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飲食店をはじめとする接客業において、避けて通れないのがクレーム対応です。対応が適切でないと、店の評判を損ない、経営に大きな悪影響が及ぶ可能性も。クレームが起こらないよう日々緊張感を持って取り組むことはもちろんですが、クレーム発生時の対応について日頃から考え、店舗スタッフに周知しておくことが大切です。
この記事では、クレーム対応の基本手順や飲食店でよく見られるクレーム内容、クレーム対応時の注意点についてNG例も交えて解説します。目次
クレーム対応の基本手順
1. まずは、限定的に謝罪する
クレームを受けたら、まずは「お客様に不快な思いをさせてしまったこと」に対して謝罪します。クレームを入れるお客様の多くは怒りで頭に血がのぼっている状態です。店側に非がない(と思える)場合であっても、まずは限定的に謝罪し、お客様と落ち着いて話ができる状態を作ります。
状況を把握する前に全面的に謝罪してしまうと、相手が悪質なクレーマーだった場合、揚げ足を取られかねませんので注意してください。2. お客様の話を聞く
その後、お客様の言葉を反復しながら話を聞き、事実関係を把握します。オウム返しで話を聞くことで、お客様にとっては「ちゃんと話を聞いてくれている」という安心感につながる上、クレーム内容自体も把握しやすくなります。
ここで重要なのは、店側のスタッフが感情的にならないことです。途中で疑問点がわいても話を決して遮らず、反論したくなる気持ちを抑えて、お客様の言い分を最後まで聞くことを徹底してください。3. 問題の解決策を提示する
事実関係とお客様の気持ちを理解した上で、返金や交換などの解決策を提示します。それでもお客様の怒りが収まらない、ご納得いただけない場合には、店舗責任者に報告して指示を受けましょう。
責任者にはクレーム内容と対応の経過を端的に伝え、お客様に再度経緯を説明させることがないよう注意します。自ら問題を解決できた場合でも、責任者へ必ず報告を入れておきましょう。
4. 再度謝罪し、ご意見に対して感謝する
お客様からのクレームは、商品やサービスの品質向上につながる貴重なご意見でもあります。最後に改めてご迷惑をおかけしたことに対して謝罪するとともに、ご意見をいただいたことへの感謝の気持ちを伝えるのが好ましいです。
飲食店でよく見られるクレーム内容
異物混入のクレーム
髪の毛や小さな虫などの異物混入のクレームでは、まずは丁重に謝罪を行い、異物が入っていた料理はすぐに下げて、代わりの料理を用意します。謝罪の前に、どこに入っていたのですか?と質問をしたり、お客様を疑ったりするような発言は厳禁です。
代わりの料理を準備すると同時に、異物混入の原因を担当者に確認。野菜の下洗いが不十分だった、調理担当者の身だしなみが整っていなかったなど、原因説明を交えて謝罪し、今後の対策についてもお客様にきちんとご説明します。会計時にも改めて謝罪し、お客様をお見送りしてください。
接客態度に対するクレーム
スタッフの接客態度に対するクレームでは、お客様に不快な思いをさせたことに対してすぐに謝罪し、スタッフ教育を徹底することをお伝えします。
その上でスタッフにも話を聞き、今後の対応・改善策を準備します。お客様からのクレームが100%正しいとは限らないため、スタッフ側の意見をしっかりと聞くことも重要です。
提供時間に対するクレーム
何十分待っても料理がこないという提供時間に対するクレームでは、まずお客様を長時間お待たせしていることに対して謝罪。キッチン担当へ最優先で調理してもらうよう依頼するとともに、提供まであと何分かかるかを確認し、お客様にお伝えします。調理に時間を要する場合には、料理ができあがるまでの間にドリンクをサービスするといった配慮も必要です。
時間の長さの感じ方は人によって異なりますが、特に空腹時には、食事が提供されるまでの時間に敏感になるものです。混雑時やスタッフが足りていない時には、料理の提供に時間を要する可能性がある旨を予め来店時・オーダー時にお伝えすることも重要となります。料理の味に関するクレーム
味の感じ方は人それぞれですので、料理の品質自体に問題がない場合には、お客様からの貴重なご意見だと受け止めて対応するのが好ましいです。「貴重なご意見をありがとうございます。今後のメニュー開発の参考にさせていただきます」とお伝えすることで、お客様の気分を害することを避けられます。
