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【小阪裕司コラム】第237回:「やっと楽しいことはじめたね」

【小阪裕司コラム】第237回:「やっと楽しいことはじめたね」

全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

親しみやすさを演出するために行なったこと

 今回は、お茶の販売店が「楽しいこと」にトライしたお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のあるお茶の製造・卸・小売業を営む方からのご報告だ。
 今回の取り組みを行ったのは新茶の時期。同社では自社工場の敷地内に小売店舗を構えているが、そこでの取り組みだ。ちょうどこの時期、市内数店舗が共催するカフェイベントがある。各店がそれぞれ新茶とスイーツを供する期間限定イベントだ。同社代表も、このイベントをきっかけに、新規のお客さんに店の存在を覚えてもらいたい、そのために親しみやすさを演出したいと考えた。
 そこで彼女は、「レトロなガチャで、お茶関連の商品を用意してみよう!」と思い立った。工場併設の一見地味な直売店とガチャとは一般的な組み合わせではないが、ワクワク系ではガチャは、業種を問わず様々な場面に登場し、老若男女を問わず盛り上がる。彼女も、ともかく「繁忙期の唐突な提案(私には珍しい)だが、今回は閃きを形にしたかった」。
 そうして実際行ってみると、やはり大いに盛り上がった。ガチャは1回200円。内容は、ペットボトル、プチティーバッグ、新茶一煎袋、茶師がお茶を淹れる券、茶そばなどお茶にまつわる内容にし、お客さんとの会話も弾んだ。お茶は購入しないまでも、ガチャならやってみようかなという方もおり、新規客との接触機会も増えた。1週間ほどのイベント期間、午前中のみの対応だったが、来場者は207名 その中でガチャは59個が売れた。
 ちなみにこのガチャは、早速地元道の駅での出張販売イベントに展開された。2千円以上お買い上げの方がガチャを1回できることとし、まとめ買いも促したが、反応は上々。売上も昨対110%。翌日入れ替わりに同イベントに出店した同業社は、よりお買い得価格の新茶を並べていたが販売不振で「昨日はどうやって売ったの?今日は全然ダメ」と言われたとのことだ。

代表が姪に言われた一言

 今回のエピソードは、ガチャが集客や販促に効果的だという見方もできようが、重要なことはそこではない。代表からの報告の中で私が最も注目したのは、彼女が小学5年生の姪にこう言われたことだ。「○○(同社の社名)もやっと楽しいことはじめたね」。ここでの最も重要な学びは、この姪の一言に凝縮されている。現代のお客さんにとって魅力的なことは何か。待ち望んでいる(が、なかなか叶えてもらえない)ことは何か。ぜひ今回のエピソード、この一言を題材にあなたにも考えてみてもらいたい。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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