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【小阪裕司コラム】第248回:商品を見るか、お客さんを見るか

【小阪裕司コラム】第248回:商品を見るか、お客さんを見るか

全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

お客さんの状況を知るための接客

 今回は、分かっているようで意外と見落としがちな、接客での大切なお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のあるリサイクル・リユース店からのご報告。
 同店に、あるお客さんが来店し、店内でスタッフおすすめのPOP(店頭販促物)を熱心に見ていた。そこで店長が声掛けし、少し話をしていくと、Googleの口コミを見て来店したとのことで、チャイルドシートを探していることが分かった。
 ここで彼は商品の説明に入らず、そのお客さんの方に注意を向けて接客を続けることにした。具体的には、「チャイルドシートをどのように使う予定なのか」「何か気になっていることはあるのか」「どこで悩まれているのか」など質問を重ねていった。そうして話を聞くうちに、お客さんが商品の何を気にかけているのかが見えてきた。そこで、それらを一つずつ確認しながら案内を続けていった。
 そうして話を進めていくと、これから生まれてくるお孫さんのために探していることも分かった。そこから実際の使用場面も想定しながら話を進め、一つひとつ疑問や不安を解消していった。結果、不安や疑問を解消することができ、十分に納得したうえでチャイルドシートを購入していただいたとのことだ。
 商品のことを一方的に説明するのではなく、先にお客さんが分からないことや不安に感じていることを聞き、それに対して必要な説明をするという接客を意識したと店長は言う。この接客を通し改めて、販売では「商品の良さを伝えること」だけでなく、お客さんが何に悩んでいるのかを知ることが大切だと感じたとも。

商品知識はお客さんのために

 売り手はともすれば「売る」ことに気が向いてしまい、そもそもお客さんはなぜその商品を買いに来たのか、何を求め、何を気にかけているのかを知ろうとすることを忘れる。しかし、それらを知らずして、そのお客さんが「本当に買うべき商品」を見立てることはできない。この「質問」と「見立て」こそが売る側の腕の見せどころであり、接客の活きる場面でもあり、お客さんの感動や買い物の満足度に直結するものなのだ。
 商品の説明は必要だ。そのための商品知識も。しかしそれだけでは良い接客はできない。その知識を誰のために、どう活かすか。そこにこそ、売り手の存在意義があり、お客さんに選ばれる店になるカギもあるのである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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