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【小阪裕司コラム】第246回:ささやかな改善はこんなところでも

【小阪裕司コラム】第246回:ささやかな改善はこんなところでも

全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

あるペット用品店が行なった改善点

 前回、ささやかな改善例をお話しした。そのような改善力を高めることが大きな成果を生むことも。今回も同様のお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、あるペット用品店からのご報告だ。
 店主が改善したのは、前回の生花店と同様に店頭のA型看板。そこに書くメッセージだ。前回の生花店は商品を買ってもらうことが狙いだったが、このペット用品店の狙いは店内に入ってもらうこと。
 というのも、同店は小さな店。間口も狭く、お客さんにとっては入りにくい店。そこで、入店のハードルを少しでも下げようと看板にメッセージを書いているが、改善前のメッセージは次のようなものだった。
 まず、最も目立つ大きな文字で「いつもの毎日にしっぽが振れる喜びを!」。その下に「おいしい 厳選フード、安心オヤツ、ケーキ」など取り扱い商品・サービスの紹介。それに続いて「『ちょっと見せてね~』とお気軽に覗いてみて下さい」とメッセージが連なるものだ。
 それを次のように改善した。最も大きな文字を「気になっているんだけど…」と変更し、「そうですよね~。○○(同店の店名)のように小さいお店って入るのに勇気がいりますね。わかります~」と言葉を続けた。さらに、「実はこんな方がふらっと立ち寄る気軽なお店です」とし、具体例として「どんなものがあるかチラ見に!」「フードの悩みで相談に!(相談のみでもOK!)」「ワンちゃんの水分補給に!」などを列記した。
 すると即座に変化があった。犬を連れた一組の夫婦が、看板を見て迷いつつも入店。店主が少し様子を見てから「小さい店だと入りにくいですよね。だから、皆さんが気軽に入っていただけるように、さっき看板を書き換えたんですよ」と声をかけると、「あれを見て入ってみました」とのこと。その後に訪れた常連客にも、初めての人が入りやすいように看板を書き換えた旨を伝えると、「これ、私たちのことみたいだね」と笑っていたという。

ちょっとした働きかけの違いで人の心は動く

 これまでは、「入店を躊躇する人はどうしてだろう?」と考えていた店主だったが、今回は逆に、自然に入店してくれている人はどういう人かと考え、実際にそういうお客さんを観察してメッセージを考えたという。
 人の心はちょっとした働きかけの違いで動き、「買う」「店に入る」という行動が生まれる。この点に気づき、改善できるようになること。それは商売において万能の力なのである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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