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【小阪裕司コラム】第113回:手書きPOPへの一工夫が①

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

成功事例の共有が成果を生む

 今回は、手書きPOP(店頭販促物)のお話。通常の手書きPOPにある工夫を加えたら成果につながり、さらにその成果が次の成果を生んでいった事例だ。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、あるリユース店の店長からいただいたご報告。
 店長いわく「当店では手書きPOPはスタッフ全員がやっていて、やった分だけ結果もついてきています。ですが、ところどころではなかなか動きが出てこないものもある現状で」、動きの悪い商品をどう売るか、という課題があった。そこで従来の手書きPOPに一工夫加えてみた。それは彼らが「顔出しPOP」と呼ぶものだ。
 それは一言で言えば、手書きPOPにスタッフの顔や姿の写真が添えてあるもの。例えば、売価8万円の冷蔵庫には、女性スタッフ二人の写真と共に、吹き出しの形で「野菜室が真ん中にあるから、女性には使いやすい高さですね」。あるいは、年式の古い小さめの冷蔵庫には、冷蔵庫を担いだ店長の姿の写真を添えて、「これくらいなら、私一人でも安全にお届け致します」。いずれも動きが悪かった商品だが、顔出しPOPにした途端に3日~5日で売れた。さらに同じく冷蔵庫の例だが、同じメーカー、同じ容量、デザインもほぼ同じの冷蔵庫が8台並んでいるコーナーの1台に、店長の顔出しで「店長のオススメ。購入に迷ったらコチラをお選びください」。こちらはPOPを貼るなり、真っ先に売れていったという。
 なぜ顔出しPOPにすると動きが良くなるのか。店長は「顔を出してコメントを入れていくことで、お客様に対して、各スタッフの人間性、優しさ、パワフルなところ、女心や子を持つ親の気持ちなどが伝わって売れる」などと考察するが、たしかに効果は高まる。しかし、ここで私がお伝えしたいのは別の点にある。それは、今回報告をくれた店長が行った顔出しPOPが、同社内の他店の成功事例を参考にしたものである点だ。

成功事例は他の業種にも活かせる

 実は同社では、他店の店長らも集まって、定期的に成功事例の共有ミーティングを行っている。3つ目に紹介した冷蔵庫の例は、今回報告をくれた店長が参考にした店の例だ。そしてその後、彼らのこの成果報告を当会の会員全員にシェアしたところ、早速「参考にし、当店でも成果が出ました!」と、ある文具店から報告をいただいた。リユース業とは異なる業種だが、この文具店ではこの事例をどのように活かしたのか。そしてこの話には商売の重要なカギがある。続きは次回に。

〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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