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【小阪裕司コラム】第161回:うどん店が「つながり」を作ったら①

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

アイディアでお客さんのストレスを解消する

 あなたの町には「うどん店」があるだろうか?駅前などでよく見かけるカウンター十席前後のうどん店だ。今回はそんな店でのお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、あるうどん店からのご報告だ。
 と言っても話題はうどんではなく、駐車券チェッカーだ。提携駐車場で発行された駐車券に店頭でチェックを入れ駐車料金をサービスするというよくあるものだが、同店では問題があった。駐車券をスタッフが預かりチェック済みの捺印をして返す方法だと、失くす人が多いことだ。そのたびに店内捜索が始まり、店全体が落ち着かない雰囲気になる。そこで、お客さん自身が捺印するよう駐車券チェッカーを置き、専用コーナーを設けたが、一度でスムーズに捺印できないこともあり、お客さんのストレスになっていた。
 そこで店主はワクワク系的に考え、チェッカーに猫の絵を描いて貼ってみた。差込口がちょうど猫の口になるように可愛く笑う猫の顔をしつらえたものだ。さらにその上にこう書いて掲示した。「今日の運だめしコーナー 一回で捺印されたらパーフェクトな大吉!」。
 すると、「子どもが喜んでくれる」「女性が年代に関係なく『かわい~い!』と言って喜んでくれ、撮影してくれる」「ヤンチャファッションにゴールドのネックレスのいかつい兄ちゃんに『一度で印字されたから大吉ですよ!』と言うと笑顔で『オレ、今日はついてるわ~』と嬉しそうに席についてくれる」「一度で印字されなかった時に『二度目だとナニ吉になるのかしら?』と訊かれ、『それはひっそりと小吉でしょうかね~』と告げると安心した笑顔になる」、などが起こるようになった。また、依然駐車券を紛失するお客さんはいるのだが、あたりが柔らかくなったという変化もあった。

顧客とつながるために地道に取り組む

 実は同店、ワクワク系を始めて以降、来店客が楽しく過ごせる様々な工夫を散りばめ、会話を生み、顧客とのつながりを作ろうとしてきた。1日の来店客数が多く席の回転も速い業種だけにこういう取り組みは珍しいだろうが、地道に1年強続けてきた。
 そんななか、店主はあることを決断した。稼ぎ時の週末に店を連休にし、帰省する。そして、帰省先でたくさんのお土産を買い、戻ったら店頭でイベントに出来ればと。この決断は想像以上の展開を生むことになるが、それは…。続きは次回に。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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