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”たむけん”の愛称で親しまれているタレントのたむらけんじさん。お笑いタレントとしてだけでなく、焼肉店や中古車屋などを経営するビジネスマンとしても有名です。テレビでは決して見せない(!?)実業家・たむらけんじに迫ります!
第3回目は「サービス」をテーマに語っていただきました!焼肉を開業したきっかけは?
――たむらさんのお店のプロデュースの発想の端緒について聞かせてください。料理のイメージが先か、それともお店トータルのパッケージのイメージが先か、どちらなんでしょうか。たとえば「炭火焼肉たむら」は?
たむら: 「炭火焼肉たむら」でいうと、焼肉屋っていう業態は決まってたので、選びようもなく「焼肉屋をやらなアカン」ってところから始まってるので。
――義理のお母さんのお店を引き継いだんですよね。始めた当時は困惑はありましたか?
まあ、僕、寿司の方が好きですもん (笑)。いや、まあ当時は、困惑なんかなくて、とにかく「やらなアカンねんな」って思って夢中でやってました。楽しかったですよ。やるって決めてから2週間でオープンって決めたんで。当時仕事もなかったから毎日動けたし。その2週間は地獄でしたけど、めっちゃ楽しかったです。まずはじめたことはコストカット
――『なぜド素人経営者の焼肉屋は繁盛したのか?』に〈ド素人にもすぐできること。それでいて経営に最も効果的な手法のひとつ。それがコストカットです〉とあるように、まず徹底的にコストカットをされたそうですね。でも削った所も戻すべきところは、戻すべきときに戻して、削ったままにしておかなかった。これは何故だったんですか?
お店とか、ちょっと儲かってくると楽したくなるんですよ。そこに業者が上手いこと入って来はるんです(笑)。トイレとかも、シュッシュッってやる洗剤含め、レンタル代で月に2,000~3,000円取られるわけですよ。2,000~3,000円って聞いたら一瞬「あ、安いな」って思うけど、「いやいやいや、石鹸買いに行ったら何百円で売ってんねん」っていう話じゃないですか。その石鹸が1カ月でなくなるかって言ったら、なくならへんし。そんなのを積み重ねていったら、結構金額もいって「こんなに削れんのや」って面白かったです。でも基本は「自分の店がカッコ良くなる」じゃなくて「全てのお客さんに喜んでもらいたい」。やっぱりお客さん第一。お店のロゴ入りのマットなんかは一度はやめたんですけど、後に戻しました。マットにロゴが入ってて、そういうことが出来るお店だという安心感がお客さんにはあるやろうし。お店にはいろんな形があって、大将の腕があって味が抜群に美味ければ、たとえ店がボロボロでもいいっていう場合もある。僕もそういう店好きですしね。だけど僕らの店はできるだけオールマイティにやっていかないと、突出した何かを持ってるお店には勝てないので。女性がブームを作ってくれる
――「お客さん第一」というお話から、改装された「炭火焼肉たむら蒲生一号店」のトイレを思い出したんですが、スペースも広いし、特に女性用トイレにはホテルのようなアメニティグッズも揃っていて。女性のお客さんの目線も、すごく大事にされてますよね。
はい。やっぱり、何事も女性がブームを作ってくれると思っているので。女性の意見って鋭いし、男って「このトイレ綺麗やな」って思う人って少ないと思うけど、「何このトイレ綺麗やん、インスタ映えやー」とか思ってくれるのは女子ですもん。発信してくれるのも女子やし。できるだけマニュアルは作らない
――たむらさんにとってお客さんへの〈サービス〉とは、そもそもどんなものですか?
以前、Twitterで聞いたんですよ。「お客さんとして焼肉屋さんに来て、どんなサービスしてもらったら嬉しいですか?」って。僕が想定していた答えは「50%の割引チケットがほしい」「これだけの人数で行ったら幹事のぶんをタダにしてほしい」「何かサービス付けてほしい」とか、お金のことばっかり考えてたんです。1番多いのは何やったと思います? これがね、僕もホンマ意外やったんですけど「素晴らしい接客」だったんですよ。「ちゃんと接客をして欲しい、どんな美味しかったとしても、どんなに値段的なサービスがあったとしても、そのお店の接客が悪かったら二度と行きません」って。僕はもう、浅はかで。金銭面のサービスを聞いたつもりだったのが「ああ、お客さんって、そこ見てんねや」って思い知らされました。だからウチの理念は「お客様がハッピーになって帰ってもらう焼肉屋を目指しましょう」なんです。となると〈サービス〉って、ホンマにお客様目線っていうかね。「サービスって、一概には言われへんから説明するの難しいねんけど、思っといて欲しいのは、自分がされて嬉しいことをしてあげたら、多分、お客さん喜ぶと思うで」って、僕、スタッフの子らに言うてるんですよ。「自分がゴハン食べに行って〈こんなことされて嬉しかった〉っていうのをお客さんにしてあげたらエエし、お客さん見て〈自分やったら今、これ欲しいって思うやろうな〉って思うものを持って行ってあげたり、お声かけてあげたりしたら、それだけで喜んでもらえると思うよ」って。だからウチは、出来るだけマニュアルを作らんようにしてるんです。リッツカールトンホテルって、従業員が何ドルか……100ドル~200ドルかな? お客さんが幸せになるなら、自分の好きに使っていいお金があるんですよ。ウチもそういう風にお客さんが喜ぶことやったら、お金使っていいからとは言ってますけど。
――やっぱりマニュアル頼りになると、たむらさんがお話されたようなサービスは生まれにくくなりますよね。
でも、もちろんマニュアルも大事やなって思ってるんですよ。けど、それはベースでしかないっていう事を教えてあげないと、マニュアルをただこなせばいいってなってしまうし。でも僕、スタッフに厳しく「こうしよ、ああしましょ」ってこれまで1回も言ったことないんですよ。やっぱり人間なんで、今、話したようなことはちゃんとできるやろうなって思ってますし。会社に関わるすべての人が責任感を持たないと、会社はよくはならない
――現場にいかに預けるかっていうのは、たむらさんの経営のテーマというか、『なぜド素人経営者の焼肉屋は繁盛したのか?』にも書かれていた「現場尊重主義」ですよね。
はい。もうだって会社でかくなればなるほど、出来ることは知れてますよ、社長なんか。
社長なんてやれること知れてますって。絶対に下に任せないと。権限委譲はしないと。権限委譲してケツ拭いたらいいんですよ、社長なんて。僕そうやと思ってるんで。会社に関わる人それぞれが責任感持ってやらないと会社は絶対よくならないです。どんどん腐っていくと思います。なので、ウチは権限委譲……し過ぎですけど(笑)、最終的に借金は、金は俺がみるからって。それしかやることないじゃないですか。現場立って皿洗いするわけでもないし。
――でもここ(取材場所のNIKUDONBURIたむら)にいらっしゃったとき、真っ先にトイレをチェックされてましたね(笑)。そこだけは……
もちろんもちろん。とりあえずトイレ。もう気になるんでそれだけは絶対に欠かさない(笑)。>>全5回!たむらけんじロングインタビュー記事一覧ページはコチラ
【プロフィール】
たむらけんじ
1999年に漫才コンビ「LaLaLa」の解散以降、ピン芸人として活動する。株式会社田村道場の代表取締役として「炭火焼肉たむら」「NIKUDONBURIたむら」の運営など、経営者としても活躍。松本人志、宮迫博之、さだ(構成作家)らと共演する人気番組『松本家の休日』(ABC)のDVD第6弾『松本家の休日6』(よしもとアール・アンド・シー)が発売中。
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