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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
お客さんから「会いたい」と思われるには
2024年がやって来た。昨年暮れから、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)の会員さんにはお伝えして来ているが、今年は社会の分水嶺。昨年一気に露わになって来た社会変化が、今年は、良いものも悪いものも含め、一気呵成に進むだろう。そんななか我々は、何を拠り所にしていけばいいか。その答えの一端が垣間見えるエピソードが、年末に届いた。
その報告は実践会員の、ある地方の石材店主からのもの。「石材店」は「≒お墓屋さん」。一般のお客さんももちろん大事だが、お寺はとりわけ重要なお客さん。お寺にどれだけ愛顧いただけるかが売上に直結するが、先日、初めてお会いするあるお寺の72歳になるご住職が、付き添いを連れて、杖をつき、わざわざ同店を訪ねて来たという。
石材店の方から営業することこそあれ、住職がわざわざ訪ねて来るのは自体珍しい。しかもそのお寺は、車で40分程度かかる隣町のお寺。聞くと、しかも住職はつい数日前まで癌で手術され入院されていたとのこと。その中、この石材店が行っている商い上での様々な活動を知り、こんなことを考え、行っている店主にぜひ会いたいと、リハビリを頑張り、早く退院してお越しになったとのことだった。
実際同社はややユニークだ。石を加工できる技術を活かし、地元の受験生に石でできたサイコロ(「5」と「9」の目しか入っていないサイコロで「合格サイコロ」とされている)をもう長年プレゼントし続けるなど、独特な活動も多い。中でも、特に今回住職が関心を持たれたのは、同社が最近始めた古い石灯篭を再生する活動だが、これも、石灯篭がほとんど売れない時代に、独特な活動といえるだろう。
そんな店主に会いたいとお越しになった住職。ひとしきり色々なお話をした後、こうおっしゃった。「あんたに元気と希望を貰ったわ。小さな貧乏なお寺やし、これからどれだけ生きられるか分からんけど、何か相談があったら、あんたに頼みたい」。お客さんから必要とされることの大切さ
同社は近年、お客さんからそのように言われることが多い。しかも相手は、今回のようなお寺の住職から、合格サイコロを受け取った親子など幅広い。そして今同社には、注文がひっきりなしに入って来るのである。
会いに行きたい、「何かあったら、あんたに頼みたい」――お客さんが心からそう思うお店や会社こそが今日、お客さんが必要としているものなのである。〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。- NEW最新記事
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