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日本で最初の盲導犬が誕生してから60年以上が経ちます。とはいえ、特に飲食店は食べ物を扱っているため「衛生面は大丈夫?」、「ほかのお客様の迷惑にならない?」と過剰に反応して盲導犬同伴の入店を拒否する傾向にあります。でもそれはNG!
店の経営姿勢を疑われないよう、盲導犬に関する正しい知識を身に付けましょう。盲導犬ユーザーが入店拒否される原因
現在、盲導犬ユーザーは1000人ほどと少なく、このようなことから、盲導犬ユーザーに対応をしているお店はかなり少ない傾向にあるほか、盲導犬ユーザーが少なくあまり認知されていないということも原因としては挙げられます。また、何よりも人の心がしっかりとしておらず、理解力や思いやりの心が掛けてしまっていることも考えられます。
原因となるものについて
盲導犬ユーザーですが入店拒否をされてしまう原因について詳しくご紹介をしていきます。
盲導犬についての理解不足
まず初めに言えることは、盲導犬についての理解が不足しているということです。「盲導犬=ただの犬」と思っている方は多く、「うちのお店は犬を受け入れていません」や「他のお客様の迷惑になるから」、「店が狭いから入れません」などと、拒否してしまうお店があることも事実でしょう。
しかしながら、基本的には各都道府県による食品衛生法施行条例にて盲導犬の入店は認められていますので拒否はできません。盲導犬を連れている理由をしっかりと理解できれば快く受け入れられるものですが、残念ながら理解が不足していることによって入店拒否が起こってしまうのではないでしょうか。従業員の教育について
盲導犬ユーザーの入店広めるためにも従業員の教育は必要不可欠でしょう。従業員がしっかりと対応できるように、上司が盲導犬ユーザーについて理解を深めていかなければいけません。
盲導犬の入店拒否は法律違反!
盲導犬は、2002年に施行された「身体障害者補助犬法」に基づき、公共施設や交通機関のほか、飲食店をはじめとするさまざまな場所への同伴が許可されています。また、2016年施行の「障害者差別解消法」では、盲導犬を理由とした入店拒否は間接的な差別であると明記しています。しかし、ある盲導犬育成団体の調査によると、約8割の盲導犬の使用者が入店拒否を経験しているとのこと。まだまだ認識に大きな隔たりがあるようです。
盲導犬の正しい知識を付けよう
盲導犬の役割は知っていても、あまり身近な存在ではないために、正しく理解されていないことが多いようです。知っておきたい盲導犬の知識をご紹介しましょう。
盲導犬はほとんど吠えない
盲導犬は十分な資質を備えた血統のラブラドール・レトリーバーを候補生として、厳しい訓練を施します。合格するのは全体の7~8割程度。こうして認定された盲導犬は、使用者の介助の役割をこなすだけでなく、周囲に不愉快な思いをさせないために、決して無駄吠えしないよう徹底したしつけがなされています。
盲導犬はペットではない
盲導犬は使用者の「目」の代わりになるだけなく、大事な「パートナー」でもあります。盲導犬の入店を拒否されることは、犬の存在、ひいては使用者の存在を否定されたように感じられてしまうということを心に留めておきましょう。一方、使用者の方も、利用するお店に迷惑をかけないよう、「衛生管理義務」として、シャンプーやブラッシング、歯磨き、爪切りといった犬の手入れを徹底しています。また、全ての盲導犬は、使用者の指示がないと排泄しないように訓練されていますので、店内を汚すことはまずありません。
盲導犬のシンボル「ハーネス」
盲導犬が体に白い胴輪を付けているのを目にしたことがあるでしょう。これは「ハーネス」と呼ばれる器具で、盲導犬の動きをスムーズに使用者に伝えるための、とても大切なものです。ハーネスが少し下に動いて止まると、その先に下りの階段があるといった具合に、ハーネスの動きから伝わる情報で、使用者の安全が確保されているのです。
盲導犬を連れたお客様への接客法
盲導犬が徹底的に訓練を受けているということが理解できたら、必要以上に受け入れにナーバスになることはありません。店側が心がけるのは、盲導犬の使用者であれ何であれ、ひとりのお客様としていかに快適に過ごしていただけるか、という点のみです。しかし、店の形状が適切かどうか、店内の込み具合やほかのお客様との兼ね合いまで、犬には判断できません。まずは基本的な対応の仕方を覚え、従業員にも研修などを行って情報を共有するようにしましょう。
入店時
まずは声掛けから始めます。「いらっしゃいませ。ご案内しますのでお待ちください」など、店側がお客様(盲導犬の使用者)の入店を確認したことを伝えましょう。その後、空席を探して、座席まで誘導してください。
