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【小阪裕司コラム】第147回:「ありがとう」が響き合うイベントとは

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

お店が媒介になって生まれた感謝の言葉

 今回は、お店が媒介となって生まれた、ちょっといい話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、あるペットサロンでのエピソードだ。
 同店では毎年3月に「ありがとう桜の木」というイベントを行っている。それは、日ごろ伝えづらい「ありがとう」を、桜の花をかたどった紙に書いてもらい、店頭に貼り出すというものだ。貼り出す際には、その1枚1枚が桜の木の花の1つになるようしつらえられ、毎年多くの方が書いてくれるため、その時期になると店頭に「ありがとう」の花びらメッセージがたくさん貼られた満開の桜の木が貼り出されることになる。
 書かれるメッセージは、ペットサロンだけに、愛犬愛猫へのものが多いが、ときに家族に対する「ありがとう」もある。そのメッセージのひとつに、こんなエピソードがあった。
 常連のあるチワワの飼い主さん。いつもは、お父さんが一人か、ご夫婦二人で愛犬を送り迎えされることがほとんど。今回、花びらのメッセージを書いてもらった際は、お父さんだけだったことから、「お母さんに書いてもいいんですよ」と言うと、「え~どうしよっかなー」と、とても照れたようす。しばらく経って、書き終わった花びらを桜の木に貼る時にふと見ると、そこには、こういうメッセージがあった。「ママへ、いつもありがとう」。
 それからしばらく経ち、このイベントも終わり、店頭の桜の木も撤去されていたある日、大変珍しいことにお母さんだけが来店した。見ると、愛犬のおやつを買いにちょっと立ち寄っただけで、お父さんは車に乗ったまま待っている。店主はチャンス!と思い、「お母さんに見てもらいたいものがある」と、記録用に撮った花びらメッセージの写真を見せた。そう、「ママへ、いつもありがとう」のメッセージだ。その直後、しびれを切らせたお父さんが店に入って来たが、お母さんも機転をきかし、「ダイエットのことを聞いてたの」。めでたく、秘かに、大切なメッセージを伝えることができたのだった。

温かなやり取りが実現するのも商売の場が持つポテンシャル

 実践会では、花びらや葉っぱをかたどった、この手のメッセージイベントが盛んだ。季節ごとにかたどるものが変わったり、沖縄ではゴーヤだったり、メッセージの趣旨も様々だが、いずれにしてもそれらはとても温かいものだ。お店が媒介となり、多くの方々が謝意や好意を届け合い、響き合う。これもまた、商売の場が持つポテンシャルなのである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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