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「オーバーポーション」が原価率に影響?原価率の知識不足で閉店も!

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原価率は、飲食店経営を成功へと導く重要な指標です。
原価率を知ることは、利益率を確保することにつながります。もし原価率を理解せずにメニューの価格を決めてしまうと、赤字になって閉店なんていう結末も・・・?!

原価率の把握ができれば、適切な販売価格の値付けだけでなく、明確な売り上げ目標の設定も可能になります。今回は、原価率の計算方法から飲食店の適正原価率の考え方までご紹介します。

原価率とは?

原価率とは、売上に占める原価の割合のことです。言い換えると、商品を作るためにかかった材料費の合計が、販売した商品の価格のうち占める数値のことを指します。
原価率が分かると、粗利益額を知ることが可能です。粗利益額から人件費や広告費、家賃などの諸経費を引けば、売上目標の設定など経営戦略が立てやすくなります。
原価率は、人気店になるために欠かせない重要なマネジメント指標といえるのです。

原価率の計算方法

原価率の出し方は、「原価率=原価÷売上×100%」です。

例えば、次のような場合です。

ランチセットの原価・・・200円
販売価格・・・1500円

このケースでは、原価率は約13.3%(=原価200円÷販売価格1500円×100%)となります。
どの程度の販売量や原価を想定しているかによって、原価率は大きく変動します。

原価の設定が売上の行方を決める

原価とは、商品やサービスを生産するために必要となる費用のことです。飲食店の場合、原価としては食材費のみを考慮するのが一般的です。ただし、商品廃棄や商品の売れ残りがあると原価率が上昇して利益を圧迫するため注意が必要です。
全ての商品が完売すれば、計算した原価率をキープすることができます。しかし、オーダーミスによる商品の廃棄や想定をはるかに下回る売れ残りが発生すると、その原価分が上乗せされて原価率が上がってしまうのです。また、食材そのものの価格が高騰して、原価率の上昇を避けられない場合も。

このように、原価は大きな変動が想定される極めて難しい性質をもちます。売上を倍にするためには、原価もその分倍になるため、原価と売上はお互いに深く関わりあっているのです。

飲食店の適正原価率

原価率は、飲食店にとってお店の利益に大きく関わる重要な目安です。しかしながら、さまざまな要因から原価率を一定に保つことは非常に困難なことといえます。ただし、季節や条件によって波があっても、基準とすべき原価率があれば大幅な赤字を回避することができます。
飲食店が基準とするべき適切な原価率設定は、いったいどの程度なのでしょうか。

飲食店の適正原価率

適正原価率は30%が目安!

適正原価率とは、利益を圧迫しない原価率のことです。飲食店の適正原価率は、約30%といわれています。
原価率が高くなれば、それだけ良い商品をお客さまに提供できることにつながります。しかし、売上利益は食材の原価だけでなく、人件費や光熱費などの経費に充てられます。それをカバーできるほどの売上が出なかった場合、店舗経営自体が続かなくなる可能性が高くなるのです。
原価率30%が、こうした諸経費を加味した安定的な飲食店経営の基準として一般的となっています。

飲食店のジャンルによって原価率も変わる

飲食店の業種によって、その原価率の平均も変わります。カフェやラーメン店、居酒屋などは約25~35%、イタリアンやフレンチで約38~45%、寿司屋で約50~53%です。寿司や洋食などの具材が高い飲食店ほど原価率もあがり、カフェやラーメン店などの具材が安い飲食店は原価率が下がる傾向にあります。

ただし、あくまでこれは全体平均です。原価率が60%を超えても、人件費や販売の工夫によって経営が成り立っているお店はあります。回転率を上げることで、原価率が90%近くても利益をあげている例も。
原価率の高さは、一概に経営状況の悪化を示す指標とはいえません。とはいえ、適正原価率を無視した経営方針は、利益の圧迫を招くリスクをはらんでいます。原価率を中心とした経営のバランスが、成功のカギを握るのです。

原価率が上がる原因

飲食店にとって、利益を出すためにも原価率の上昇は避けたいところです。
飲食店経営において、原価率が高くなる原因は主に以下の3点にあると考えられます。

原価率が上がる原因

1.ロス率の増加

ロス率が高くなると原価率も比例して増加します。
ロス率とは、ロス高と売上高の差額を表す割合のことです。ロス率の計算方法は、ロス高÷売上高×100です。ロス高は、仕入れミスによる値下げロス、食材を廃棄することによる食材ロスなどによって発生する損失額を指します。ロス高は、販売額×廃棄した個数+値引き額×値引きした個数で算出することができます。

例えば、原価500円の商品が20個あったとします。1つ1000円で15個販売して、200円引きした800円で2個販売、残りの3個は売れ残って廃棄という結果になりました。
この場合のロス率の計算方法は、以下のようになります。

ロス高・・・(廃棄分)1000円×3個+(値引き分)200円×2個=3400円
ロス率・・・3400円÷(1000円×20個-3400)×100=20.48%

一般的に飲食店では、5%を超えるとロス率が高い目安となります。この場合、20%を超えるロス率がでており、大幅なロスが発生していることがわかります。ロス率が高くなると、その分利益が減少する原因となります。外的要因で売上に波のある飲食業界においてロスを完全になくすことは難しいですが、不必要な発注や無駄な廃棄を減らしてロス率を抑えることが重要です。

