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ここ数年、メディアで「DX」という言葉をよく耳にします。今やビジネスの必須用語ですが、「言葉は知っているけど、説明はできない」と思っている人も多いはず。
そこで改めて飲食店経営におけるDXについてまとめました。
くしくもコロナ禍で、DX化の流れは一気に加速しています。
上手に取り入れて、この波に乗っていきましょう。
目次
DXとは?
DXとは、デジタルトランスフォーメーション、つまり、市場の変化に対応し、競合他社との競争力をつけるため、デジタル技術を駆使して新しいビジネスの形を構築すること。
商品サービスの開発はもちろん、業務、組織、プロセス、会社の風土を含めて変革することを指しています。
ところが実際は一部のIT化に留まっている事例が多いようで、経済産業省がこんな指摘をしています。
・どんな価値を創出するかではなく、「AIを使って何かできないか」といった発想になりがち
・ 将来に対する危機感が共有されておらず、変革に対する関係者の理解が得られない
・ 号令はかかるが、DXを実現するための経営としての仕組みの構築が伴っていない
……経営者としては思い当たる節があるのではないでしょうか?
DXが注目を集める理由
そこで経済産業省は、日本のビジネスモデルの変革を掲げて2018年にこのDXを積極的に推進し始めたのですが、当時は実際に実行している企業はわずか数%といわれていました。
しかし、2020年に始まった新型コロナウイルス感染症の蔓延で「将来に対する危機感」が一気に共有されると、人と人の接触を軽減させるには最適なこのモデルが、特に感染防止に頭を悩ませる飲食業界でがぜん注目を集めているのです。
店舗経営におけるDXとは
それでは店舗の経営におけるDX化にどんなものがあるのか、その例を見ていきましょう。
1.ネットと実店舗の連携
まずは電子マネーやQRコード等のキャッシュレス決済システムがあげられます。
2019年から消費税増税の対策としてキャッシュレス・ポイントの還元事業が行われていた背景もあり、コロナ禍で一気にメジャーになりました。
そしてウーバーイーツをはじめとする進化したデリバリー・プラットフォーム。
グルメサイト・アプリのネット予約サービスも以前からありましたが、GO TOイート・キャンペーンなどの影響で、さらに利用率が高まっています。
2.顧客情報の分析
一日の売上商品を比べたり、客層、単価などが一度に見られたりする便利なPOSレジは、今ではさらに多機能になっていて、顧客がテーブルのタブレットや携帯端末からオーダーしたものを、タブレット上で一元管理するシステムが浸透しています。
また、画面認証カメラやAIによる来店予測といった未来型の分析も進んでいます。
3.顧客とのコミュニケーション
今やSNSは、大手から小売店まで活用する最大のプロモーション・ツールです。
「Instagram」「Facebook」「Twitter」などのサービスを使ったこまめな宣伝がしっかり定着しています。
コロナ禍では日々状況が変わるので、営業時間やメニューの変更、コロナ対策の方法などを、すぐに発信できるのも魅力です。
店舗のDX化のメリット
コロナ禍でもDXをいち早く導入していた店舗はむしろ経営が上向きになっているという事例がよく見受けられます。
DXのメリットは大きく以下の4つがあげられます。
1.売上アップ
例えばコロナ禍では、店内でほかの客やスタッフと接触がどのくらいあるのかが気になるところ。
そこで、外から空席が確認できるシステムや、席から注文用のQRコードをスマホで読み取ってオーダーできるシステムを導入すれば、接触が最低限で済みます。
カフェなどのキャッシュ・オン・デリバリーの店の場合は特に、長い列に並ばなくて済むので安心です。
こうした顧客が抱える問題をDXで解決することで競合する店舗との差が生まれ、売上アップにつなげることができるのです。
2.業務の効率化
店外からのテイクアウト・オーダーはすでに浸透していますが、最近ではさらに顧客の来店時に合わせてキッチン部隊に調理の開始を知らせる便利な機能がついたPOSレジも開発されています。
調理の順番の調整をしながら、提供遅れを防ぐことができるので、時間も人も効率よく使うことが可能になります。
また、キャッシュレス・サービスは、現金の管理に気を使ったり、お釣りの用意のために銀行へ何度も行ったりする手間が軽減されますので、少人数で回している店やキッチンカーなどは特にメリットが大きいでしょう。
3.販路の拡大
外出を控えていても食事は毎日のこと。
いきつけの店のほかにも新たな店、食材の入手ツールを開拓したいと思っている顧客は増えているのではないでしょうか。
オンラインショッピングのシステムを充実させることができれば、近所だけでなく、遠方のマーケットを取り込むことが可能。
また、キャッシュレス・サービスを導入すれば、そのサービスに登録している数千万人の会員アプリに店の情報が掲載されるので、これまでにない広がりが見込めます。
4.リピーターの獲得
手頃な価格のテイクアウト用メニューなど、きっかけがあればこれまでとはまったく違う層の顧客がついてくる可能性があります。
そしてその後、しっかりとリピートしてもらうためにもDX化は有効です。
会員化でポイント還元したり、オンライン・イベントへの招待などで退会を防ぎながらファンを増やすこともできるでしょう。
イベントのチケット販売を代行してくれるサービスを利用すれば、小さな店舗でも実施が可能です。
店舗でDX化を進める手順
このようにメリットの多いDXですが、導入するためには何をどうすればいいのでしょうか。
具体的に見ていきましょう。
1.現状課題の洗い出し
情報の伝達方法が悪いのか?
商品やサービスそのものが顧客のニーズに合っていないのか?
人手不足なのか?
まずは、自分の店が抱えている問題を整理しましょう。
2.各課題に対する解決策の検討
洗い出した課題がDXで解決できるのか、できるとしたらどういった方法がとれるのか、検討しましょう。
3.最適なITツールの選定
予算にもよりますが、局所的なIT化でとどまらないよう、複数の課題の解決につながるようなツールを選定した方が、効果が高まります。
4.ITツール導入後の目標設定
例えば1年後、3年後、5年後にどのくらいの売上・利益を目指しているのかを設定しつつ、年単位、月単位の指標を作成するとよいでしょう。
5.ITツール導入
同じ目的のツールでもさまざまなサービスがありますが、費用だけでなく、サポート体制なども加味して導入しましょう。
店舗でDX化を進める上での注意点
ツールを導入しただけで安心してはいけません。
コロナ禍の中も状況は刻々と変化しますし、本格的なアフターコロナに向けた動きにも対応していく必要があるでしょう。
Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の「PDCA」を念頭に置いて、実際の顧客の反応、売上の推移などを見ながら、常により良い施策を打てるように心がけてください。
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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