しかし、味に対するクレームがあまりに多い場合、複数人が料理の味に違和感を感じているということになります。食中毒や異物の混入などはないか、自店で提供する料理の味に問題はないかをチェックし、必要に応じて味を見直す対応も求められます。
クレーム対応時の注意点とNG例
相手の怒りをかき立てる言動に注意
お客様がどれだけ怒っておられたとしても、相手に敬意を払い、冷静沈着に丁寧な言葉遣いで対応することが大切です。以下のような相手の怒りをかき立てる言動には十分注意してください。
NGフレーズ 「私は担当じゃないので」
担当が誰であるかは店の都合であり、お客様には関係のないことです。担当ではないからと責任を逃れようとする発言はお客様の怒りを増幅させ、二次クレームにつながる可能性もあります。たとえ自分のミスではなくても、スタッフの一員としてまずはお客様の話を聞き、担当者に引き継ぎましょう。
NGフレーズ 「そういう決まりなんです」
前述と同じく、決まりごとは店の都合であり、お客様には関係のないことです。店のルールを押し付けたり言い訳をしたりすることは、対応を放棄されたという印象を与えてしまいます。
例えば、席がたくさん空いているのに案内されないというクレームを受けた場合、「オーダーや料理提供が優先なんです。」と、ルールをただ伝えるのはNG。「お待たせして申し訳ございません。料理をおいしく冷めないうちに提供するため、オーダーや料理提供を優先させていただいております。」と伝えることで、ご納得いただける可能性が高まります。
NGフレーズ 「だって」「でも」「ですから」
こうした反論や言い訳を意味するフレーズは、お客様の気分を害し、クレームをさらに悪化させる原因になります。
「お客様のおっしゃることはわかりますが…」
「ごもっともでございます。しかしながら、恐れ入りますが…」
というように、お客様の言動を肯定し受け止めた上で、店側の意見を述べるのが好ましいです。
NGフレーズ 「じゃあ、どうすればいいんですか?」
相手に責任を押し付ける、逆切れのようなフレーズも厳禁です。クレーム対応時に重要なのは、決して感情的にならず、お客様と落ち着いて話ができる状態を作ること。冷静にお客様の話を聞き、事実関係とお客様の気持ちを理解した上で対処することが大切です。相手の間違いを指摘しない
例えお客様の間違いや勘違いが原因だとしても、ストレートに指摘してしまうと、相手が逆上して話がこじれてしまう可能性があります。
間違いや勘違いは誰にでもあることです。「説明不足で失礼いたしました」「表現がわかりにくく申し訳ございませんでした」など、相手には非がないという姿勢で臨むことでお客様の不満も和らぎます。
対応をたらい回しにしない
たらい回しの対応は、お客様の不満や怒りを増幅させてしまう危険な行為です。最初にクレームを受けたスタッフ1人が最後まで対応できるのがベストですが、内容によっては複数人で対応する場合も出てきます。
別の店舗とのやり取りが求められるクレームや、確認に時間を要するクレームの場合は、いつ誰からご連絡するかを明確にすることで、お客様に不安を与えずに済みます。
クレームは、お客様の本音を聞ける良い機会と捉えよう!
飲食店にとって、お客様からのクレームは自店で提供する商品やサービスに対する苦情が大半で、耳の痛くなる話ばかりです。しかし、クレームを貴重なご意見、愛のあるお叱りだと前向きに捉えることで、商品やサービスの品質向上につなげることができます。
自店の料理やサービスに対して、お客様が実際どう思っているかを知れる機会はなかなか少ないもの。クレームはお客様の本音を直接聞ける良い機会だと捉え、いざクレームが発生した際には、迅速丁寧に対応できるよう日頃から準備しておくことが大切です。
ライター:上田はるか(フリーライター)
大学卒業後、輸入食品商社に勤務し、新規店舗の立ち上げや自社直営ティーサロンのメニュー開発を経験。その後、大手ギフト会社の企画開発部、広報宣伝部を経てフリーランスに。現在はWEB媒体をメインに、食ジャンルの原稿執筆を行う。
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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