2.オーバーポーション

オーバーポーションとは、決まった分量を超えた盛り付けをすることです。
「ポーション」とは各メニューで定められている食材の分量を指す飲食業界の専門用語のことで、規定以上の量の盛り付けをした状態をオーバーポーションというのです。オーバーポーションは原価が上昇する原因となり、積み重なると大きなロスとなって原価率を押し上げる要因となります。また、盛り付けの分量にばらつきがあると、顧客満足度を大きく下げる結果になる場合もあります。
オーバーポーションにならないようにあらかじめレシピをマニュアル化するなど、対策が必要です。

3.仕入れ価格の上昇

食材を扱う飲食店にとって避けられないのが、食材費の変動です。野菜であれば天候や自然災害に左右されやすく、肉であれば家畜伝染病の影響を受けるケースがあります。輸入品を使った食品を主軸とした飲食店の場合であれば、為替の影響も考慮すべき点です。
安いタイミングに多く仕入れたとしても、最終的に使い切れずにロスになってしまったり、在庫を確保していても使い切れなかったりすると原価率上昇の要因となり得ます。こうした仕入れ価格の変動をあらかじめ考慮した原価設定、仕入をして原価率を出す必要があるのです。

原価率の高さを改善する方法

原価率は常に変動するものですが、利益をできるだけ多く確保するためにも抑えたいものです。そこで、効果的に原価率の上昇を抑えるコツを3つご紹介します。

1.オペレーションを見直す

飲食店にとって、オペレーションの見直しは経営状況を大きく変えるきっかけになります。マニュアルの改訂、人員配置の改善、レシピや分量の統一など規則の設定や改定は非常に重要です。ロスやオーバーポーションを減らすことにつながるため、オペレーションを今一度見直してみましょう。

2.売上貢献度の高い商品でメニュー構成を見直す

提供しているメニューを見直し、売上貢献度が高いメニューを中心としたメニュー表を作ると効果的です。単純に値上げによって原価率を抑えることもできます。しかし、容易に値上げしてしまうと客離れの危険があるため注意が必要です。そのため、まずはメニュー表の構成から見直すことが重要です。利益貢献度の高い商品で安定した売上を確保することができます。

3.メニュー開発力をあげる

原価率をできるだけ安定させるためには、メニュー開発力も重要なカギを握ります。季節や期間によって食材価格が変動しやすいため、仕入価格が低い食材を利用したおいしいメニューをお客さまに提供することが大切なのです。常に食材の価格や料理に関する情報にアンテナを張り、原価率をうまくコントロールしましょう。

安定的な原価率を保つための運営ポイント

原価率を適切に管理することは、お店の売上や利益を左右する重要なことです。毎日の店舗運営の中で少しでも管理を怠ると、すぐにその数値は悪化し、取り返しのつかない事態になってしまうこともあります。飲食店の事業主は、原価率の扱いには慎重にならなくてはならないのです。具体的には、どのような点に注意して管理すれば良いのでしょうか。

安定的な原価率を保つための運営ポイント

最適なタイミングで原価率をチェック

日々変動する原価率は、細かくチェックしながらその数値の変動を把握しておく必要があります。原価率をつど確認するタイミングは大きく4つです。

1.原価率を設定したとき
2.原価や仕入価格に変更があったとき
3.月次の粗利益額の見込みを算出するとき
4.週単位で売上分析をするとき

これらのタイミングで、原価率を確認することが重要です。飲食店では、食材費の変動リスクと常に隣り合わせであるため、最低でも月に必ず1度以上は原価率チェックを行いましょう。また、同時にメニューごとの売上状況なども把握し、メニューの構成、見直しを検討しましょう。

ITシステムを導入する

売上や原価率を効率的に管理するために、ITシステムを導入するのがおすすめです。例えばPOSシステムなど、タブレット端末ひとつで簡単に売上や粗利の集計ができるようなシステムも開発されています。これらの経営上必要となる数値の算出だけでなく、ITシステム導入によってキャッシュレスへの対応も可能なシステムとして活用することもできます。さまざまな面から運営をサポートする手法として注目されているのが、ITシステムなのです。

回転率アップの工夫をする

食材の高騰によって原価が上がることは避けられません。そのため、回転率をあげることが原価率を維持するうえで重要なポイントです。売れ残りによる廃棄ロスのリスクは、この回転率アップによって大幅に下げることができます。回転率を上げるために、看板やチラシ、SNSを使った宣伝に力を入れたり、店内環境の見直しや従業員の心がけなど多くの面からアプローチすることが可能です。常にお客さまが絶えないお店にするために、予算と相談した上で改善していきましょう。

まとめ

原価率は、飲食店を上手くマネジメントするために欠かせない重要な指標です。売上や利益にも直結するものであるため、原価率の管理には常にアンテナを張っておく必要があるのです。
飲食店では、食材の価格が常に変動するため原価率を一定に保つことは非常に難しいことです。しかし、適切な原価率の管理方法によって、不用意な原価率の高騰を抑え、安定させることはできます。
飲食店経営に悩む方や開業を考えている方は、ぜひ原価率の管理方法を見直してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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