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”たむけん”の愛称で親しまれているタレントのたむらけんじさん。お笑いタレントとしてだけでなく、焼肉店や中古車屋などを経営するビジネスマンとしても有名です。テレビでは決して見せない(!?)実業家・たむらけんじに迫ります!
第4回はビジネスとお金についてお聞きしました。真剣に商売をやっています!
――『なぜド素人経営者の焼肉屋は繁盛したのか?』で印象的なのが「ゲーム感覚の経営」というフレーズです。
たむら:もちろん、僕はホンマに真剣に商売やってます。「経営はゲーム感覚で」って言葉だけ聞いたら「ナメるなよ」って思う人もいると思うんですけど、この言葉って、「お金を追いたくないからゲームをやっている感覚でいたい」っていうことなんです。昔は、毎日売り上げを取りに行って、それを銀行に入れて……ってやってたんですけど、毎日入れていくと、当時の僕からしたらとんでもない額がどんどん入ってくる。そこに溺れてしまったら、絶対におかしくなるって思ったんです。だからこれはもうゲームとしてやらなアカンと。『桃太郎電鉄』って、何十億ってお金がつくじゃないですか。でもあのお金で何にも出来ませんやん。せやけど嬉しいですやん? で、ボンビーにほられたら腹立ちますやん(笑)。そのくらいの感覚でやらなアカンなってずっと思ってます。「ゲーム感覚」の経営を意識すると、肩の力を抜ける
――お金って人を変えますか。
絶対に変えると思います。僕らも絶対に変わらんでおこうと思って、ずっとやってますけど。でも見る人が見たら、「たむら、昔より金持ってちょっと変わったな」って思う人もおると思いますもん。僕はそれ絶対イヤやから、変わらんように、変わらんようにって常日頃思いながら生きてますけど、それでも「変わったな」って言う人は出てくるやろうから。だから金に狂わされたら絶対にアカンという戒めみたいなもんで、「これはゲームです、ゲームのお金が今日も入って来ました」って思ってるんです。「ゲーム感覚の経営」はそういう意味です。
――経営に関して客観的になるために、また、特にお金の部分はゲーム感覚じゃないとバランスが取れないんですね。
「ゲーム感覚の経営」って、ちょっとその言葉だけが走ると誤解を生むねんけど、実際は僕なりのバランス感覚で、それを常に意識するための言葉なんです。昔気質の経営者からしたら「いやいや、お前、ゲーム感覚で商売なんかできるかい」ってなると思うし。でもゲーム感覚でいると、やっぱり肩の力を抜いてやれるんですよ。その感覚でいれば型にはまらんでエエわって思えるし。プロの人らから「そこはそんな色使ったらアカンよ」「そんなやり方したらアカンよ」と何かと言われて、悔しい思いをすることが多々ありながら、「じゃあ俺が思うようにやって、アカンかったらまた違うこと考えりゃいいやん」って、フットワーク軽く考えたり動けたりしてる。この10年、芸人やりながら商売を続けてこれたのは、こういった気楽さがあったからだと思います。だから僕、金への執着、ないんですよ。会社の金はなんぼあるとか、もうホンマに分かってへんし。けど、吉本から入る金あるじゃないですか。それだけはめちゃくちゃチェックするんです。その金にはメチャクチャ執着してるんですよ(笑)。
――(笑)それは何故なんですか?
なんででしょうね? お店のお金と芸人のお金、感覚が全然違いますね。うーん……自分の会社から給料もらってますけど、金額ほとんど決まってるし、明細も見ないんです。でも吉本から送られてくる振込明細はメッチャ見ます。「これなんぼや」「え? これ今入ったん?」「あれ入っとったかな?」とか、しつこく見ます(笑)。ビジネスのことを考えるのが楽しい!
――ギャランティ=自分の芸への評価だからじゃないですかね。お金というより、お金を媒介として見えてくる自分の評価が気になる。また、お店と違ってお笑い芸人・たむらけんじは、たむらさん一人しかいないですし。
そうですね。通知簿ですね。その違いはあるかも。僕、ずっと、お笑いの方が本業で経営の方を副業やって言ってましたけど、「2つ本業してもエエやん」って最近思ってるんです。今は、ホンマに移動中はずっとビジネスの事を考えてて。移動は朝が多いんで、思ったらすぐワーってLINEするから、スタッフの子らはたぶん朝がめっちゃ怖いと思う(笑)。そんな感じで、今はとにかく、ビジネスのことをいろいろ考えてます。やっぱり好きでなんですね。この前、今後日本がどうなっていくかが年表になってる本を読んだんです。それはビジネス書ではなくて〈日本ってこういう風に進んで行って、300年後には日本人2,000人になりますよ、絶滅危惧種になりますよ日本人〉っていうような本なんですけど、僕は「これめちゃくちゃビジネス詰まってるやん」って思ったんですよ。ビジネスって――〈発明〉もそうだと思うんですけど――不都合な事を都合よくするもんだと思ってて。不便なものを便利にしたら商売になるじゃないですか。ほんならこの本には、もう日本が将来抱えるかもしれない不都合が載ってるわけですよ。医療施設が足りなくなるっていう話があれば、「え? 医療施設? 何とかなるんちゃう? 今のうちに医療施設作っといた方がいいんちゃう?」って考えたりして。どうやって作るか知りませんよ? どんなルールがいるか、どんな免許いるかも知りません。でも、「医療施設、何とかなるんちゃう?」って考えると、もうワクワクするんですよ。僕、テレビのキャラ的なこともありますけど、「お金好き」って言われてて。もちろんお金が嫌いということはないんですけど、仮想通貨のことをけっこうテレビで話したりすると、「たむら、カネカネ言い過ぎ」ってまた言われるんです。でもお金が好きだから仮想通貨に興味があるわけじゃなくて、仮想通貨を勉強すればするほど世界が見えてくるし、それに対して日本の経営者ってどう考えてんのか、とかも分かってくる。それが面白いんです。
――お金って、それこそ世界を成り立たせているインフラの中でも最重要のもので、お金を知ること=世界の仕組みを知ることですから、それに触れるのが、楽しいんだと思います。
そうかもしれないですね。仮想通貨の話でいうと、仮想通貨を成り立たせるインターネットの世界は、信じられないスピードでどんどん加速していきますし、もう映画の世界みたいなもんで、いろんなことがどんどん実現していくし。
――将来もし、たむらさんが医療業界でビジネスを始めるようなことがあったら、飲食と同じように素人感覚が活きて、徹底したユーザー目線のサービスが生まれるのかもしれないですね。
ね。どう活きていくんかな? そこ。そんなこと考えると、ホンマ面白いです。今はそれを考えてる時が、やっぱり一番楽しいかな。〈生きてる〉って思います。>>全5回!たむらけんじロングインタビュー記事一覧ページはコチラ
【プロフィール】
たむらけんじ
1999年に漫才コンビ「LaLaLa」の解散以降、ピン芸人として活動する。株式会社田村道場の代表取締役として「炭火焼肉たむら」「NIKUDONBURIたむら」の運営など、経営者としても活躍。松本人志、宮迫博之、さだ(構成作家)らと共演する人気番組『松本家の休日』(ABC)のDVD第6弾『松本家の休日6』(よしもとアール・アンド・シー)が発売中。
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