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個人事業主がやるべき節税対策とは?節税のポイント10選をご紹介

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事業を行う個人事業主はさまざまな税金を支払う義務があります。納税額は課税売上高などから算出されますが、やり方によっては納税額を抑える方法があるのをご存じでしょうか?もちろん制度として認められている合法なやり方です。ここでは個人事業主ができる節税対策をご紹介します。

個人事業主が意識すべき税金とは

個人事業主として事業を行う中で発生する税金には次の4つがあります。

・所得税
・消費税
・住民税
・個人事業税

所得税と住民税はすべての個人事業主が支払う必要があり、消費税と個人事業税は要件に
該当する個人事業主に納税義務が発生します。これらの税金の他にも営業の自動車を所有していれば自動車税などが発生します。

所得税

個人事業主自身が税務署に申告して支払う必要のある税金です。1年間の合計額に応じて課税金額も変わります。

消費税

個人事業主自身が税務署に申告して支払う必要があります。前々事業年度の売上が対象になり、1000万円以下であれば支払う必要はありません。

参考記事:個人事業主は消費税を納める?仕組みや計算方法をわかりやすく解説

住民税

住民税は毎年の所得に対して課税額が変わる税金です。所得税の確定申告をしていれば支払う必要はありません。所得税も所得に応じて課税金額が変わりますが、住民税の場合は対象となる所得が前年度なので注意しましょう。

個人事業税

個人事業主の中でも、70種類の法定業種に課せられる税金です。事業所得が290万円を超えると納税義務が発生します。所得税の確定申告の時に記載をしていれば、事業税の金額を改めて申告する必要はありません。

個人事業主ができる節税対策10選

個人事業主が納める納税額は所得などに応じて決まってきますが、納める税金を安く抑える方法があります。ここでは個人事業主ができる節税対策をご紹介します。

青色申告を行う

個人事業主の場合、納める税金は自分で計算し、確定申告にて申告・納付の必要があります。確定申告書には「青色申告」と「白色申告」の2通りがあります。青色申告を行うと複式簿記の場合65万円、簡易簿記の場合10万円の特別控除が受けられ、所得税と住民税を安く抑えることができます。

一方で白色申告の場合、特別控除は受けられません。青色申告を行うには「青色申告商人申請書」の提出が事前に必要です。また青色申告の特別控除を受けるためには以下の要件を満たしておく必要があります。

(1) 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
(2) これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
(3) (2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること。
参考:国税庁「青色申告特別控除」
※2020年から、青色申告の控除額が65万円から55万円に変更。ただし、e-TAXによる電子申告または電子帳簿保存を行うことで引き続き65万円の控除を受けられる

・損益通算ができる
青色申告を行うと特別控除が受けられる他に、損失通算が可能です。損失通算とは事業所得や不動産所得などの赤字をほかの所得と相殺できる仕組みです。

・控除しきれない場合、損失繰越も
青色申告の場合、損失通算しても控除しきれない金額は翌年に繰越し、または前年に繰戻しができます。純損失の繰越控除は翌年以降3年間にわたって控除が可能です。純損失の繰戻しは前年分の所得に対する税金から還付を受けられます。

経費を計上する

個人事業主は事業を進める上で必要になった費用である「経費」を事業の売上から差し引くことができます。確定申告の際に売上から経費を差し引くことで課税売上高が抑えられ、結果として節税に繋がります。経費として計上できるものは事業に関係のあるものだけであるため、認められる経費は個人事業主ごとに異なります。
主に経費として認められやすいものを下の表にまとめたので参考にしてみてください。

租税公課…個人事業税や固定資産税、自動車税など
荷造運賃…宅配便や郵便物の梱包材や送料など
水道光熱費…水道料金、電気料金、ガス料金など
旅費交通費…公共交通料金、タクシー代、駐車場代、宿泊費など
通信費…電話代、インターネット料金、切手、サーバー代など
広告宣伝費…名刺、パンフレット制作費など
接待交際費…顧客との会食代やお祝い金、贈答品など
損害保険料…火災保険、自動車保険など
修繕費…事務所や自動車の修繕など
減価償却費…パソコン、カメラ、自動車など、高額な固定資産を一定期間にわたって計上する
福利厚生費…慶弔見舞金、慰安旅行、従業員の健康診断費など
給料賃金…従業員、スタッフに支払う給料
外注工費…外注スタッフに支払う報酬
利子割引料…瑕疵入れした運転資金やローン等の利息
地代家賃…事務所の家賃や駐車場代など
貸倒金…売掛金や貸付金等の回収できなくなったお金
雑費…クリーニング代やゴミ処理費用など、どの項目にも該当しない少額の費用
専従者給与…青色事業専従者に支払う給料

家族を従業員にする

青色申告を前提として、「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することで家族を従業員として認めさせることが可能です。家族に従業員として給与を支払うことで、その分を経費として計上できます。従業員として雇用できる家族は事業主と同一生計であり、15歳以上の家族・親族である必要があります。また専従者となった家族・親族は1年の半分超をその事業に専念していなければいけません。

減価償却の特例を活用する

パソコンなど高額な固定資産は耐用年数で分割して経費として計上し、数年に渡って節税が可能です。10万円以上20万円未満の固定資産の場合、一括償却資産として3年で均等償却できます。

