埼玉県入間市東町1-5-6 ジョンソンタウン内1144ハウス
http://www.mellowfood.net/
埼玉県入間市にあるカフェ。海の匂いを感じるエキゾチックな店内は大工のご主人の指揮のもと家族総出で作り上げたこだわりの空間。料理の仕事を通して蓄えてきた数あるレシピを土台にして考案したオリジナル料理には定評があり、味の虜になって何度も訪れる人も。


皆川安希子さんプロフィール
埼玉県出身。幼稚園教諭として3年働いたのち結婚を機に家庭に入り、女の子2人を育てる。子どもたちが手を離れる頃に再び幼稚園に復帰。その後、仕事の傍らカフェ開業スクールに通い、2013年にグランディールを開業。

culture café Grandir(カルチャーカフェ グランディール)
http://www.cafeegrandir.com/
入間市東町1-2-11 ハウス2429N

野菜たっぷりの身体が喜ぶ美味しいメニューで女性の支持を集めるカフェ。本格的なオーブンで焼き上げるシフォンやガトーショコラなどのスイーツメニューも人気。2階のレンタルスペースでは着付け教室やお昼寝アート、カイロプラクティック体験会など、様々なイベントを定期的に開催中。

ジョンソンタウン

埼玉県入間市にある、米軍ハウスと呼ばれる平屋のアメリカン古民家と、平成ハウスと呼ばれる現代的低層新築住宅が、樹々の間に点在して建っている自然豊かなレジデンスプレース。映画やドラマのロケ地として使用されたり、さまざまなメディアに登場し、近年人気を集めている。

ジョンソンタウン

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