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【小阪裕司コラム】第249回:漬物店でのパクチー狩り①

【小阪裕司コラム】第249回:漬物店でのパクチー狩り①

全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

妹からの提案で始めたイベント

 今回は、商売上での出来事がどう見えるかによって、その先の商売が大きく変わるお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のある自家製漬物店からのご報告。
 同店からイベントの実践報告が届いた。行ったことは“パクチー狩り”である。
 事の顛末はこうだ。店主の妹がある日、「お兄ちゃん、パクチー狩りってどう?」と声をかけてきた。説明によると、自家農園で育てたパクチーが豊作で、パクチー好きの自分でも到底食べきれないほどの量ができてしまった。そこでお客さんに売ってみたいと思ったのだが、単にこちらで摘み取って売るより自分で摘んでもらった方が、お客さんにとっても楽しいのではないか。「○○狩り」というのも人気があるイベントなので、いいのではないか、とのことだった。
 パクチーが苦手な店主はまったくそそられなかったが、なんだか面白そう、普通は漬物店でそんなことはやらないし、考えつきもしないからいいかも!と思い、1回百円の有料イベントとして行うことにした。そこで、店頭にPOP(店頭販促物)などで「パクチー狩りできるよ!」などと訴求したのだが、正直さほど期待はしていなかった。しかし始めてみると、店内の大量のパクチーは、あっという間に狩られていったのだった。

意外にも多かった初来店のお客さん

 このイベントの参加者の中には常連もいた。しかし店主が驚いたのは、初めて同店に来た方が、意外なほど多くいたことだった。「意外なほど」と思う理由は、店の外観にある。同店は和風の民家風の作り。外から店内は見えず、漬物屋であることも、店名も、何も表示されておらず、入り口には大きく重々しいのれんがかかっている。店主曰く入りにくい店なのだ。しかし初めてのお客さんも、何の躊躇もなく入店して来た。そして彼らはまずパクチー狩りを楽しんだ後、ふと我に返ったように店内を見渡して、そして「ああ、ここ、漬物屋だったんだ」と気づくのだった。
 それならば、と漬物を買って帰る人も、約半数はいた。しかし残り半数はまったく意に介さず、パクチーだけを狩って帰った。この点に関して店主は言う。昔の自分ならこんな時、「なんだ、パクチーだけか~。パクチー狩りやってもあまり意味ないな~」と思ったと。しかし今は違う。では、どう“違う”のか。そして、この店主の昔と今の見方の違いが、商売に決定的な違いをもたらす。それは何か。この続きは次回に。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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