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お酒やおつまみなど、おいしい飲食物を提供する居酒屋に憧れて、「いつか自分で居酒屋を経営したい」と考える方は少なくないでしょう。
居酒屋は、開業する数が多いものの廃業する数も多く、経営が難しいと言われる業態です。
しかし、居酒屋の経営が失敗するケースや、成功させるコツを把握したうえで事業に取り組めば、長く愛される居酒屋を経営していくことができるかもしれません。
この記事では、居酒屋経営の現実からメリット・デメリットまで詳しく解説します。居酒屋の経営が失敗するケースと成功させるコツも紹介するので、居酒屋の経営を目指す方はぜひ参考にしてください。
関連記事 居酒屋開業を成功に導くポイントとは?資金や許認可手続きについても解説!居酒屋経営は難しい?利益率は?
他職種に比べて廃業率が高いと言われる飲食業界の中でも、2023年の廃業数が最も多かった居酒屋(帝国データバンク調べ)。経営が難しいとされる理由は、物件取得や内装にかかる初期費用や、家賃や光熱費、仕入れ費用などの運転費用が高いことに加え、競合が多く、人気店になる要素が明確でないことなどが挙げられます。
一方で、他の飲食店よりも客単価が高く、ドリンク類など原価率が低いメニューを多く出せるのも特徴。一般的な利益率は5~10%程と言われていますが、様々な工夫によって利益率を高めることが可能です。
利益率アップのコツや方法は下記に記載しているので、合わせてご参考ください。居酒屋オーナーの想定年収
居酒屋の経営者の年収は、特別な事情がない限り「売上-経費(=営業利益)」で計算することができます。
売上の90%程度が経費となることが多く、その内訳はおおむね以下のイメージです。
✔食材費(仕入れ費用):約30%
✔人件費:約30%
✔ 家賃:約10%
✔ 水道光熱費:約10%
✔ そのほかの費用(広告費用や雑費など):約10%
売上から経費の90%を引き、残った約10%が経営者の年収となります。たとえば、月に500万円を売り上げるお店の場合、経営者の月収は50万円、年収は600万円ほどです。
居酒屋を経営するにあたって、どのくらいの売上を目指すかについては、「年収がどれくらい欲しいか」によって変わるとも言えます。
年収1,000万円を得たいのであれば、月収として約84万円が必要になるため、お店は平均的に月840万円ほどを売り上げなければなりません。
月々の売上は、お店の立地や規模からある程度の想像が立てられるので、そこから算出される年収が希望金額に及ばないのであれば、立地など根本的なことから見直す必要があるでしょう。居酒屋を成功させるコツ
居酒屋の経営を成功させるために、開業前の段階で考えておくべきことが複数あります。
居酒屋の経営を成功させるためのコツについて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
コンセプト作り
毎年数多くの居酒屋が新しく開業しているため、常に競合と争いながら営業していかなければなりません。そんな中で生き残っていくためには、お店のコンセプトをしっかり固められているかという点が重要>です。
ターゲット層を絞ったうえでお店の雰囲気やメニューを決めることで、特定の層から支持されやすいお店作りに繋がります。
コンセプト作りに成功すれば、客単価を高めに見込むことができるうえに、居酒屋経営において重要なポイントであるリピーターも獲得しやすくなるでしょう。
店舗の立地選び
店舗の立地は集客力を大きく左右する要素なので、立地選びは慎重に行わなければなりません。
オフィス街や駅の近くはまとまった集客が期待できますが、周辺にライバル店が多いうえに家賃も高くなりがちです。
客単価やお店のコンセプトを踏まえたうえで、勝算があると判断できる立地を選びましょう。
希望する立地に出店できないのであれば、焦らずによりよい立地で出店ができるタイミングまで我慢する勇気も必要です。
資金計画
資金をどの程度用意できるかによって、お店の開業から経営にかけられる金額は変わってきます。
資金が十分に用意できれば、高級な素材を利用する、集客が見込める好立地へ出店する、従業員の給料を高い水準に保つなど、多くのメリットがあるでしょう。
自己資金でまとまった金額を用意するのが難しい場合には、家族や知人から資金を援助してもらう、もしくは金融機関による融資や自治体の助成金を活用するなどして、資金を調達できます。
家族や知人からの援助は贈与税がかかる可能性がある、融資や助成金を受けるには事業計画書の提出が必要など、注意点を踏まえたうえで資金調達の方法を検討してください。
参考記事飲食店経営が難しい理由って?必要な考え方や成功に欠かせないポイントもご紹介
経費削減による利益率UP
利益率を上げる方法として、諸費用を抑えるというアプローチができます。以下で、各費用の削減方法について説明します。
食材費(仕入れ費用)
仕入費用の削減方法には、以下のような方法があります。
✔仕入先の見直し
✔地元や旬の食材を活用
