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【小阪裕司コラム】第166回:これからの時代に、安定や成長を望むなら

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

経営に安定をもたらすストック型の商売

 前回お伝えした「価値創造活動」と並んで、当コラムでずっとお伝えしてきたテーマに「顧客創造活動」、顧客との絆作り・つながり作りがある。
 たとえば最近の当コラムでも、町のうどん店によるつながり作りの具体例があったが、この活動は、当会では、業種を問わず、商売がいわゆるBtoB(法人対象のもの)かBtoC(個人対象のもの)かを問わず、最重要視してきた。
 町のうどん店などは「席の回転の早さが勝負」とされる業種だけに、絆作りなど、ましてそのために店頭で会話を増やしたり、イベントで盛り上がるなどもってのほかと言われそうだが、そんな業種においても絆作りが最重要なのは、自社・自店を支持する顧客を必要十分に保持するためだ。
 ワクワク系の経営論には「フロー型・ストック型」という概念がある。フロー型とは文字通り「日々お客さんが流れていく状態」の商売で、ストック型とは「日々お客さんを溜めていく状態」の商売だ。両者に優劣があるわけではないが、私が後者を強く推奨する理由は、日本が人口減少社会だから。フローは自然減していくからだ。
 そんな社会趨勢の中でもストックは経営の安定をもたらすし、急激にフローが細ったときにも有効であることは、コロナ禍の中、当コラムでお伝えした多くの事例でも明らかだ。
 また、ワクワク系では「顧客」とは自社・自店に「愛着・信頼・共感」を持った顧客のことであり、絆作り活動をしていくと自ずとそういう顧客が増えていくので、そんな顧客に囲まれて経営が安定していくことは、仕事が“気持ちのいい”ものになる。
 さらには、個々の顧客との絆作りが進むことで、自ずとそこにわれわれが「顧客コミュニティ」と呼ぶ、安定的な顧客群ができる。それを土台に新しいビジネスモデルを生み出せることも、これまで幾つかの具体例で示してきた。

商売とは顧客と共に成長するもの

 改めて読者諸氏にも考えていただきたい。これからの日本で、フロー型の商売がどれだけ有望か。フロー型の商売で生き残るとしたら、どういう競争に身を投じなければならないか。
 もちろんストック型の商売は、日本のみならず、世界を相手にしたときにも有効だ。「守り」と同時に「攻め」、つまり成長を目指すときにもストックだ。それは、顧客と共に成長するという、商売本来の姿なのである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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