少額減価償却資産の特例
・青色申告をしていること
・取得した資産の金額が30万円未満、かつ年度内での合計額が300万円未満であること
・青色申告決算書に必要事項を記入し、確定申告時に提出すること
固定資産のうち使用可能期間が1年未満、または取得金額が10万円未満である場合、取得した年に全額を即時償却することが可能です。また、以下の要件を満たすことで10万円以上30万円未満のものを一括で経費として計上できます。

ふるさと納税をする

ふるさと納税では居住している自治体以外の任意の自治体に「寄附」という形で納税を行えます。寄附をしたお金は2000円を除いて全額が寄付金控除の対象となり、翌年の住民税が安くなります。ふるさと納税のメリットは控除が受けられるだけでなく、寄付する自治体、寄付額に応じて地域の特産品や加工品が貰える点にもあります。

ふるさと納税で控除を希望する場合、手続きが必要です。また、還付の上限が年収別に決まっているので注意しましょう。

小規模企業共済に加入する

小規模企業共済は毎月1,000〜70,000円の間で500円単位の掛け金を払うことで、廃業した場合などに掛け金分が返ってくる共済制度です。いわば「経営者の退職金」のようなもので、掛け金は「小規模企業共済等掛金控除」として所得から控除することができます。小規模企業共済への加入は節税としてだけでなく、老後の生活資金としてもおすすめです。

個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する

個人型確定拠出年金(iDeCo)は毎月5,000〜68,000円の掛け金を払い、65歳以降に引き出せる積立金です。掛け金は「小規模企業共済等掛金控除」として所得から控除することができます。また運用利益は非課税です。加えて、積立金を年金として受け取る際は「公的年金等控除」、一時金として受け取る際は「退職所得控除」が受けられるため、節税効果が期待できます。節税効果が期待できる一方、原則60歳まで引き出せないなどのデメリットもあります。加入する際は注意事項等をしっかりと確認するようにしておきましょう。

倒産防止共済に加入する

倒産防止共済は毎月5,000〜200,000円の掛け金を支払うことで、取引先が倒産した時に融資をしてくれる制度です。掛け金の積立最高限度額は800万円で、掛け金は全額損金に算入できます。連鎖倒産のリスク回避をしつつ、節税効果が期待できます。

法人化する

個人事業主で利益が多く出ている場合、法人化することで節税対策ができます。なぜなら、法人化した1年目は基準期間がなく、2年目は特定期間に売上または給与支払額が1,000万円以下であれば免税事業者になれるためです。つまり個人事業主が法人化することで最大2年間消費税の納税が免除されるというわけです。

還付を受ける

設備投資などで経費を多く払っている場合、払いすぎた分を還付として受け取れます。しかし課税事業者しか受け取ることができず、還付を受けるには確定申告を行う必要があるので注意しましょう。

所得税の確定申告をすることで所得税の還付、消費税の確定申告を行うことで消費税の還付が受けられます。消費税の還付に関しては課税事業者しか還付を受け取ることができません。そのため免税事業者で消費税の支払いが預かり分より多い場合は、あえて課税事業者になった方がお得な場合もあります。

課税事業者になるには、「消費税課税事業者選択届出書」を前年の12月31日までに所轄の税務署に提出する必要があるので確認しておきましょう。

個人事業主の節税に活用したいサポート

個人事業主は自ら納める税金を計算して申告・納付をする必要があります。そのため、個人事業主は日々の売上の把握やコスト管理、売掛買掛管理などの経理業務が発生します。しかし、仕訳作業は煩雑で面倒です。そんな煩雑な経理業務を少しでも楽にしてくれるサポートをご紹介します。

会計ソフト

確定申告の際に必要な帳簿の作成には簿記の専門知識が必要不可欠です。しかし、会計ソフトを使用することで簿記の専門知識がなくても、基礎的な操作方法を覚えれば簡単に帳簿付けが行えます。

また中には確定申告の際に、いくつかの事項を入力するだけで必要な書類も自動で作成してくれるソフトも。ノートやExcelなどでも帳簿付けは可能ですが、事業が忙しく帳簿付けにあまり時間を割けない個人事業主の方には会計ソフトの導入をおすすめします。

税理士

確定申告に必要な申告書、帳簿等の作成を自分で行わず、税理士に依頼する方法もあります。税金のプロが煩雑な決算処理や帳簿作成等を行ってくれるだけでなく、節税のアドバイスも行ってくれます。

税理士への依頼は委託費用がかかりますが、経理業務が苦手な方にはおすすめです。

開業サポートサービスを受けてみる

開業をサポートしてくれるサービスを利用してみるのもいいかもしれません。開業準備だけでなく、開業した後にもサポートを行うものなど、その種類は多様ですが、税金についてのサポートももちろんあります。

canaeruでは店舗経営に関わる課題解決に向けたコラムやセミナー情報を掲載し、開業した方々をサポートしています。もちろん、節税についての欠かせない情報も満載。興味のある方はぜひ一度確認してみてください。

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自分にあった節税方法で税金を安く抑えよう

ここまで個人事業主ができる節税対策をご紹介してきましたが、個人事業主それぞれの状況に応じて使える節税対策は異なってきます。自身がどの節税対策が取れるか確認し、しっかりと節税をしていきましょう。複雑だけど大切な税金の仕組みですが、全て把握するのは至難の業。今回紹介したサポートも参考に、ぜひいろいろと試してみることをおすすめします。

自分にあった節税方法で税金を安く抑えよう

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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