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【小阪裕司コラム】第227回:「知られている」は、思い込みだった①

【小阪裕司コラム】第227回:「知られている」は、思い込みだった①

全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

あるリフォーム店の事例から頭によぎった不安

 前回、長年思ったように売れず、「需要がない」とまで思っていた国産榊が完売するようになったお話をした。この事例で着目してほしいのは、POP(店頭販促物)の改善と成果もさりながら、当初店頭に掲示されていたPOPが模様になっていた、つまりお客さんの目にまったく留まらなかったことだ。その盲点に気づいた店主だったが、同様の盲点、それゆえの「思い込み」はよくある。今日は同様の事例をお伝えしたい。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の飲食店からのご報告だ。
 同店は、人口2万人弱のある地方の町で60年以上も営まれている、にじます料理店だ。小さな町ゆえ、店主も、「知名度はそれなりにあるだろう」と長らく思っていた。しかし実践会に入会し、見聞きする様々な事例の中に、「長らく隣に住んでいたが存在を知らなかったリフォーム店」の話があり、「ひょっとして自分が思うほど自分の店は知られていないのでは」と不安になってきた。
 ちなみにこのリフォーム店の話とは、次のようなものだ。大阪でリフォーム店を営むある会員が、新規のお客さんからのリフォーム相談を受け、めでたく大きな受注となった。それはもちろん喜ばしいが、実はそのお客さん、ほぼ隣に長年住んでおり、来店の際こう言ったという。「ここにリフォーム店があるなんて、知らなかった」。同店はビルの1階にあり、ウインドウは歩道に面し、立て看板も立てている。おそらくこのお客さんは、これまで何千回と店の前を通っているだろう。しかし、店があることすら「知らなかった」のである。

いつものチラシを「自己紹介チラシ」にしてみたら

 そこで先ほどのにじます料理店だ。店主は考えた。年に1、2度、今も町内にチラシを打っている。今までは無意識のうちに、店は知られているという前提で、メニューの紹介や、時期によっては年越し料理の案内をしていたが、今回は自店を知らない人、聞いたことはあっても訪れたことのない人を対象に考え、いわば「自己紹介」のようなチラシを作成してみよう。
 そうして作られた自己紹介チラシを配布してみると、成果は大きく出た。来店客数は前月比で123%、前年同月比ではなんと172%にもなったのである。
 ここにも盲点がある。もう長年ここで店をやっている、ここに出店して何年も経つ、そういう理由で人は自店の存在が知られていると思い込むが、それもまたよくある「思い込み」。そこに気づき、打つべき手を打てば、結果は返って来るのである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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