✔近隣の同業者と共同購入などでロット単価を下げる
在庫管理を徹底し、食材ロスを極力減らしても食材費がかさんでしまう場合、まずは仕入先を見直すことを検討しましょう。複数の仕入先から見積もりを取り、時には交渉も行って有利な条件を引き出します。
また、地元や旬の食材を活用したり、近隣の同業者と共同購入することで仕入費を抑えることも可能です。季節や需要に応じて、最もコストパフォーマンスの良い仕入方法を選びましょう。
人件費
食材費と並んで、大きな経費となるの人件費です。食材費と合わせてFL(Food・Labor)コスト
と呼ばれており、売上のおよそ60%を占めていることが多いです。人件費を削減するには、主に以下の3つの方法が考えられます。
✔時間帯によって配置人員を減らす
✔オペレーションをマニュアル化し、生産性を向上させる
✔DXを取り入れて業務をデジタル化する
✔スキマバイト等のサービス活用
人件費削減を進めるうえで最も着手しやすい方法は、時間帯によって人員の数を調整することです。来店客が多い時間帯は重点的にスタッフを配置し、閑散時や深夜帯には必要最小限の人数で運営するなど、適切なシフト管理が大切です。
スキマバイトなど、数時間単位で雇用できる求人サービスを利用すれば、必要な時に、必要な人材だけを確保できるため、人件費の節約効果が期待できます。
そのほか、各オペレーションのマニュアル化や、モバイルオーダーシステムや配膳ロボットの導入などによる店舗のデジタル化(店舗DX)も効果的です。準備や初期投資が必要ですが、長期的には人件費削減と業務効率化に大きく貢献するでしょう。家賃・水道光熱費
家賃・水道光熱費は、合わせて売上の20%程度に収めることが望ましいです。物件を選ぶ際、立地は非常に重要ですが、あまりに賃料の高い物件を選んでしまうと、採算が合わず経営を苦しめてしまう可能性があります。可能であれば、物件取得の際は値下げ交渉を試してみるのもいいかもしれません。
水道光熱費に関しては、小まめな節水や、LED照明や高効率設備を導入するなどして費用を抑えましょう。光熱費は電力会社の乗り換えで節約できることもあります。
また、思い切って営業時間を短縮することも一つの手段です。特に来店客の少ない時間帯は、売上と費用の採算が合っているのかよく確認することが重要です。そのほかの費用(広告費用・雑費)
今はSNSを利用した宣伝が主流となっており、うまく活用すれば、費用をかけずに大きな宣伝効果を生むことができます。一方、人通りが多い場所であれば、看板製作に費用をかけるのも手。立地やターゲットとなる客層に合わせて効果的な宣伝を行いましょう。
雑費の管理においては、必要最小限の物を適切な量のみ購入することが肝心です。食材と同様、過剰在庫や無駄な消費は経費の増大につながります。仕入先を見直したり、耐久性の高い物を選ぶなどして、コスト削減を図りましょう。居酒屋の経営が失敗するケース
廃業していく居酒屋が「なぜ経営に失敗したのか」を知ることで、同じ理由によって経営がうまくいかなくなるケースを避けられるかもしれません。
居酒屋の経営が失敗してしまう主な理由について、詳しく説明します。
関連記事 なぜ飲食店の開業で失敗する?失敗する原因やオーナーの特徴について解説
利益確保のために過度なコストカットを行う
お店の経営を継続させるために、「利益を確保すること」は経営者にとって重要な使命であることは間違いありません。
利益の確保を目指し、人件費を減らすために少人数でホールを回すといった工夫は、経営上の努力として致し方ない部分ではあります。
ただし、利益の追求がいきすぎて、コストカットを行うために料理に使う素材の質を下げるなど、来店客に対するサービスの質にまで大きな影響を与えてしまうことは望ましくありません。
何度もお店に通う常連客ほど、料理のクオリティやサービスの質の低下にはすぐに気がつきやすいため、足が遠のく理由となってしまうでしょう。周囲のアドバイスに耳を貸さない
自分の信念を貫くことは、お店を経営するうえで重要なことですが、それも度を過ぎると自己中心的な考え方になってしまう可能性があります。
周囲のアドバイスを経営に取り入れるかは自分の判断次第ですが、端から聞き入れないのではなく、一度は耳に入れて検討する柔軟さを常に持っておきたいところです。
周囲のアドバイスに耳を貸さないと、有効なアドバイスを実践する機会を失うだけではなく、頑固すぎて人の話を聞かない人だと判断されて、周囲から人が離れていくことも懸念点として考えられます。職場の環境がよくない
自分一人だけで営業するケースを除き、居酒屋の経営を継続するためにはホールやキッチンで働いてくれる従業員が必要です。
ホールやキッチン業務を担うパートやアルバイトを採用して営業を行う場合、従業員の定着率は職場環境に大きな影響を受けるでしょう。
たとえば、パワハラをしてくる上司がいる、なかなか休みが取れない、時給や給料が高くないといった環境では、従業員は定着しません。
働いてくれる従業員にとって快適な環境であるかを定期的にチェックし、必要があれば積極的かつ迅速に改善するよう心がけましょう。仕入れがうまく行えない
