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利益率は、売上に対する利益の比率がどの程度のものかを指します。
飲食店の規模によって売上や利益額が異なるため、単純に利益額だけを見ても収益性が良いのかわかりません。そこで重要となるのが利益率です。利益率が高ければ、それだけ店舗経営が順調で収益をあげられていることがわかります。利益率は会社の収益性を見るための需要な指標なのです。
目次
飲食店経営に活かす!利益率についての基本的な考え方
一般的に利益率は飲食店の利益が増える程に高くなります。ただし、売上が伸びても仕入れ費などの経費が増大すれば、当然、利益率は横ばいか、もしくは下がってしまいます。また反対に売上が伸びず横ばいであったとしても、経費を抑えることで利益率を高めることもできます。
利益率を高めることは飲食店の成長に不可欠ですが、経費を極端に抑えて利益率を高める経営方針は危険も孕んでいます。仕入れ費などの経費を抑え過ぎるとサービスや料理の質の低下を招く可能性があるためです。
粗利率(売上総利益)の重要性
粗利率は決算書の中で重要視されています。なぜなら、売上と原価のバランスを見ることができ、粗利率が高ければそれだけ飲食店の収益性が高いことがわかるためです。
粗利率とは売上高に対する粗利の割合のことで、売上総利益とも呼ばれます。粗利は売上から原価を差し引いた額のことを指し、粗利から必要経費を引くと最終的な飲食店の利益になります。
粗利率(売上総利益率)の業界別にみる目安
粗利率は業種によって適正値が異なるため、注意が必要です。飲食では約50%が目安とされています。その他の業界の適正値は商工業実態基本調査によれば、次のようになっています。ぜひ参考にしてみてください。
・飲食企業 55.9%
・製造企業 22.3%
・卸売企業 11.8%
・小売企業 27.6%ざっくりこれだけ!利益率の計算方法と出し方について
利益率は、売上に対する利益の割合で求められます。最もシンプルな利益率の出し方は次の計算式で求められます。
利益÷売上高×100(%)=利益率(%)
例えば売上が500万円で、仕入れ費などの経費が300万円だった場合、売上から経費を差し引くと、残った200万円が利益となります。これを計算式に当てはめてみると、200万円÷500万円×100(%)=40(%)となり、利益率は40%ということになります。
より深く分析するなら?利益の種類をおさえよう
ここまで利益率を説明してきましたが、実は利益率は対象とする利益の種類によって数値が変わってきます。対象とする利益には主に「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の5つがあります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
売上総利益
売上総利益は売上から原価を引いた額のことを指します。飲食店の収益力を示すもので、「粗利益」とも言われます。売上総利益は次の計算方法で求めることができます。
売上高 − 売上原価 = 売上総利益
営業利益
営業利益は飲食店の運営によって獲得した利益のことであり、売上総利益から販売・管理費を引いた額のことを指します。販売・管理費には、広告費、従業員の給料、店舗の家賃等が含まれています。営業利益は次の計算式で求められます。
売上総利益−販売費及び一般管理費 = 営業利益
経常利益
経常利益は営業利益に営業外損益を加減した額のことを指します。営業外損益には受取利息、配当金、有価証券売却費用などの営業外収益と、株式評価損や売却損などの営業外費用が含まれており、これらを営業利益から差し引くことで経常利益が求められます。
営業利益 - (営業外収益 - 営業外費用) = 経常利益
税引前当期純利益
税引前当期純利益は法人税などの税金を払う前の利益額のことを指します。税引前当期純利益は経常利益に特別利益を加え、特別損失を差し引くことで求められます。
特別利益とは、固定資産売却益、投資有価証券売却益などのことで、特別損失は固定資産売却損、投資有価証券売却損、火災損失などを含みます。
経常利益 + 特別利益 - 特別損失 = 税引前当期純利益
当期純利益
当期純利益は最終的に飲食店が稼いだ額のことを指します。税引前当期純利益から法人税や都道府県税などを差し引いたもので、最終的に飲食店経営で稼ぎ、残ったお金となります。
税引前当期純利益 - 法人税・都道府県税等 = 当期純利益
繁盛に不可欠!利益率を改善するための3カ条
利益率の改善は飲食店の経営、成長に不可欠です。しかし、中にはどうやって利益率を改善したらいいか悩んでいる飲食店経営者の方もいるでしょう。そこでシンプルに利益率を改善するためのポイントを3つご紹介します。
1. コストカットをして費用を抑える
もっとも手っ取り早く利益率を改善する方法はコストカットです。原価やその他の費用を抑えれば、相対的に利益率は増加します。見直すべき費用は仕入れ費、人件費、広告費、店舗の家賃など多岐にわたります。
コストカットは手軽に出来ますが、一方で注意も必要です。行き過ぎたコストカットは料理やサービスのクオリティ低下に繋がり、結果的に売上が減少してしまう可能性があるためです。売上が減少してはいくらコストカットをしても利益率を改善させることはできません。
2. 販売単価の見直し
利益を増やすには販売単価の見直しが有効です。見直しの方向としては販売単価を上げるか、販売単価を下げるかの二択があります。販売単価を上げる場合、同じ販売数でも利益を増やせます。ただし売れにくくなるリスクもあるため、値上げは慎重に検討する必要があります。
一方、販売単価を下げる場合、今まで以上に販売数を増やす必要があります。安い商品をたくさん売る、いわゆる薄利多売方針です。
販売単価を上げる方がいいのか、もしくは下げる方がいいのかは、飲食店の経営形態や経営の方針によって変わってきます。3. 新規顧客の獲得
新規顧客が獲得できれば原価も販売価格も変えずに利益率を改善させられます。新規顧客獲得のためには、今まで試したことのない宣伝方法を試したり、サービス内容を見直したりすることも一つの手です。
利益率を意識して安定した飲食店経営を実現しましょう
飲食店経営において利益率を高めることはとても大切です。その際、特に粗利率が店舗の収益性を図る目安として機能します。粗利率は業種によって適正値が異なるため、商工業実態基本調査などが出している自業種の平均粗利率を目安にして経営をするとよいでしょう。
利益率が悪い場合、コストカットや販売単価の見直しなどをして利益を確保することも重要です。
今回の記事を参考に、安定して利益を生む繁盛店をぜひ目指してみてください。
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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