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【小阪裕司コラム】第229回:「人気がない」は、思い込みだった
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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
店主が心を動かされた文面をお客さんにも共有
都内のあるおむすび店が、具に調理味噌を使った新商品を売り出したときの話だ。
そのおむすび店の品ぞろえで人気が高いのは鮭・明太子・梅で、一日にそれぞれ35個前後が売れる。対して調理味噌系は人気が低く、平均12個と半分以下だ。もっとも、これは同店に限ったことでなく、他の同業店でも人気は通常、鮭・明太子・梅だ。
そんななか同店は、ある調理味噌を具に使った商品を新発売した。その折、店主は店頭でこれまで行っていなかった工夫をしてみた。それは、具の材料である味噌の生産者からの手紙を、許可を得て来店客に配ることだった。
その生産者はある地方の町でこだわりの味噌を作り続けていた。その手紙はもともと生産者から店主に届いたもので、趣旨は営業ではあるが、そこには熱く自分の味噌作りのことが書かれていた。だからこそ店主も心を動かされ、具の材料に使ってみたのだった。
そこで店主は考えた。自分が心を動かされたのだから、それをそのまま伝えればお客さんの心も動くのではないか。彼は言う、「一所懸命売ってみようと私が動かされた文面を、お客様と共有したのです」。
そうしたところ、その味噌を具にしたおむすびは売れに売れ、味噌系おむすびで販売数量連日60個超という記録を作ることができた。通常の約5倍である。
お客さんにその価値は伝わっているか?
先ほども述べたが、おむすびの人気上位は通常ほぼ固定している。一方味噌系は比較して毎日少ししか出ないとなると、人はそれが普通だと思い込んでしまう。比較してこの商品は人気がないのだと。しかし商人たるもの、そこで思考を止めてはいけない。「なぜ味噌は鮭ほど売れないんだろう」と疑問を持ち、味噌を好む人が少ないのではなく、お客さんがまだ味噌の素晴らしさを知らず、鮭ほどの価値を感じていないのではないかと考えるべきなのだ。そしてその価値をどうお客さんに伝えるかを工夫してみるべきなのである。
多くのお客さんが未だその価値を知らず、ゆえに買われていないのであれば、そんなお客さんには作り手の思いが響く。その思いの上に乗って、素材や製法、機能などが具体的に語られるとき、それらが物語となってお客さんの心を動かすのである。
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