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一生懸命準備をして、新しくオープンした飲食店が数ヵ月もしないうちに閉店してしまった……という例は珍しくありません。それだけ飲食業は競争が激しく、店舗を長く経営していくのがとても難しいのです。
ここでは、資金調達のポイントを学びましょう。
東京・四谷にある人気イタリアン『オステリアクロチェッタ』のオーナーシェフ・門脇稔さんが解説します。
参考記事:飲食店は資金ゼロでも開業できる?少ない資金で開業する方法を解説資金はどうやり繰りする?
「自分のお店を持とうと思ったとき、まず不安材料となるのが開店資金です。実際に物件を借りて店舗を開く際、まず店舗物件取得のための敷金・礼金などの契約金が必要になります。目安は賃料の10ヵ月分ほどで、住居を借りる場合と異なるので注意してください。そして、資金の確保です。僕の話をすると、貯蓄型の15年積立タイプの生命保険に加入して、主な開店資金の500万円を貯めました。料理人として働きはじめたころから自分でお店を出すイメージも持っていたので、もちろん保険以外にも貯金は続けていましたが、融資金額は結局、自己資金額で決まるので、仮に資金がゼロの場合でも親族が援助してくれた資金(もらったもの)は自己資金として認めてもらえることがあります。開店資金が少ないのであれば、内装を出来る限り手作りしたり、居抜き物件でスタートする選択肢もあります。居抜きがリーズナブルという話は皆さんよく聞かれると思うんですが、前入居店の導線が自分のお店の求めているものではなかったために、結局、改装になってしまう場合も多いです。当然改装期間中はお店が休業となり、収入もなくなったうえに出費もかさむ。ですので、居抜き物件を選択する場合は、お店の稼働を具体的にイメージして、メリット/デメリットを見極める必要があります」
自分の給料を決める。大きな視点で考える。
「お店をやっていくなかで売上と具体的な損益分岐点が見えてきて、そこからはじめて、自分の給料も含め黒字にするために何をやればいいかが見えてくる。だから、最初から自分の給料を決めるのはなかなか難しいところがあります。たとえ売上が下がったとしてもスタッフに〈売上げを上げろ〉とは言えませんし、言ったところでどうにかなるものでもない。そうなるとまず削るのは自分の給料からですし。あとで“こんなはずじゃなかった”というズレを感じないためにも、まずは〈なぜ、自分がお店を出したいのか〉を突き詰めて考える必用があると思います。“俺の料理、美味しいでしょ”みたいな自己顕示欲だけだと、続けていくのは難しいと思います。そもそも、料理が美味しいかどうかはお客さんが決めるもの。自分の料理が美味しいかどうか?じゃなく、もっと大きな視点を持つことが大事だと思います。〈赤字でも、スタッフが楽しくやっていければ、まあいいか〉くらいの気持ちがあってはじめて、お店って続けられるのかもしれません」
正確な事業計画書を作るためには?
「開店資金としてお金を借りるときに、お店の売上目標やお客さんのターゲットを決め、事業計画書を作る必要があります。そのためには出店候補地を探してその物件の周囲で競合しそうな店の売上を調査して自分の店の売上目標をなるべく具体的にイメージする必要があります。やはり、立地、客層を始め、稼働した際のお店のイメージをどれだけ具体的に、絞り込んでイメージできるかが大切だと思います」
融資を受ける上での注意点は?
「政府系や銀行系、リース会社などの融資先があります(僕の場合は政府系の国民生活金融公庫を使いました)。融資を受ける際は担保、保証人が必要です。保証人に関して言うと、たとえば10年、返済期間があるとします。この返却期間の後半には引退される年齢であるご両親が保証人になることは難く、その場合は兄弟、配偶者に保証人をお願いすることになります。自己資金、担保、保証人の有無で融資金額の上限は変わりますが、銀行へ預金している額の3〜4倍が目安ですが、個人では1500〜2000万円ぐらいが限度だと思います。開店には当然お金がかかります。その後も半年程度の運転資金は確実に確保していなければならないので、むやみやたらにお金を借りてはいけません。必要な額を精査して融資希望額を決め、後々、資金繰りが上手くいかなくなって困らないように気をつけましょう」
お話を聞いた方:門脇 稔
埼玉県狭山市出身。都内やイタリアで修行を積んだのち、店長や総料理長として数々のイタリア料理店の立ち上げに携わる。イタリア政府公認の広尾ANGOLOのセカンドシェフを務めた経歴も。2013年からは東京都新宿区四谷にオステリアクロチェッタを開き、感度の高い食通たちに愛されている。
オステリアクロチェッタこの記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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