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【小阪裕司コラム】第43回:本格染物がよく売れる薬局とは

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

デパートよりも売れる町の小さな薬局内特設会場

 今回は、ある薬局で、270年続く染物屋さんの本格染物がとてもよく売れたお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の薬局での取り組みだ。
 ある日同店に、店主の友人が来店した。そのときその方が持っていた染物のカバンを一目見ていいなと思った店主。「そのカバンいいね」と言うと、それを売ってくれた染物屋さんを紹介してくれるとのこと。そんな縁があり、この度270年続くというその染物屋さんと共に、薬局店頭で、染物、手ぬぐい、バッグなどを販売することとなった。
 「販売する」といっても今回は1日だけのイベント販売として、顧客に事前に案内した。そのチラシにはここに至るいきさつや、きっかけとなった友人のカバンの写真などを掲載、日時と場所を記した。ちなみに場所は、チラシでは「〇〇薬局内特設会場」としたが、それは店内にある普通の丸テーブルのことだ。
 そうして迎えた当日、まったく売れなかったらどうしようと初めはドキドキしていたが、始まってみると、いつもの薬局としての仕事もやりながら、親しいお客さんとは、「これが似合う」とか、「着物ならこれだね」などとおしゃべりしながら、和気あいあい。楽しい1日を過ごすことができた。
 結果、売上はどうだったか。売れはしたものの、それが多いのか少ないのか分からなかった店主だったが、今回協力してくれた染物屋さんによれば、有名デパートで催事を開き、7年やって来た中で、今回が過去最高の売上だった。しかもたった1日で、催事現場に立ちっぱなしでもなく、近所でランチもしっかり食べて、実働4、5時間で過去最高。その方は驚いて笑いっぱなしだったとのことだが、さもありなん。ここは有名デパートではなく、町の小さな薬局なのだから。

薬局で染物は売れないと「業種の壁」を感じるのは、お客さんではなく売り手の方

 ワクワク系では以前からこのような例は多いし、私はこの手の取り組みを会員企業に奨励している。お客さんにとって、絆のあるお店や会社から何かを買うことは、そこが薬局で買うものが染物であるにせよ、何の問題もない。薬局で染物は売れないと「業種の壁」を感じるのは、お客さんではなく売り手の方なのだ。そして今日、このような結果が出せる店は、商売において多くの選択肢を手にすることになる。今回を例に取れば、病気でない人に薬は売れないが、染物は売ることができるからだ。その上お客さんにも業者さんにも喜ばれる。これからの商売の、典型的な姿のひとつである。

〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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