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【小阪裕司コラム】第239回:やるべきことをやりさえすれば②

【小阪裕司コラム】第239回:やるべきことをやりさえすれば②

全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

「リピートしない」顧客が新規客を連れてきた

 前回、ワクワク系マーケティング実践会員の新規開業したパン屋が、開業時にあえてワクワク系を使わない実験を行った話をした。コロナ禍をまたいでのことだ。その実験中の自店のことを店主は「普通のパン屋」と呼んだが、ここが重要なポイントだ。今回はもう1つの事例、同じくコロナ禍における実践会員の石材店の事例を通じて、この点をさらに深く見ていこう。
 その石材店は、コロナ禍当時も業績が大変好調だった。それは驚くべきことで、お墓はまさに不要不急、業界全体としては大変厳しい状況だったのだ。事実同社でも、2020年3月頃には建墓の延期もあり、先行きが不安になったこともあった。しかし、5月以降は例年以上にお墓の仕事が増え、2桁の伸び。地元の同業や石材商社からは、「〇〇さん(店主の名前)のところだけどうなっているの?」と不思議がられていたのだった。
 しかしこの好業績の背景には、店主がそれまでに行っていたことがあった。そのひとつは、同社が過去に建てたお墓を調べて回り、顧客名簿を蘇らせることだった。彼曰く、「一般的に、石材業界では名簿は作らない。うちの会社もそうだった」。もちろんお墓は誰が買ったか分からない商品ではない。「名簿を作らない」とは、その後そのお客さんと関わることがないという意味だ。なぜそうしないのかと言えば、「リピートがない」というのがその理由だ。しかし、このコロナ禍の好業績は、その「リピートしない」顧客に支えられていた。この時期相次いだのは、顧客からの新規客の紹介だった。「コロナで大変だろうと思って、お墓を建てる友達を連れて来たよ」「友人にお墓を直したいって相談を受けたから連れて来たよ」といったものだ。その他では「来年リフォームしてもらおうと思ってたんだけど、コロナで大変だろうから今年で」と言った顧客もいた。
 そして、そんな彼の店を視察に来たり、彼が何をやっているのかを聞いて多くの同業者がつぶやくのは、「うちは普通の墓石屋だからなあ…」という一言だそうだ。

これまでの「普通」は新しい「普通」に変わった

 前回のコラムの締めに私はこう書いた。「今日、経営を安定させ、商売を持続するためには、やらなければならないことがある。たとえそれが、以前からの常識からは『普通でない』ことでも」。これをもう一歩踏み込んで言えば、今や「普通」が変わったのだ。なぜなら、世界が変わったのだから。
 コロナ禍では「ニューノーマル」という言葉が叫ばれていた。そして今日、一層加速して新しい「普通」が来ている。その世界を生きていくにはどうするか。その答えはある。ぜひそこに舵を切っていただきたいものである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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