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日本中のいたる所にあるコンビニは、国内で約5万6000店あるといわれています。中でも最も多いのがセブン-イレブンで、沖縄を除く全国都道府県に約2万店(2017年12月末現在)あるそうです。コンビニ自体がこれだけ多いと、同じ通り沿いにも関わらず、同じ会社のコンビニが至近距離で並んでいる光景を目にしたこともあるかもしれません。コンビニの隣に、なぜわざわざ同じコンビニが出店されるのか。これにはあるカラクリがあります。
コンビニの隣にコンビニ = セブンの隣にセブン、ファミマのすぐ近くにファミマを見たことがあるはず
セブン-イレブンのすぐ近くに同じセブン-イレブンが並んでいるのを見て、ライバル会社ならまだしも、同じブランドのコンビニをなんで出店するんだろう?と不思議に思ったことはありませんか?実はこうした現象は偶然的なものではありません。同一地域内に集中的に出店することでブランドとしての認知度を上げ、競合他社の出店を防ぐことなどを目的とする「ドミナント戦略」に基づかれたものなのです。
ドミナント戦略とは?
ドミナント戦略とは、コンビニやファミリーレストランなどチェーンストアがあるひとつの地域に集中的に出店していく経営戦略のことで、その地域内における市場占有率の向上(独占状態)を目指すものです。このような出店方法により、ブランドの知名度を上げることができるほか、配送効率をアップさせることで、競合他社より優位な立場を築くことができるとされています。また集中出店するエリアのことをドミナントエリアと呼びます。
ドミナント戦略の語源は?
ドミナントは英語で「dominant」。「支配的な」「優位に立つ」といった意味を持ちます。また、一定の地域内を独占するということから、マーケティング用語としてドミナント戦略と呼ばれるようになりました。
マーケティング上のドミナント戦略とはどんなものなのか
ドミナント戦略では、出店エリアにおける地域マーティングが非常に重要になります。まず地域にどれだけの数の世帯があるか、もしくは人の流れ、車の流れがある場所であるかどうかをよく見ることです。また街として発展が期待されるエリアかどうか、地域住民の方々がどんな商品を欲しているのかという視点も欠かせません。例えば1人暮らしが多いエリアであれば、食材よりも既に出来上がったお弁当の方が好まれる傾向にありますし、家族世帯が多いエリアであれば、お弁当よりも食材の方がニーズが高いでしょう。また、かつては賑わいを見せた住宅地であっても、既に子ども世代が家を出てしまい、過疎化・高齢化が進んでいるようであればドミナント戦略はそぐあわないエリアといえます。マーケティングにおいてのドミナント戦略は、こうした地域事情をしっかりと把握する必要があります。ドミナント戦略は一定の地域でのシェアを獲得することが目的であるため、競合他社が集中的に出店している場合は、後から参入したとしても苦戦を強いられることは間違いありません。逆に、空白地帯であればそのエリアのシェアを握れるようになることは十分に考えられます。
ドミナント戦略のメリットは何なのか?
ドミナント戦略のメリットは、先述した通り、同じ地域内にいくつも店があることでそのコンビニを目にする機会が増え、その結果、自然と宣伝効果を持つことにつながります。その地域に住む人にとって「コンビニといったら〇〇」といった認識の刷り込みがされることにもなり、宣伝するためにお金を出して広告を出す必要がなくなるからです。集中して出店することは、その地域での知名度を上げることにもなるのです。またコンビニに置かれる商品は配送センターから発送されるので、店舗同士が近ければその分、輸送コストもかからず効率的な配送が可能に。特にコンビニでの売上げ上位を占める弁当などのデリカ品は、できてから陳列するまでの時間を短縮しなければならず、迅速な配送が求められます。またコンビニには最新のPOSシステムが導入されることで在庫管理などが徹底して行われ、その分遅れのない配送が期待されています。そのためにも、ドミナント戦略によって出店された地域では無駄なく効率のよい配送が実現できるのです。フランチャイズ店では本部の社員による定期的な支援や視察などあるため、効率よく各店舗を回ることができるというメリットも。
ドミナント戦略のデメリットは何なのか?
今やコンビニはライフラインとしても欠かせない存在です。しかし、同じ地域に出店している場合、地震などの災害が起きてしまうと、まとめてダメージを受けてしまうことも考えられます。それに出店が集中しすぎたエリアにおいては顧客の奪い合いも場合によっては起きやすいともいえるでしょう。地域の交通事情の変化も時にデメリットになることもあります。ドミナント戦略では同じ道路沿いに何店舗が出店しているケースも多いものですが、新しくバイバスなどの道路ができてしまうと、それまであった人や車の往来がなくなり、同時に売上も落ちてしまうといったことが起きやすくなります。
東京のある地域で、コンビニのすぐ隣に、同じ会社のコンビ二が出店したと、SNS上で話題になったことがありました。この2店舗を経営するのは同一のオーナーだったそうですが、2店舗目の土地の方が広く、駐車場もあるなど好条件だったため、他社による新規出店を危惧した本部がオーナーに掛け合って2店舗を経営するということになったそうです。ただし、このオーナーにとっては自分がやってもやらなくても競合が出店するとなれば売り上げが減るのは避けられそうもなく、苦渋の選択だったとも……。ドミナント戦略に足を引っ張られることも
日本国内だけで店舗数2万以上もあるコンビニですが、その多くがフランチャイズ・チェーン方式と呼ばれる個人がオーナーを務める形態で、コンビニがここまで増えたのもこのフランチャイズなしには語ることはできません。コンビニ経営はフランチャイズとは別に本部が直接運営を行う直営店もありますが、人件費などがかさむため、その比率を引き下げる方向にあるようです。そもそも個人オーナーはフランチャイズ加盟店としてロイヤリティを支払う代わりに看板を使わせてもらったり、商品の仕入れなどで支援を受けることができます。利益がきちんと確保できていればロイヤリティも苦ではないはずが、ドミナント戦略によって周囲にコンビニが増えてしまった結果、売り上げが落ち込み、ロイヤリティの支払いが重くのしかかるばかりか、生活自体が成り立たなくなってしまったオーナーも中にはいるようです。また、オーナーにとって本部がコントロールするドミナント戦略を知る術がないため、自分の店をオープンした後、すぐ近くに同じ会社のコンビニが出店することを知り、愕然としたといった事態もあるようです。本部にとってドミナント戦略は当たり前のことでも、フランチャイズのオーナーにとってみれば場合によっては死活問題にもなりかねないのです。
ドミナントじゃなかった!「コンビニの隣にコンビニ」は別理由の場合もある
ドミナント戦略からではない理由でコンビニの隣にコンビニができることは稀にあるようです。例えば移転の場合。こうした理由だと1ヶ月ほど休業期間が必要となってしまい、近隣住民などのお客様に迷惑をかけてしまいかねません。そのためにも、空白期間を作らないためにも隣に店舗を設置することがあるようです。
個人開業におけるドミナント戦略
個人経営の飲食店や小売店、美容院などでも、多店舗展開する場合にはドミナント戦略を取ることは有効な施策です。新規物件を探すのにはもちろんのこと、大手よりブランド力が弱い個人経営は、ドミナント戦略を取ることによって、すでに認知された大手に比べると、より大きなブランド力を得ることができます。また、チラシやポスティングなど、販促の効率も高くなります。
飲食店や美容院は席数という売上の限界値があるため、多店舗展開をする場合、ドミナト戦略を検討するのは必須と言えます。この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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