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【小阪裕司コラム】第80回:お客さんの見せる顔が違う

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

「出会ったらつながる」。そして「つながりを保つ」

 今回は、「お客さんの見せる顔が違う」というお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、住宅設備関連事業会社にお勤めの方からのご報告だ。
 物件オーナーであり、保育園の経営をされている彼の顧客であるAさん。もともとこの物件の管理会社からの依頼で、5年ほど前にその設備修理をしたことが出会いだが、ワクワク系では「出会ったらつながる」がセオリー。彼もその後、Aさんとしっかりつながりを保っていた。住宅設備の補修以外にも様々なサービスを提供している同社。その間Aさんからは、保育園の粗大ゴミの片付け処分を最初に、様々なご依頼があり、最近では、卒園生の絵が描かれた(かなり崩壊してしまった)棚の修理など、メニューにないはずのものが、まったく関係のない業種の彼に相談がくることもしばしば。彼自身も不思議に思っていた。
 もちろん本業の依頼もある。最近では、所有物件の浴室(ユニットバス)交換の依頼をいただいた。この仕事は、元々Aさんと出会うきっかけとなった管理会社から問い合わせがあったのだが、実はその際、管理会社の方はAさんについて、珍しく口汚い言葉を並べて評していた。とてもケチなお客さんだと。それを聞き、彼は思った。「えー、そんなことはないんだけど」。
 保育園、自宅とこれまで様々な依頼を受けたが、見積金額に対して何か言われたことはない。相見積もりもおそらくない。値引交渉をされたこともない。しかし今回、管理会社はそう言うし、金額が大きいこともあり、恐る恐る見積を出しに行った。近年、品物の相次ぐ値上げや、輸送費、人件費などの高騰で、今回、Aさんの目算よりは高価だろう。さらに今回管理会社の利益も入っているため、正直契約は難しいと思っていた。しかし一週間ほど経って、「見積の金額でお願いします」と連絡が。工事契約書をいただきに行ったときも、特段何も言われず契約に至ったのだった。

「良い人」であり続ける関係を築く

 今回の出来事を通じ彼は、ワクワク系では、「自店のお客さんはいい人ばかり」という店主さんが多いし、「自店と他店で見せている顔が違う」と言われるが、Aさんもそうなのではないか、と言うが、正解だ。人は相手によって見せる顔が異なり、良い人にも悪い人にもなることは、研究でも明らかになっている。お互いにとって「良い人」であり続ける関係を築く。これもまた、あらゆる意味で商売にとって大切なことであり、大いに恩恵のあることなのである。

〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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