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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
お客さんの思考と行動を考える
前回お話しした、ある日本料理店の実践の続き。顧客リスト作りのために、お客さんが自主的に芳名帳に記帳してくれるよう工夫した結果、住所・氏名などの個人情報は残していただけるようになった。しかし食事の感想まではなかなか書いてもらえない。そこで彼らはさらに考えた。なぜ感想を書いてくれないのか。何を書いていいのか分からないのか。面倒くさいのか。あるいは字が苦手、酔っていて字が書けないなど、さまざまなケースを考えてみた。書きたくない場合は仕方ないが、こちらが見落としていることで行動のハードルとなっているものがあるのではないかと想像を働かせた。
そうしてみると、それまで芳名帳は一冊しか用意しておらず全員で回して書いていただいていたのだが、それでは次に待っている人が気になってゆっくりと感想までは書けないのではないかと気がついた。また、個人情報を書く頁と感想を書く頁が別になっていたので、多くの人が住所・氏名などを書いて終わりだと思ってしまうのではないかとも思えた。そこで早速、個人情報記入欄の下に感想欄を設けた紙を人数分用意し、芳名帳には、書いていただいた後とじることにした。そうしたところ、多くのお客さんが感想も残してくれるようになったのである。
お客さんが個人情報を残してくれなければ顧客リストは作れない。しかし昨今、お客さんはなかなかそうしてくれず、ましてや感想までは書き残してくれない。そんなとき、「やっぱり今の時代、難しいよね」で終わらせず、彼らのように、どうすれば残してくれるかを考えることが肝要だ。その際、この事例のように「書く」という行動を分解し、自主的にステップを進んでもらうことを考えるのがコツだ。思った結果が得られない場合は、彼らのように常にお客さんの思考を想像し、ここをこう変えたら行動してくれるのではないかと改善点を洗い出し、アプローチを変えてみる。そうすれば案外、目的は達成される。これは今回の「書く」だけでなく、「買う」「来店する」など、お客さんに望むすべての行動に共通し、有効な方法だ。すべてはお客さんの行動から生まれる
ワクワク系では、売上や客数、今回のような顧客リスト作りなど、すべてはお客さんの行動から生まれる結果だと捉えている。だからこそ常に「お客さんの行動」を軸に考える。この癖がついてきて、こういった捉え方に慣れてくると、具体的な策を見出せるようにもなってくる。それがビジネスで、結果を出す力となっていくのである。
〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。
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