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【小阪裕司コラム】第242回:「ここに頼もう」は何で決まるのか①

【小阪裕司コラム】第242回:「ここに頼もう」は何で決まるのか①

全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

ある塗装会社のチラシの文面

 今回はチラシの話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のある住宅塗装専門店からのご報告。
 そのチラシは店主の手書き文字でできている。趣旨は、屋根や外壁の塗装をしなければと感じている方に見積もりを依頼してもらうこと。そこでチラシの冒頭は、自分は当地で住宅塗装専門の会社を営んでいることを告げ、「『外壁や屋根が傷んできたから、そろそろ塗装をしたいな』そうお考えでしたら、一度当社に無料見積もりをさせていただけないでしょうか」と、直球のメッセージから始まっている。
 ただ、チラシを読む側の心境としては、たしかに「そろそろ塗装をしたいな」と思っていたとしても、この冒頭の一文を読んで、即座に、ではここに見積もりをお願いしようという気持ちにはなりにくい。
 そこでチラシでは、こういう文章が続く。「当社は、塗装一筋25年になる私『○○(社長の名字)』が代表として会社を営んでおります。下請けに仕事を出すことはせず、すべて私たちの手で手塗りしています。塗装しかできない私です。だからこそこの仕事に命をかけています」。どうだろう。この文章で、少し心が動きはしないだろうか。
 さらに、続く次の文章を読んでほしい。「近くだから悪いことはできない。手抜き工事をしたら私は生きていけません。私は、生まれも育ちも○○市です。妻もおり、○○市内の小学校・中学校・高校に通う子が3人います。もし手抜き工事をしたら瞬く間に黒い噂が流れ仕事がなくなります。もしそうなったら子供たちにアメ玉ひとつも買ってあげられなくなります」「○○市で生まれ育った私です。これからもずっと○○市で生きていきます。今まで多くの人に助けてもらいました。今度は私が恩返しをする番です」。

成約率は8割を超えた

 生々しい文章ではあるが、すべて真実。そして、店主の真の思いがこもったものだ。このチラシ、実は配布してすぐには反応がなかった。店主が「ダメか…」と落胆していると、一か月経った頃から問い合わせが出始め、その後も続いている。お客さんたちの声は概ね「情熱を感じるチラシだったよ」「誠実そうな人がやっていそうだったから問い合わせしました」といったもので、成約率は8割を超えているという。
 ここで言いたいことは、単なるチラシの書き方ではない。現代のお客さんが何を望んでいるか、何が「ここに頼もう」の決め手になるかということだ。彼はその点を学び、チラシに意識的に盛り込んでいる。それはどういう点か。この続きは次回に。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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