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開業する前に知っておきたい飲食店が閉店してしまう理由と運転資金の動かし方

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飲食店は比較的に開業しやすい業種である反面、廃業率が高いともいわれます。開業から1年未満に閉店する割合は3割を超えるとするデータもあり、計画的な経営を行わないと生き残ることはできません。開業してすぐ閉店してしまうお店の特徴から、生き残るためにできることを考えてみましょう。

運転資金は開業から6ヶ月を目安とする

開業してすぐ閉店にいたってしまう理由のひとつに運転資金不足があげられます。すでに顧客基盤を持っている、非常に有利な立地にあるなど特定の理由がない限り、明るい兆しが見えるまでには最低6ヶ月といわれるためです。この期間は売上が不安定になっても仕入れや家賃の支払いができるように、運転資金を準備しておく必要があります。資金が足りなくなってから融資の相談をしても通りにくい傾向があるため、創業融資と開業に向けて貯めた自己資金が必要です。

総投資額の3分の1は自己資金が望ましい

「0円開業」といった類いのノウハウ本もありますが、自己資金を使わずに開業直後の苦しい時期を乗り切るのは至難の業です。総投資額の3分の1は自己資金でまかなうことを前提として計画を立ててください。創業資金として1000万円を考えているなら、300万円くらいは預貯金を貯めておきたいところです。自己資金の割合が高いほど返済が楽になり、開業後の収支も安定します。

創業融資を受けるために今すぐにでも始めたいこと

飲食業を始めるにあたって多くの経営者が利用する日本政策金融公庫の「創業の手引き+」を参照すると、以下3つのことを行うように示されています。

1. 開業前の実績を記録に残す
開業前に飲食業を行っている人であれば、技術力や店舗運営のノウハウを客観的に示す記録を残してください。収益を伸ばすために自ら提案しておこなったキャンペーン内容と成果、新メニューの企画とお客さまの反応など日常的に記録を残す習慣ができると、融資審査で役立ちます。

2. 計画的に貯蓄する
開業を考え始めたタイミングから計画的な貯蓄をスタート、自己資金をコツコツ貯めた実績を作りましょう。開業に向けた努力を目に見える形で示すことが金融機関の信頼にもつながります。知人や家族の協力を得る方法もありますが、できる限りは自分の貯蓄を作ってください。

3. 公共料金の支払いを引き落としにする
ガスや水道、電気の支払いや年金の払込を口座経由で行うことで、通帳に記録が残ります。決められた期日までに計画的な支払いを行っている履歴が審査の支援材料となるため、早い段階から手続きを行いましょう。支払いを行ったら記帳をして記録に残し、融資の申込時に持参します。

お店を知ってもらうための能動的な戦略が必要

開業したら自然にお客さまが来てくれるわけではなく、お店の存在を知らせて、来店を促すための仕掛け作りが必要です。グルメサイトへの情報掲載やポスティング、ホームページの開設など、広告活動にかかる費用も資金計画に組み込みましょう。

内装工事の期間中から告知を始める

開業してすぐお客さまが来る仕掛け作りは、工事期間中にも行えます。外壁にポスターを張ったりSNSアカウントを開設、メニュー作りの様子や内装工事の進捗をタイムリーに情報発信したりして、近隣エリアを通る人に関心を持ってもらえるような仕掛けを考えてみましょう。オープン景気でどのくらいのお客さまを集められるかが開業して最初にやってくる正念場です。多少のコストにはなりますが、割引や1品サービスなど特典がついたクーポンで、できるだけたくさんの人に来てもらえる工夫をしましょう。

来てくれた人が満足できる従業員教育

クーポン特典を目当てにたくさんの人が来てくれても、満足がいく対応ができなかったらそれっきりになってしまいます。接客に慣れていない従業員ばかりでは、料理の提供が遅れたり会計を間違えたりして、ネガティブな印象になってしまうリスクと隣り合わせの状況です。知人や関係者への挨拶を兼ねてプレオープンの日程を確保、オープン当日に向けたシミュレーションを行うなど、不安を軽減できる対策を考えてみましょう。

そもそも、業種や店舗規模に合うだけの従業員を確保できないと、どんなに一人ひとりが頑張っても対応できないことはあります。喫茶店や一般食堂の平均的な人件費率は35%くらいです。質の高い接客を売りにしているバーや小料理店では、もう少し人件費の割合が高くなることもあります。こだわりの原料を使った料理を売りにするフード重視の形態では、人件費を最小限に抑えて原材料費を高める選択も可能です。お客さま満足度を高めるために必要十分な人員を確保しつつも、運転資金振り分けを考えておく必要があります。

拡散したくなるメニューの工夫

来店されたお客さまのSNSから口コミが広がり、人気店になる事例もあります。「こんなお店がオープンした」と写真付きで投稿したくなるような看板メニューを売りにして、オープン景気で来てくれたお客さまからの拡散をねらう手法も考えてみましょう。近年の傾向として、写真映えするスイーツやランチメニューが好まれます。これからメニューを企画する段階なら「#カフェ飯」「#ワンプレート」などお店のコンセプトに合わせたタグでSNS上の人気投稿をチェック、拡散したくなる料理のヒントを探してみましょう。

写真付きのSNS投稿をしてくれたお客さまに対して、限定特典をつけるのも一案です。オープン記念の特典を目当てに来店、SNS投稿したくなる看板メニューを注文、感想をシェアする、シェアをした本人が投稿画面を提示して得られる特典目当てに再来店・投稿を見て関心を持った人が初来店といったサイクルができれば、新規顧客とリピート顧客の両方を獲得できます。

安定成長できるストーリーを描く

外食残業自体は縮小傾向にあり、ピークの時と比較して8割程度になったとする説もあります。コンビニやデリバリーサービス、通信販売など類似業種の拡大の影響も受け、競争は激化している状況です。それでも飲食店での開業を目指す人は多く、適切な努力なしには閉店となってしまいます。開業してから評判の繁盛店になるまでの安定成長ストーリーを描き、地道な努力が必要です。

2年目は前年同月比2~3割増の売上が目標

閉店せずに何とか1年乗り切って2年目に入ったら、前年度よりも堅調な売上を維持できる状態になっているかを検証します。売上ベースで前年同月比2~3割増になっていれば好調、ほとんど変化が見られないようなら、改善が必要です。状況改善を目指した能動的な施策をきちんととっていれば、1年経った頃には何らかの反応が出てきます。よくも悪くも変化がないということは、お店をよくするためのアイディアを出しているつもりになっているにすぎず、実は何もできていないことの裏付けです。

お客さまの需要に合わせるためにメニューの改訂を行ったり新しいサービスを始めたりしても、すぐに変化が出るものとはいえません。運転資金をすり減らしている状態なら早い段階で手を打たないと、状況は変わらないということです。常に先を見通して先手を打っていくことが安定成長を成し遂げるポイントとなります。お店の将来を見据えた改善を行うことは経営者の責任ですから、明るい未来につながるような具体的な行動をおこしましょう。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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