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XL以上のサイズしか売らない洋品店…専門店の商機はどこにあるのか?

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普通は手を出さないような特殊な市場、小さな市場。そこにあえてチャレンジして、シェアナンバーワンを獲得するという経営戦略があります。一般的にランチェスター戦略で言われるところの「小さな1位をたくさんとれ」という部分です。簡単に言うと、ライバルがいない隙間産業を狙って一発儲けようという戦略。この隙間産業とは事業自体を指すこともありますし、サービス内容、価格、時間帯、地域など、細分化したポイントに注目することよって成功した事例がたくさんあります。

ランチェスター戦略とは

ランチェスター戦略とは、第一次世界大戦で用いられた軍事戦略を基準に、マーケティング理論として日本で研究されて体系化されたものです。日本の大手企業であるソフトバンク、アサヒビール、エイチ・アイ・エス、ソニー、セブンイレブンなどはランチェスター戦略をうまく駆使して大きく成長したと言われています。
ランチェスター戦略を考える上で重要になってくるのが、ランチェスター法則とランチェスター戦略方程式です。それぞれの詳細について見ていきましょう。

ランチェスター法則とは

ランチェスター法則とは、兵力数と武器性能の関係を「武器効率(質)×兵力数(量)」で表したものです。弱者の戦略である「第一法則」と強者の戦略である「第二法則」から成り立っています。それぞれの戦略について見ていきましょう。

ランチェスター第一法則

弱者の戦略であるランチェスター第一法則は、局地戦や接近戦、一騎打ちといった一対一の戦いに当てはまる戦闘力の法則です。
局地戦では、「武器効率(質)×兵力数(量)」がいかに優れているかが勝敗を左右するため、もし兵力数が少ない場合には武器効率を高めることで不足分を補うしかありません。
例えば、100人の兵力が竹やりを持っているのに対して、50人の兵力が拳銃を持っていたとすると、いくら兵力が多くても武器で勝っていないことから、50人の兵力でも勝機が見えます。

ランチェスター第二法則

強者の戦略であるランチェスター第二法則は、広域戦や遠隔戦、確率戦という集団対集団の戦いに当てはまる戦闘力の法則です。
広域戦では、局地戦とは異なり「武器効率(質)×兵力数(量)の2乗」が戦力になるため、兵力数が多ければ多いほど有利ということになります。
つまり、広域戦ではほぼ弱者に勝機は見えないことになるため、弱者が強者に勝つためには局地戦に持ち込むしかないと言えます。

ランチェスター戦略方程式とは

ランチェスター戦略方程式とは、第一次世界大戦で用いられたランチェスター法則を第二次世界大戦の際に改良したものです。「武器効率(質)」を細分化し、「戦闘」と「戦術」に分けたものです。ランチェスター方式とランチェスター戦略方程式から導かれるランチェスター戦略は、大きく3つに分類されます。それぞれについて見ていきましょう。

絶対的No.1主義

弱者がNo.1になろうと思っても先ほどのランチャスター方式を見て分かるように簡単ではありません。そのため、No.1になるためには効率良く勝利を重ねていくことが重要です。
局地戦であれば弱者でも勝機があるため、まずは「エリア」、次に「顧客」、最後に「商品」とエリアを小さくして顧客層を絞って、特定の商品に限定するなどして、小さな勝利を重ねていくのがポイントです。そうすることによって、小さな専門店でも大手百貨店などに勝てるようになるでしょう。

足下の敵攻撃の原則

ビジネスの世界で勝つためには、上位の競争相手には差別化で対抗し、下位の競合相手にはミート戦略という同じことを行うという戦略があります。
例えば、No.2の企業の場合には、No.1の企業に対して違う戦略で勝負しながらも、No.3の企業に対して同じ戦略でシェアを奪い取っていくものです。弱者から勝利を重ねることでシェアを大きくしていくことができるでしょう。

一点集中主義

さらに競争相手に勝つためには、1点に集中して攻撃する必要があります。「エリア」「顧客」「商品」のどれかに注力して最大限に勝率を高めるという方法です。いわゆるニッチ市場や隙間産業と呼ばれるようなものは、この一点集中主義であると言えます。
「痒い所に手が届く」などのような顧客にとって不足していた部分に目を付けて勝負することも勝つための法則と言えるでしょう。

今までにないイノベーションを起こす必要はないと知る

ニッチ市場、隙間産業などというと、今まで世の中になかった革新的なものを開発する必要があると考えているかもしれません。しかし、実はそうではありません。同じような商品を扱っていても、価格が違えば差別化が可能。同じような経営をしているラーメン店でも、夜20時で閉まるところと24時間営業のところでは、同じようでまったく違う戦略を実施しています。ニッチ市場、隙間産業を狙うために必要なのは、こうした「ちょっとした違い」なのです。これを見つけて、他社よりも先んじて動き、盤石の地位を確立できれば、事業成功の確率が向上する可能性があります。

「混まない店作り」で大成功した西松屋

ベビー用品チェーンでおなじみの西松屋。ここは「混まないお店づくり」をコンセプトにしたことで有名です。年商が増えれば当然来店者が増えますが、店舗の年商が2億を超えると、近隣にまた出店。これにより、あえて店内の混雑を防ぎます。また、販促用のマネキンなどを置かず、通路を最大まで広くし、小さなお子さんを抱えたお母さんが買い物しやすい売り場を作っています。その結果、ゆったりと買い物ができることで、顧客あたりの単価が向上したそうです。客数ではなく売上げを伸ばすことで事業規模を拡大しました。

時間帯の隙間を攻める戦略から発生したコンビニ

大手コンビニエンスストアのセブンイレブン。名前の由来でもあるように、初期は朝7時から夜の11時までの営業でした。その営業時間を24時間にしたことで、深夜に食べ物やたばこ、日用品を買いたかった人など、他のお店が開いていない時間帯でどうすることもできなかった人たちを見事に取り込んだのです。コンビニは出店する際に緻密な地域マーケティングを行っており、交代制勤務の多い医療業や製造業などの近くには、コンビニが密集していることが多いです。深夜に勤務する人たちをターゲットにした戦略も24時間営業にぴったりでした。

XL以上のサイズしか売らない洋品店の戦略

XL以上のサイズしか売らない洋品店は全国的によくみかけます。ニッチなニーズを追求することで成功している例ですが、SやSSサイズしか売らない洋品店は見かけません。一般的な洋服のサイズでニーズが高いのはMとLサイズ。これが着れない消費者はそれ以上のサイズを求めるわけですが、SやSSサイズがぴったりな消費者は、案外Mサイズを工夫して着ているものです。だから、サイズを追求すると言っても、S・SSサイズ専門店が大きいサイズ専門的に比べて市場が無いのが分かります。ですが、靴となればそうはいきません。だから、靴屋であれば、大きいサイズ専門店もありますし、小さいサイズ専門店も存在するのです。

常にアンテナを張って情報収集

世の中にはニッチ産業、隙間産業という産業が存在します。いつも自分のアンテナ張り巡らせておき、なにかタイミングが来たらその事業にチャレンジしてみるのもいいかもしれません。あなたの何気ない気付きが、ビッグマーケットを生み出す可能性もあります。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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