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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
「インテリア用品」が「健康関連商品」に?
あなたは「モビール」というものをご存知だろうか。一般的には「インテリア用品」として売られているものだが、これを「買う理由」は何だろう?今日はこの「買う理由」についての興味深い報告を紹介しよう。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、モビールメーカーからのご報告だ。
モビールは、「動く彫刻」とも言われる、天井から吊るして飾る装飾品。紙やプラスティックなどでできた部品が糸や紐で吊るされ、風が吹くとゆらゆらと動く。その「買う理由」となれば、部屋がアートな感じになる、雰囲気が良くなることなどが挙げられるだろう。
では、次の話を聞くとどうだろう。人には、動いているものを目で追う「追視」という習性がある。モビールのようにゆっくり動くものを追視する運動は「追従性眼球運動」と呼ばれ、眼球の筋肉を動かすことになり、目の周りや脳の血流がよくなることがわかっている。スマホに代表されるように、近くを見ることが多い現代の生活では、少し遠くの動くものを眺めることで、目の筋肉もほぐれ、リフレッシュすることもできるという。
また、わずかな風で動くモビールは、目には見えない風や重力を感じさせてくれる。不規則な動きと相まって、自律神経系を安静モードにし、リラックスさせる効果があることも、わかっているのだそうだ。
これらは実際、モビールメーカーの社長から聞いた話だが、今これを聞いて、「モビール買いたい!」となった方がいるのではないだろうか。そしてその理由は、「雰囲気を良くする」というより、「目の疲れを和らげる」「仕事の疲れを心身共に癒す」など、健康や仕事に関するものではないだろうか。モビールという商品に対する、新たな「買う理由」である。「買う理由」から商品やサービスの新たな可能性が見えてくる
実際このメーカーは、先日あった展示会で、初めてこれらの点を訴求してみた。すると、お客さんの反応が、今までとはずいぶん変わったそうだ。特に追視については「そういう見方もあるんですね。いいかも」と好反応だったとのこと。
この一連の話を聞いて私が興味深かったのは、従来の「買う理由」ならモビールは「インテリア用品」だが、新たな理由では「健康関連商品」にもなることだ。目の疲れを癒すのなら、競合品は目薬やブルーベリーだ。販売チャネルはドラッグストアかもしれない。こうして「買う理由」から考えを巡らすと、商品やサービスの新たな可能性が見えて来るものなのである。この記事の執筆
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
小阪裕司
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。
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