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【小阪裕司コラム】第174回:「私をもっと買う気にさせてほしい!」

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

価値がわからないものは仕入れることができない

 今回は、「私をもっと買う気にさせてほしい!」というお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のある絨毯専門店からのご報告だ。
 同店は、海外で作られる手織り絨毯の専門店。冒頭の言葉は、いただいたご報告のタイトルになっていて、店主が最近、ある仕入れ先に対し感じたことだ。
 事の顛末は次のようなものだ。店主は現地に赴き買い付けもしているが、ときに海外の作り手や絨毯商から送られて来る画像や動画を見て買うこともある。そんなある日、ある絨毯商から画像が届いた。見ると、ある部族によるシルク素材の手織りもの。第一印象は「おおっ!これはカッコイイ!この艶っぽさはたまらないね!」というものだ。さて価格はと見ると、通常の、同産地・同サイズの絨毯の10倍。「相場価格を大きく逸脱しているからには、それなりの価値があるに違いない」、そう考えた店主は、その絨毯商に、元々画像と共に送られてきた情報以外に、なぜこれほど高価なものなのかを尋ねた。ちなみに、その情報は、産地、素材(シルク)、サイズ、価格、特徴(2種デザインのリバーシブル)の5つだった。
 そうしたところ、絨毯商から返ってきた返事(高価な理由)は次の2つだけだった。「珍しい種類のシルクだから」「リバーシブルだから」。これを受けて彼はう~んとうなった。これだけではこれほど高価な理由が分からないのだ。価値が分からないものを仕入れるわけにはいかない。そんな彼の心情が、冒頭の言葉となったのである。
 彼が期待していた情報は、例えばこの絨毯の産地は多くの小部族がおり、部族ごとに文様やデザインが異なる。そのあたりの細かな背景や、聞けば1年がかりで織られたものらしく、それにまつわる作り手の想いや苦労などだ。そこを教えてもらえれば、この絨毯の価値がより理解でき、もっと買う気になるはずだ。

買う側に立つことで得られる気づきもある

 彼は、そこではたと気づいた。自店でも同じことが起きてはいないだろうか。今回、自分は仕入れる(買う)側として「もっと買う気にさせてほしい!」と思ったが、それは自店の顧客にも言えるのではないかと。買う側に立って得たこの気づきをもとに今同店は、「商品の価値をいかに伝えるか」により注力しているとのことである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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