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社会保険労務士で(株)リーガル・リテラシー代表取締役社長の黒部得善氏がお届けする、飲食店経営にフォーカスした労務コラム連載。
スタッフを雇用する店舗経営に欠かせない業務のひとつである労務管理。
特にコロナ禍以降の外食業界は深刻な人材不足に悩まされ、「せっかく採用したのにすぐに辞めてしまう」「そもそも応募が来ない」といった悩みのほかに、アルバイトがSNSを使ったトラブルを起こす事例もたびたび耳にするようになり、安定経営とリスク回避という二つの側面で労務管理の重要性が高まっています。
第10回は、「人手不足なのか人が辞めすぎなのか」というテーマのPart5として、「従業員同士がお互いのことを知り合う重要性」についてお届けします。前回の振り返り
前回、やる気のもと元の落とし穴として、自分のやる気のもと元を“相手に押し付けていないか”、という話をしました。
前回のコラム 第9回 人手不足なのか人が辞めすぎなのか④お互いのことを知り合う重要性
飲食店は指揮命令の頻度が異常に多い職場である、ということは以前にも触れました。同じ場所で仕事を通じて一緒の時間を過ごす――。なんとなくお互いのことを理解し合っているように感じやすい職場です。観察力があり、自分自身のこと、そして、相手のことをよく理解している、人間関係を作ることが上手な店長さんもいますが、多くの店長さんとスタッフがお互いのことを理解し合えているかというと、そうではありません。それではお互いのことを知り、良い関係をつくるためにはどうすればよいのでしょうか。
ジョハリの窓
“お互いがお互いのことを知り合えば、リーダーシップを発揮しやすい”というジョハリの窓という古典的な理論があります。
【ジョハリの窓】
アメリカの心理学者であるジョゼフとハリーが1955年に考え出した理論。これは個人と個人の対人関係を説明しようとしたもので、人間は対人関係において4つの領域(A解放された領域・B盲目の領域・C隠している領域・D未知の領域)を有しており、解放された領域が大きいほど、リーダーとしての有効性が高くなるという考えかた。
(人事労務用語辞典:日本経団連出版編)
自分で自分の性格を理解し、その理解している自分の性格を相手にも知ってもらえている、というのがAの「自分も相手も知っている自分」となります。この状態であればお互いの知っている領域が広くなればなるほどコミュニケーションが良好となります。
Bの領域は、自分は自分の性格を知らないが、相手には自分の性格を知られている状態です。例えば「忙しくなると言葉遣いが悪くなることをお店のみんなは知っているが、自分は知らない」というような場合です。このような時に誰かに注意をされても、そもそも自分の性格を知らないので怒られている理由もわからないでしょう。
Cの領域は、その逆で、自分で自分の性格を知ってはいるけれども、相手には知ってもらえていない。例えば「お店では愛すべきいじられキャラとして可愛がられているが、自分はいじられることがとても嫌い」というような時、自分のことを理解してくれない人たちとの職場に本人は苦痛を感じている可能性があります。
Dの領域は、お互いのことを知らない未知の領域なので割愛します。
Aの領域に行くためには、まず自分で自分のことを知らなくては成り立ちません。観察力の鋭い店長さんであれば、コミュニケーションを通じて相手に気づかせることができるでしょう。しかし、それは簡単ではありません。
お互いのことを知り合うために共通の道具を持つ
それでは、お互いのことを知るためにはどうすればよいのでしょうか。まずは、インターネットで無料で受けられる個性診断を活用してみてはいかがでしょうか。これは、個人で行うというよりは、お店全体で行い、活用する方法がおすすめです。その際に注意すべきポイントがあります。「仕事の適性検査ではなく、個性診断を使うこと」です。個性診断には良いも悪いもありません。ただ、相手を攻撃するものではない動物占いなどはよいですが、相性を問うような結果が出る診断は避けたほうがよいでしょう。
個性診断をやってみたら、まずは自分の結果をよく読みましょう。そして、あたっている箇所を見つけ出してください。(なければよいです)まずは自分のことを知りましょう。
次に、お店の店長と同僚に結果を見せてください。見てもらっている間に、店長・同僚の結果を見せてもらいましょう。そして、あたっている箇所を見つけ出してください。(なければよいです)それぞれ、お互いあたっていると思っている箇所がAの領域です。
自分から見たらあたっていると思うけど相手が納得をしていない箇所、それはBの領域です。日常行動からの自分の感想を述べましょう。
相手は自分自身のことであたっていると思っているけど第三者から見てそう思わない箇所があれば、それはCの領域です。あたっている自分自身の性格について説明をしてあげましょう。
これをお店のみんなでやり合うことで、お互いでお互いのことを知り合えている関係を構築することができます。特に、新人スタッフはまったく知らないチームに飛び込むことになります。少しでも不安を和らげることで、人間関係の壁なくチームに溶け込めます。
なお、Dの領域は無視してよいです。
プレゼント
私が代表を務める会社で提供している、お互いでお互いのことを知り合うための個性診断を1ヶ月無料開放します。ぜひ活用してみてください。
今回のキーワード:お互いのことを知るために自分のことを知ろうこの記事の執筆
㈱リーガル・リテラシー 代表取締役社長
黒部 得善
1974年名古屋市生まれ。1997年明治学院大学法学部法律学科卒業。同年社会保険労務士合格。
大野実(現:全国社会保険労務士会連合会会長)事務所で修業後、㈱日立国際ビジネスにてSAP・R3のHRモジュールのコンサルを経て、2002年9月㈱リーガル・リテラシー創業。
飲食店の「長時間労働だから人が辞めるのか、人が辞めるから長時間労働なのか」を解決すべく、労務を“見える化”するためのフレームワーク手法”労務マトリクス“開発や、労務AI技術の開発をおこない、労務環境改善に奮闘。
<主な著書・論文>
「お店のバイトはなぜ1週間で辞めるのか」(日経BP社)
「就業規則がお店を滅ぼす」(日経BP社)
「勤怠データのデータマイニングを通じた労働集約性の高い飲食業の労働環境の改善」(日本マネジメント学会誌経営教育研究vol.25no.1)
<公式サイト>
(株)リーガル・リテラシー
<労務AI 公式サイト>
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