社会保険労務士で(株)リーガル・リテラシー代表取締役社長の黒部得善氏がお届けする、飲食店経営にフォーカスした労務コラム連載。
スタッフを雇用する店舗経営に欠かせない業務のひとつである労務管理。特にコロナ禍以降の外食業界は深刻な人材不足に悩まされ、「せっかく採用したのにすぐに辞めてしまう」「そもそも応募が来ない」といった悩みのほかに、アルバイトがSNSを使ったトラブルを起こす事例もたびたび耳にするようになり、安定経営とリスク回避という二つの側面で労務管理の重要性が高まっています。
第13回は、『お店でやってほしい仕事の整理』シリーズ第2弾として、「飲食店で求められる能力」についてお届けします。
前回の振り返り
前回、スタッフにしてほしい仕事の整理を難しくさせる「間違った仕事のとらえ方」について話をしました。今回は、仕事の整理にあたって、「飲食店で求められる能力」についての話をします。
飲食店の仕事で必要な能力は何?
飲食店は①食材を仕入れて②それを加工して③付加価値をつけて提供し④その場でお客様から現金を回収する、というビジネスです。お店の中には商売のすべてが詰まっていて、そこには様々な作業があります。その作業をするための能力(スキル)は大きく分けて二つ。
マネジメントスキル・・・売上計画、数値管理、人材育成などの計画立案遂行などの売上を作りお金を残すための能力
これらのスキルを高めるために教育し、できるようになったら、見合った給与を支払う。それが労務です。求めるスキルをはっきりとさせられれば教育もしやすくなり、より充実した店舗運営につなげていけることでしょう。
お店にいることも仕事
この連載の中でいつも触れていますが、労務とは「会社が指揮命令する権利を買って対価として給与を支払うこと」です。そして飲食店の仕事の特徴の一つは「お店にいることも仕事」です。指揮命令の頻度がとても多い職場で、お店にいることも仕事…。
つまり、常にお店の中で同僚とコミュニケーションをとり続けなくてはいけません。それはお店が暇な時でも、です。その同僚のことが好きか嫌いかは一切関係なく、濃い人間関係が求められる職場なのです。
スキルが高ければ良いというわけではない
みなさんは次の中でどちらの人と一緒に仕事をし続けたいですか?
B:スキルが高いというわけではないが面倒見が良く人間力が高い上司
おそらく、Bの上司と一緒に仕事がしたいという方が大半ではないでしょうか。お店で多くの時間を一緒に過ごすため、スキルが高くてもその日の営業だけやれれば良い、というわけにはいきません。お店のみんなで一緒にやってはじめて良いお店となり、成果につながります。高いスキルを持っているだけでは、良いお店にはなりません。
飲食店で求められるのはマインドとスキル
お店には理念や行動指針があります。ただ仕事さえしてくれたら良い、というわけではなく、会社が必要とする人たちと一緒に仕事をすることで、そのお店らしい成果にもつながります。飲食店で求められるのは、マインド>スキルです。
お店の文句ばかり言う人と一緒にシフトに入りたいですか?店長の悪口ばかり言っている人と一緒にシフトに入りたいですか?答えはNOでしょう。
接客スキルは高いけど人望が全くない、みんなから嫌われているスタッフを店長にしたいですか?これもおそらくNOでしょう。
「できる人が欲しい」という言葉はよく聞きますが、できる人は右の図のように示すことができます。それではマインドとはどういったものでしょうか。
自分のお店にあった人間性を持つ人は輝くスタッフになりやすく、みんなから好かれる人にもなりやすいです。その反対に、そもそも“人として”のマインドがない人は、どれだけ作業スキルが高かったとしても、みんなで一緒に頑張れず、輪を乱します。その結果、お店のみんなと協調できないので、良いチームワークは生まれず、お店の成果にも結びつかなくなります。
次回は、そのマインドについて具体的にお話します。
今回のキーワード:スキルばかりに目を向けるのではなくマインドが一番大切
