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【小阪裕司コラム】第226回:「需要がない」は、思い込みだった

【小阪裕司コラム】第226回:「需要がない」は、思い込みだった

全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

POPも貼ってあるのだが・・・

 今回は、長年思ったように売れず、「需要がない」とまで思っていた商品がちょっとしたワクワク系的改善で完売するようになったお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の生花店からのご報告だ。
 その商品とは「国産の榊」。店主曰く、「うちの榊は、国産の榊を三角形に手作りで形にしています。国産がとにかく日持ちがするので、20年以上もずっとこのやり方でやっています。知っている方は毎月必ず購入してくださいます」。ところが長年の悩みは、いつも決まったお客さんしか買ってくれないこと。店主は「新規客はいない。国産榊は需要ないのかな・・・買いやすいスーパーで買うのかな・・・」「値段が安い中国産の方が、需要がある」とあきらめていたという。
 そう思うのも無理はない。その国産榊は店の目立たないところにひっそり置かれているのではなく、目につく場所に置かれ、大きなPOP(店頭販促物)も貼ってあるのだ。それでも、毎月手作りするものの、いつも余らせてしまっていた。

価値を伝えられていなかった!

 そんななか、店主が榊の制作作業をしていたある日のこと。実践会に入会したばかりの店主がワクワク系の基礎理論と実践手法を解説している会員向け動画を聴きながら作業をしていると、次の言葉が耳に飛び込んできた。「わたしたちが当たり前のようにやっていることは、お客様は意外としらない」「価値があるのに伝わっていない」。
 店主は考えた。この国産榊も、たしかにPOPは貼ってある。しかし、作成ソフトを用い「奇麗目に作った」もので、自分でもどこか弱いなと感じていた。「これは『伝わっていない』ただの文字の羅列、紙切れ掲示物なんだ!!」と気がついた。
 そこで店主、「一刻も早く、とにかく榊の存在を伝えなきゃ!」と、目の前にあったカラフルな正方形の付箋に、同じく目の前にあったマジックで太く「国産榊あります」と書き、「伝われ!と念を送って、その、ただの掲示物の上にペタっと貼り付けました」。するとたちまち榊は売れ出し、完売するようになったのである。
 店主は言う。ワクワク系の知識・情報に触れていなければ今回のことには気がつけないし、こんな付箋を貼ることもないと。「こんなことをする自分に驚いています(笑)」。今回のようなことは、実はワクワク系ではよくあること。しかし店主の言うように、このような知識・情報を得ていなければ「需要がない」と見過ごしてしまう。それこそが拙著のタイトルにもある「失われた売上」なのである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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