自分のお店を持つことが夢で目指した飲食店の開業も、コンセプトをしっかり固めておかないとイメージ通りに経営することができない可能性が高いでしょう。事前にコンセプトを意識して開業すれば、お客様も自然と訪れてくれることに繋がるはずです。
今回はそんな飲食店を開業するために必要なコンセプトを10個紹介していきます。どういった方向性で飲食店を開業していけばいいのか、気になる方は参考にしてみてください。
目次
飲食店のコンセプトの重要性とは?
飲食店を開業する上でコンセプトとは重要な役割を持っています。コンセプトを決める重要性とはどんなことがいえるのか、詳しい内容を解説していきます。
飲食店にコンセプトがあれば軸がブレない
飲食店を開業する上でコンセプトとは、お店の業態やこだわりを持つという意味合いがあります。わかりやすくいうと、軸や方向性をしっかり持つために重要な要素で、事前に決めておけば軸がブレずに当初の目的通りに動くことができるということです。
どのようなお店にするのか、具体性を持つためにコンセプトは重要な役割を持っているので、飲食店を開業する前にはコンセプトは固めておきたい内容になります。
コンセプトを決めておけば判断がしやすい
コンセプト設定では、立地やターゲット層、いつまでに飲食店を開業するのかなど、具体的な取り決めを行っていきます。オープン前にしっかり考えておくことで、開業しても方向性が決まっているため判断がしやすいのが特徴です。トレンドだから、個人的にいいと思ったからといった内容で、メニューを変えてしまうようであれば、軸がブレてしまってどんなお店なのかわからなくなってしまいます。コンセプトを決めておけば、迷うこともなくなるので事前にしっかり取り決めておきましょう。
飲食店のコンセプト例
コンセプトを決める参考として、大手飲食チェーンの企業コンセプトを紹介します。
「サードプレイス」というコンセプトを打ち出し、家庭や職場とは異なる、くつろげる空間を提供することで、コーヒーショップのあり方を大きく変えました。
洋食を中心とした多様なメニューとリーズナブルな価格設定、家族連れからビジネスパーソンまで幅広い客層に対応する「カジュアルレストランの新しいスタイル」をコンセプトとしています。
「カスタマイズ可能な本格カレー」というコンセプトを掲げ、カレーチェーンとして、辛さや具材を自由に選べるカスタマイズシステムを確立。個人の好みに合わせた料理提供が特徴です。
飲食店のコンセプトを決める軸は?
自分のお店を経営するということは、とりあえず好きだからという簡単な気持ちでは続けることができません。しっかりコンセプトを意識して、決めたことをやり通す覚悟を持って開業することが重要です。飲食店のコンセプトを決めるために重要な軸となる考え方を解説していくので参考にしてみてください。
開業する目的は何か
何のために開業するのか強い目的意識を持つことが、飲食店の開業の原動力となります。自分のお店を持ってみたかったというだけの気持ちではなく、お客様を笑顔にするために自分で開業したかったなど、強い意志を持つことが経営を円滑に進めるためには重要です。
どのターゲット層を対象にするのか?
飲食店を開業する上で、どの客層に向けて商品を出すのか、ハッキリとターゲットを決めておくことでメニューや内装が変わってきます。また、ターゲットとする客層によって開店する時間も合わせていく必要があるので、狙うターゲットは具体性を持って意識しておきましょう。
出店する立地はどこか
飲食店開業において成功の鍵は立地条件がいい物件を選ぶことです。狙っているターゲットが通いやすい場所にお店を構えていれば、自ずと狙っていた経営の方法が実現することに繋がります。また、サラリーマンをターゲットにしているのであればオフィス街、駅前にお店を構えるなど、計画的に立地を検討することが重要です。
メニューはどんなものにするのか?
お店で出すメニューはどんな物にするのか、ターゲットやコンセプトを意識して決めていきましょう。居酒屋であれば一品ものなのか創作料理なのか、またはお酒の種類はどんな物を用意しておくかなど、ターゲットやコンセプトによってメニューは異なります。
飲食店のコンセプトの決め方は?
