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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
計画的に売上を伸ばす
前回、前々回と、売れない商品を「売れる」に変えたり、意識されていなかった価値ある行いがお客さんに評価されるようになった例と共に「価値を伝える」話をした。これらの活動は、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)では「価値創造活動」と総称されており、われわれの実践の要の1つだ。そこで今回も「価値を伝える」話をしよう。実践会員の、ある飲食店からのご報告だ。
同店の自慢は蕎麦。今回報告いただいたのは、「つけそぼろ茄子そば」という料理についてだ。店主は今夏、この料理の売り伸ばしを計画した。自店の販売ランキングでは6位にランクしている人気の料理であり、客数が回復基調にある最近では、月間販売数量も前年を上回り堅調ではあった。これを、ワクワク系を活用し、さらに計画的に伸ばそうというわけだ。
そこでまずは、それまでメニュー表に埋もれていたこの料理を目立たせるため、この料理だけのポスターを制作し、店頭に掲示。さらに合い盛りメニューの中にこの料理を加え、存在をアピールしたが、約2か月間、販売数は微増。
次に「つけそぼろ茄子そば」だけのテーブルPOP(テーブルの上に置く店頭販促物)を作成。そこでは「価値を伝える」ことをこれまで以上に意識し、「茄子ってこんなに美味かったんだ!」のコピーと共に、茄子の入ったつけ汁の写真をアップでアピール。そこにも「ゴロっとたっぷり茄子二本分」と書いて訴求。さらにはこの料理ののぼりを作成し店頭に立てる、店内で記入し応募できる茄子クイズを行うなど、考えられることを次々と行っていった。
その結果、9月までの販売数量では、前年比252%を達成。9月単月では、前年比339%を達成し、この料理の過去最高の売上を記録した。合い盛りの販売数量も、前年比約3倍と、この一連の売り伸ばし活動は相乗効果もあった。「商売上手」とは「価値の伝え上手」
ここで大切なことを言おう。ワクワク系ではこのように、売り伸ばす商品を決めて計画的に結果を出していく実践を推奨しているが、それは当該商品の売上だけが目的でなく、「価値を伝え、売上を創る」ことに慣れ、上手になっていくことが眼目だ。同店でも、この料理の売上ももちろん年間の売上増に寄与したが、その他の諸々の売上が上がり、8月決算は前年比138%だったと報告があった。「商売上手」とは「価値の伝え上手」であり、売上を創れる人のことなのである。
〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。- NEW最新記事
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