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【小阪裕司コラム】第228回:「知られている」は、思い込みだった②

【小阪裕司コラム】第228回:「知られている」は、思い込みだった②

全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

工夫した「自己紹介チラシ」がお店を知らしめた

 前回、ある地方の町で60年以上も営まれているにじます料理店が、自店が「知られていない」という前提で「自己紹介チラシ」を打ったところ、来店客数が前月比で123%、前年同月比では172%にもなったお話をした。今回はその続き。「自己紹介チラシ」の工夫についてお伝えしたい。
 今回の成果は、そもそも「自店は本当に知られているのだろうか?」という正しい疑問に因るが、作ったチラシの内容も秀逸だった。
 そのポイントは作成時に店主が留意した点だ。送られて来た報告書にはそれらが列記されていたが、例えば、
・店が「どこにあるのか」「何を売っているところか」をわかりやすく説明する。
・「ニジマス」というあまりなじみのない魚と料理について「にじます料理大解説」として詳しく説明する。
 これらは、このチラシが「当店を知らない人、聞いたことはあっても訪れたことのない人」を対象に作る、と彼が対象を明確にしているからこその留意点だ。「知らない人」に対しては、まず店の存在と、にじます料理とは何かを知らしめる必要がある。
 さらに、
・「初めての方におすすめ」の提案をする。
・「料理が夢に出てきて食べたくなった」「家では魚を食べない子どもが一生懸命食べていた」というお客さんのエピソードを紹介し、料理の魅力を伝える。
・「敷居が高くて入りづらい」と言われることがあるので、店内のストリートビューを紹介し、店の中の様子を見られるようにする。
・予約は必ずしも必要ない、という説明を入れる。
など、これらはすべてワクワク系のセオリーに沿った留意点だが、それがちりばめられたチラシは、店主の思惑通り、効果を発揮した。「夏から秋にかけてお客さんが減る時期に前月比で増加したことには驚きました」とは店主の談だ。

正しい疑問を持ち正しいアプローチを!

 どんなに長く商売を営んでいても、常に自社や自店が知られていないのではないかと正しい疑問を持つことが肝要だ。そして、その前提に立ったとき、どんな情報を与えればお客さんの印象に残るのか、初回来店の心理的ハードルが下がるのかなどを考え、正しいアプローチをすること。そうすれば、何十年商売をやっていようが、まだまだ新しいお客さんとの出会いはある。あなたの顧客になるはずの多くの人たちは、まだまだあなたと出会うのを待っているのである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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