飲食店を成功に導くカギは、明確で魅力的なコンセプトにあります。単なる料理提供の場所ではなく、お客様に特別な体験を提供する空間をつくるためには、綿密な計画と創造性が必要です。
コンセプトの軸を考える
コンセプト作りの最初のステップは、自分の強みと情熱を見つけることです。得意な料理や専門分野を深く理解し、ターゲット顧客のニーズを分析します。地域の飲食市場の特性を観察し、自分のバックグラウンドから生まれるユニークな視点を探ります。他の飲食店とは異なる独自の価値を見出すことが、コンセプト決定の肝となります。
コンセプトのアイデアを出す
コンセプトのアイデア出しでは、創造性を発揮することが重要です。地域の食文化や最新トレンドを調査し、市場にない新しいテーマを模索します。自身の経験から生まれる独自の視点を大切にし、健康、エンターテイメント、コミュニティなど、多角的な価値提案を考えます。柔軟な発想で、斬新で魅力的なコンセプトを追求しましょう。
コンセプトを店舗に落とし込んでいく
考案したコンセプトを店舗運営に反映させるには、細部へのこだわりが欠かせません。メニュー開発では、コンセプトに合致する料理を選定し、一貫した体験を提供します。店舗デザインでは、コンセプトを視覚的に表現し、内装や雰囲気にこだわります。スタッフトレーニングを通じてコンセプトを共有し、ターゲット顧客に響くマーケティング戦略を構築することで、お客様との強い共感を生み出します。
コンセプトシートを用いて飲食店のコンセプトを決める
飲食店の成功には、明確で魅力的なコンセプトが不可欠です。コンセプトシートは、その羅針盤となる重要なツールです。体系的にアイデアを整理し、明確なビジョンを描くための方法を解説します。
コンセプトシートとは?
コンセプトシートは、飲食店の基本的なアイデアや方向性を可視化する企画書のような文書です。飲食店のアイデアを体系的に整理し、自分の考えを明確にするための思考ツールとして機能します。創業前の準備段階で、自分の構想を具体的に整理し、戦略的に飲食店をデザインするための重要な役割を果たします。
コンセプトシートに記入するべき項目は?
コンセプトシートには、店舗の本質を明確にする重要な項目を記入します。具体的には、ターゲット顧客、提供する料理のジャンル、価格帯、営業スタイル、店舗の雰囲気、競合との差別化ポイントなどが含まれます。これらの項目を丁寧に検討し、自分の飲食店の独自性と魅力を明確にすることが重要です。
※以下はコリアンカフェの開業をイメージした一例です。

コンセプトシートの活用方法は?
作成したコンセプトシートは、単なる企画書以上の役割を果たします。事業計画の基礎資料として活用し、出店準備や資金調達の際の説明資料としても機能します。また、スタッフと経営ビジョンを共有し、一貫したサービス提供を実現するためのガイドラインとしても役立ちます。定期的に見直し、市場の変化や自店の成長に合わせて柔軟に更新することが大切です。
飲食店のコンセプトを考える際の観点
上記で述べた以外にも、コンセプトを決めるうえで大切なポイントがいくつかあります。
いつまでに店を開業するのか?
いい物件が見つかったから早々に飲食店を開業するのは、判断が早すぎます。計画を綿密に練っていき、いつまでにお店を開業するのがベストなのか、しっかり決めておくことが重要です。いい物件を見つけることは開業する上では大切な要素になります。しかし、思い付きで決めてしまっては後悔するような結果に繋がるでしょう。
誰と開業するのか?
お店の規模にもよりますが、基本的には一人でお店を開業することはできません。社員の数やアルバイトの数など、運営するためには誰と何人で行うのか、しっかり把握しておくことが大切です。どんな人と運営していくのか、人材のイメージをしておくのもいいかもしれません。
イチオシメニューはどんなものにするのか?
お店の看板メニューとなる物を考えておくことで、コンセプトの軸が決まります。何を売りにするのかで、客足も変わってくるので個性のあるイチオシメニューを選んでおくようにしましょう。
宣伝はどのように行うのか?
何を全面的に押し出していくのか、宣伝を行うためにも決めておく必要があります。看板メニューに合わせて店名を同じにするなど、お客様に覚えてもらえるようなインパクトのある宣伝を行うことが重要です。
コンセプトの実現が難しいようなら考え直す
当初考えていたコンセプトで飲食店の開業まで進めることができれば理想的ですが、中には実現し切れない内容も含まれていることもあるかもしれません。理想的な立地にある物件が見つからなかったり、看板メニューのコストが想像以上に高かったなど問題が発生することもあるでしょう。
実現が難しいコンセプトであれば、意固地にならず一から考え直すことも重要です。いつまでも考えていても実現できないものは仕方ありません。ずるずると開業のタイミングを遅らせてもチャンスを逃すだけなので、無理なコンセプトを洗い出し、実現できる範囲でコンセプトを検討し直しましょう。
まとめ
飲食店を個人で開業するためには、十分なコンセプトやアイディアを考えておくことが重要です。ターゲット層や立地だけでなく、メニューも検討しておくことで今から開業するお店の強みがハッキリと見えてくるようになります。そうすれば、どんな個性を全面的に出していけばいいのか判断することが可能です。できるだけ綿密にコンセプトを決めることが大切なので、計画性を持って開業を進めていきましょう。