居酒屋にとって仕入れは生命線とも言えるので、いかに仕入れを上手に行えるかという点が、お店の経営に大きく影響します。
材料を仕入れるために仕入れ先とやり取りすることは必須ですが、仕入れ先との関係性が構築できずに高額で仕入れることとなれば、利益確保が難しくなるかもしれません。
双方にメリットがある取引を心がけることで、仕入れ先との関係性も自然とよくなることが期待できます。仕入れ先とは中長期にわたって取引を行うことになるので、なるべく早いうちから良好な関係を築きましょう。居酒屋経営に必要な資金
日本政策金融公庫総合研究所が2023年8月に行った調査によると、運転資金を含めた開業資金の平均値は1027万円、中央値は550万円となっています。
開業資金とは、物件の取得費・備品の導入費・広告費用など、開業にあたって準備する事柄に関してかかる費用を指します。
居酒屋のような飲食店の場合は、前テナントの設備や内装が残ったままの「居抜き物件」を利用することで、開業資金を大幅に抑えることが可能です。用意できる資金に応じて物件を選び、場合によっては居抜き物件の利用も検討しましょう。
一方、運転資金とは、事業を開始して当面の間の出費をまかなうために必要な資金のことです。
開業してすぐに事業が軌道に乗るとは限らず、売上が芳しくない時期が続くかもしれません。そんなときでも家賃や従業員への給料を支払えるよう、事業の継続に必要な費用を6ヶ月分ほど準備しておくのが賢明です。
これらを踏まえたうえで、家賃15万円の物件で居酒屋を経営すると仮定したとき、開業のために必要な費用は以下のようになります。
✔店舗の初期費用:約200万円
✔内外装費用:約500~1,000万円
✔ 機器や什器などの導入費用:約30万円
✔ 合計:1,000万円前後
上記はあくまでも一例で、お酒の種類や備品にこだわる場合や、立地がよい場所に出店するのであれば、必要となる金額はさらに増える可能性もあります。事前にきちんとシミュレーションして、必要な資金を把握することが重要です。
関連記事 居酒屋開業に必要な資金の目安は?資金調達の方法や成功するためのポイントも解説!居酒屋経営に必要な資格
居酒屋を経営するにあたって、取得しなければならない資格や申請する必要がある届け出がいくつかあります。
それぞれの詳しい内容について説明します。
食品衛生責任者
食品衛生責任者は、居酒屋に限らず飲食店を開業するために必須となる資格です。
各都道府県の食品衛生協会が開催する「食品衛生責任者養成講習会」を受講することで取得でき、受講料は都道府県によって若干異なるものの、おおむね1万円程度となっています。
資格を取得したら終わりではなく、管轄の保健所に届け出なくてはなりません。
なお、栄養士や調理師の資格を有している場合は、食品衛生責任者養成講習会の受講が免除されます。
防火管理者
防火管理者は、収容人数が30名以上の飲食店を開業する場合に必要となる資格です。日本防火・防災協会開催の講習を受講することで取得できます。
店舗の延べ面積によって取得すべき資格が甲種と乙種に分けられており、それぞれ講習の時間や費用が異なるため、取得が必要な種別の講習を受けましょう。
食品衛生責任者と同様に取得するだけでは意味がなく、取得したうえで管轄の消防本部あるいは消防署に届け出る必要があるので、忘れずに行ってください。
深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
深夜酒類提供飲食店営業開始届出書は、深夜12時を越えてアルコールを提供する場合に必要となる届け出です。
食品衛生責任者とは異なり、すべての居酒屋で必要な届け出ではありません。条件に該当する場合にのみ手続きを行い、管轄の警察署に届け出ましょう。
まとめ
毎年多くの居酒屋がオープンする一方で、それと同じくらいの店舗が廃業していくことから、一般的には「居酒屋の経営は難しい」と言われています。
居酒屋の経営を成功させるには、きちんとしたコンセプトを設定し、出店する立地を慎重に選ぶなど、売上に繋がる工夫に取り組むことが重要です。
それでも居酒屋の経営に対する不安が拭えない場合には、飲食店の開業サポートを行っている「canaeru」のようなサービスを利用してはいかがでしょうか。
物件探しから内装業者の紹介まで担っており、開業の相談は無料で受け付けています。「canaeru」を利用して順風満帆なスタートを切ることで、居酒屋の経営を軌道に乗せやすくなるでしょう。
開業の無料相談はこちら
この記事の監修
USEN開業プランナー
松村俊治
株式会社USEN 開業サポートチームに所属。飲食店経営歴8年。その経験を活かし、開業に関するあらゆる支援を行う。開業に必要なサービスや設備、業者などの紹介のほか、店舗のコンセプト設計、事業計画書の作成サポートにも精通。
【主なサポート内容】
・開業手続きの支援
・開業に必要なサービス、設備、業者を紹介
・創業計画書の作成サポート
・事業計画書の作成サポート
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