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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
休みを増やし、営業時間を少なくした結果、売り上げが上がる
師走もたけなわ。忘年会シーズンゆえ、特に飲食店経営者は忙しくされていることだろう。飲食店は私が主宰するワクワク系マーケティング実践会にも多い業種の一つだが、今回は会員のある飲食店からの報告をご紹介したい。
20年ほど前のこと。同店は現在の場所で、沖縄料理店と居酒屋を営んでいた。当時、沖縄ブームで沖縄料理店は大人気。深夜まで満席の状態が続いていたと言うが、その頃、12月の売り上げが2店舗合わせておよそ560万円となり、過去最高を記録した。その後その記録は破られることなく、店主も19年間、「またあの当時くらいの売上にならないかなぁ」と思っていたという。
とはいえ彼も、「それはバブルの夢みたいなもので、もう2度とない」とも思っていた。また当時は彼と正社員が4人、アルバイトが3人の8人体制で深夜2時までの営業。朝までの営業もしばしばあり、休みも定休日だけで毎日クタクタになるまで働いていた、そんな中での記録だった。
その後売上はどんどん落ちていき、それに伴いスタッフも減り、当会に入会した頃には、店主と奥さまにアルバイトを加えた3・5人態勢になっていた。その頃を店主は、「経費を削って休みをできるだけ少なくし、できるだけ長く働く。それが僕のできることでした」と振り返るが、体力の限界を感じ、将来に不安を感じていたと言う。
その後、顧客増、客単価増に伴い売上は上がり、休みを増やし、営業時間を少なくしていきながらも、昨年の12月には、ついに「バブルの夢」だった当時の売上を軽く超える、2店舗で700万円を達成した。しかも、店主と奥さま、アルバイト2名の4人体制での達成、当時の半分の人数での記録超えだ。この体制も「無理をして削っているのではなく、最終入店時間を20時半としたことで、21時過ぎには、僕がホールを回ってお客さんとお話しできる状態」とのこと。心身の余裕が次の“ワクワク”の提供に繋がる
彼が証明してくれたことは、営業時間を短くし、無理をしなくても収益は上げられるということだ。コロナ後、飲食店に客が戻らないと言われる今日でも。そうなることで、心身ともに余裕も生まれ、それがまたお客さんに次の〝ワクワク〟を提供できることにつながる。飲食店に限ったことではないが、来年に向け大切なことは、自社・自店をこの循環に乗せることだ。
師走真っ只中の全国の飲食店オーナーに伝えたい。あなたたちのおかげで、私たちには心豊かなひとときがある。これからも元気に商売を続けてもらいたい。この記事の執筆
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
小阪裕司
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。
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