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競争の激しいこの時代、飲食店が他店との差別化を図るなら、やはりメニューづくりが肝心。
とはいえ、単に「おいしい」だけでは顧客を引きつけることはできません。
「看板メニュー」とは、そのお店でよく売れるメニューのことを指します。
お店側が推していても、販売数が多くなければ「看板メニュー」とは言いません。
というのも、看板メニューがお店の経営を左右するから。
その理由を探ります。目次
「看板メニュー」がお店の経営を左右するわけは?
事業売上の8割はリピーターから生まれると言われています。
そのためには、初めて店を訪れる「初回客」を、定期的に店を訪れてくれる「優良客」に引き上げなければなりません。
しかし、ネットが発達した今、顧客は新しいものに目を奪われがち。
そこでいかに、再度訪れたくなるような、インパクトの強いメニューを提供できるかが、飲食店のポイントになってきます。
そのために必要なのが「看板メニュー」
あの店のあのメニューがむしょうに食べたい…
これが、お客様をお店にリピートさせるロジックなのです。
また、飲食店は複数の人数で訪れることが多いので、話題になるような1品があれば、顧客が新たな顧客を誘いやすくなりますし、いわゆる口コミ効果も向上します。
こうした積み重ねでリピーターを増やすことが、店を長く経営していく鍵となるのです。ウリになる看板メニューとは?
飲食店であれば、まずは舌で顧客を満足させることが基本。さらに、目から入ってくる情報も外食ならではの楽しみのひとつです。
味を追求したメニュー
味といえば、まずは食材。例えば「蝦夷鹿」など、巷のスーパーでは見かけない食材を選んでこだわりをアピールする方法があります。「40日間熟成」など、わかりやすく数字で付加価値を高めることもポイントです。
また、ワインのお店なのに看板メニューは「おでん」――そんな意外な組み合わせを狙ってみるのもひとつの手。「なぜ?」、「味は?」と顧客の興味をどんどん掻き立てます。見た目を追求したメニュー
「皿からはみ出る」、「大盛り」といった、お得感がひと目でわかるビジュアルはSNSで拡散されやすく有効。例えば同じローストビーフでも、調理した大きな肉の塊を見せてからスライスすれば、インパクトは変えられます。女性客を狙うなら、色鮮やかなソースやクリームなど、プラスアルファの飾りつけで華やかに見せるのも効果的です。
また、調理が完了した状態で提供するのではなく、最後にお客さまの目の前であぶるなど、最後の仕上げをわざとお客さまの前で行うようなちょっとした一工夫でお客さまにインパクトを与えることができます。舌で楽しむだけでなく、見て楽しむ、耳で楽しむメニューもインパクトが強いと言えるでしょう。看板メニューの適正価格は?
看板メニューは競合他店に加え、自分の店のメニューの中でも目立たせることが肝心。価格も「高い」、「安い」のメリハリをつけて存在を際立たせましょう。
あえて高めの設定
珍しい食材を使っていたり、郷土料理などをウリにしたりする場合は、他店との比較要素が少ないことが利点。希少価値を出すために若干高く設定します。ぎりぎり手が届く価格設定ならば、「一度頼んでみたい」という心理を突くことができますし、「高くても必ず満足させる」という店の自信を示すことにもなります。
通常より安く設定
イクラやマグロなど、一般的に高級食材と認識されている食材であれば、価格が安いこと自体が大きなウリになり、新規の顧客を取り込みやすくなります。また、「これがこんなに安くておいしいのなら、高いメニューはもっと期待できそう」と、次の来店への動機づけになり、リピート率を上げることができます。
看板メニューの見た目、演出方法
看版メニューはどのメニューにも増して、顧客の目に、耳に留まることが大切です。しかし、ただゴリゴリにPRしても効果はありません。“押しと引き”のアプローチがポイントです。
魅力的なネーミング
「1匹丸ごと伊豆産伊勢海老カレー」など、ウリがはっきりしているものであれば、覚えてもらいやすいストレートなネーミングがおすすめです。しかし、創作料理やデザートなどは、顧客が「これはどんなもの?」と、思わず聞きたくなるような造語や、あえて抽象的な名前を付けることも効果があります。「幻の手羽先」と、「幻の」を一言頭につけるだけで、売り上げが格段にあがった例もあります。
ビジュアルの使い分け
見た目勝負のメニューは、もちろん写真を全面的に出したポスターなどで顧客を取り込みますが、どんなものか期待感を煽りたい場合は、あえてその全貌を見せないというのも手です。珍しいメニューなら、イラストで食べ方を伝授したり、その背景にあるストーリーをメニューに添えたりして、立体的なアプローチを心がけましょう。
看板メニューを作る際の注意点
看板メニューを作ることによって、店に興味を持ってもらうことにつなげられますが、その看板メニューの方針がぶれていては、逆に経営を圧迫しかねないので注意が必要です。看板メニューを作る際には、どのような点に気を付ければいいのでしょうか?注意点について詳しく見ていきましょう。
価格の安さだけをウリにしない
「ここのお店の看板メニューの○○はこんな値段でこんなにお得」とSNSや口コミによる集客率の向上を期待できても、そればかり頼まれてしまっては、採算が取れなくなります。
そのため、看板メニューだけに注力するのではなく、原価率を考慮したバランス重視の経営体制を整えていくことが重要です。
もし、主力となる価格の安さをウリにした看板メニューを作成する場合は、先着〇名様限定にするなどの工夫を行うことで、採算を取ることができます。また、数量を限定にすることにより特別感を出すことができるため、リピーターの増加にも期待ができます。
集客率の向上だけでなく、採算がとれるようバランスの良い経営体制を築くための工夫が必要であると言えるでしょう。手をかけすぎない
看板メニューを五感で楽しむことができるような特別な演出を伴うメニューにする場合も注意が必要です。「こんなパフォーマンスをやってくれるよ」と、SNSで情報が拡散されることによって、高い集客率につながることが期待できます。
しかし、その看板メニューを採用したことで厨房の1人が手を取られてしまうなど、業務効率が下がってしまう場合、業務に大きな支障が生じてしまう可能性があります。穴を埋めるためにもう一人従業員を雇うとなると、人件費が増えてしまいます。またその看板メニューのために新たな機材を使うことなどによってもさらに諸費用が増えてしまいます。
このようなパフォーマンスを重視した看板メニューを掲げる場合には、上記の場合と同様、先着〇名様に限定するか、採算度外視で他のメニューで利益率を高めるなどの対策が必要となってくると言えるでしょう。あくまでも看板メニューはきっかけ作り
看板メニューができたとしても、それで安心してはいけません。看板メニューはあくまでもお客さまに「これはなんだ?」と興味を持って足を運んでもらうためのきっかけ作りにすぎません。そのため、リピートにつなげるには、他のメニューもしっかりとしている必要があります。「看板メニューはおいしいけど他が微妙だよね」と言われてしまうと、看板メニューを食べに来てくれたお客さまに満足してもらえず、リピーターを獲得することはできません。看板メニューを食べに来てくれたお客さまが「ここのお店は看板メニューもいいけど他のメニューもおいしい」「この店は接客がいいからまた来たくなる」と言ってもらえるようなファンを増やしていくことがリピーターの獲得につながり、売上を安定させる秘訣と言えるでしょう。
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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