座席への誘導
座席の椅子に軽く触れるまで近づいてきてもらい、手で椅子の背もたれを触ってもらうなどして、位置だけでなく座面の高さも確認してもらいます。あわせてテーブルの位置も説明しましょう。慌てずゆっくりと、が基本です。盲導犬は基本的に椅子やテーブルの下に「伏せ」の形を取りますが、まれに通路などにずれて伏せてしまう場合もあります。その際はお客様に説明して調整してもらいましょう。
注文を受ける
点字メニューがあれば、まずはその旨を伝えます。お客様が来店前にすでに注文するものを決めていることもありますが、点字メニューがない場合は、メニューを読み上げます。その際に、飲み物であれば「温かいものと冷たいもの、どちらがよろしいでしょうか」など、いくつか質問をして絞った方が、無駄なくスムーズな対応ができます。値段も一緒に読み上げることもポイントです。
配膳する
お客様が誤ってこぼしたり、熱い器に触れてやけどをしたりするおそれもあるので、料理をテーブルに置く際は、必ず置く前に声をかけることを心がけてください。料理以外にもお冷やおしぼり、箸やフォーク、ナイフの位置も伝えましょう。配膳の都合で、一度置いたコップなどの位置を動かすときにも必ず伝えるようにしてください。料理は手で触れてもらうのが難しい場合が多いので、「右の手前」、「10センチ左」などの表現を使ったり、時計の文字盤に例えたりするなどして、お客様から見た位置を説明します。なかにはまだ食事に慣れていない方もいるので、代わりにドレッシングやソースをかけてほしいといったリクエストがあるかもしれません。義務ではありませんが、快く食事をしてもらうための店のサービスの一環と考えればいいでしょう。「何かご要望はございますか?」など、ここでも一声かけるとスムーズです。
トイレへの案内時も忘れず
トイレの案内は、トイレの中にも入る必要があるため、お客様が男性なら男性、女性なら女性の従業員が付きます。お客様が異性の場合は同性の従業員を呼びましょう。まず実際にトイレまで誘導したら、その場で便器の形式や向きを説明します。トイレットペーパーや水を流すボタンの位置などは、実際にお客様の手を取って触れてもらいましょう。ドアの外で待つ旨を伝えて出たら、用が終わるのを待って手洗い場に誘導します。盲導犬の待機の仕方については、お客様に尋ねて対処しましょう。
盲導犬に関する注意点
盲導犬はペットではなく“仕事”をしています。飲食店に限ったことではありませんが、使用者の安全のために、周囲が気を付けなくてはならないポイントを紹介します。
盲導犬に触ったり話しかけたりしてはいけない
よくある間違いは、「かわいい!」「お利口ね」などと声をかけてなでたり、口笛を鳴らして興味を引いたりする行為。盲導犬が仕事への集中力を欠くと、大きな事故につながるおそれがあります。飲食店では、ほかのお客様がこのような行為をしたり過剰に盲導犬へ視線を送ったりしないよう、従業員が気を配るようにしてください。当然ですが、テラスなどで一般のペット連れと一緒になることがあっても、犬同士のあいさつは無用。店側としては、制御が利かないペットとトラブルにならないような座席に案内するように心がけましょう。
食べ物をあげてはいけない
一般のペットはトリーツ(おやつ)などの食べ物を使ってしつけを行いますが、盲導犬は違います。1日1回決まった時間に食事をとり、外では食べ物をほしがらないように訓練されています。安易に周りが食べ物を与えてしまうと、そうした訓練が水の泡となり、使用者の安全が脅かされることに。ほかのお客様が食べ物などをあげようとしたら、すぐにやめるよう案内しましょう。
他のお客様からクレームが来た時の対応法
盲導犬の理解は以前より進んではいるものの、特に飲食店ではほかのお客様からのクレーム対象になりやすい傾向にあります。まずは従業員が余裕を持って毅然とした対応をとることが肝心。特別な訓練を受けていること、衛生面を含めて迷惑をかけることがないことがきちんと説明できれば、クレームをつけた方も安心できます。ただ、なかには犬アレルギーのような、物理的に難しいお客様もいらっしゃいます。離れた場所に案内する、どちらかに少し待ってもらうなど、双方とも気分よく過ごせるように、店側が場所や時間を調整してください。状況によっては、使用者が盲導犬は同伴しない方が望ましいと判断することがあるかもしれません。事務室のような屋内の静かな場所があれば、待機場所として提案するのも一案です。
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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