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【小阪裕司コラム】第143回:「特別な成果」はなぜ生まれるか

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

厳しい環境下でも顧客数は増やすことができる

 先週、先々週と、お客さんを「顧客化」することが業績を底堅く上げていくお話をした。その具体的な例として、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のある化粧品専門店による、3ヵ年の取り組み内容とその結果をご紹介した。そして、やるべきことを地道にやることが、結果的に着実な成果を手にすることになることも。
 実はこの報告、今からおよそ18年前にいただいたものだ。その後の18年間も「やるべきこと」を地道にやり続けた同店は今どうなっているか。
 顧客数はほぼ右肩上がり。18年前の報告時に約2000人だった顧客数は、今では約3900人とほぼ倍になっている。ちなみに同店における「顧客数」とは「リピートし続けてくれているお客さん」のこと。業種が化粧品店であり、化粧品が消耗品であるだけに、ここで言う「顧客数」が売上に直結することは分かるだろう。実際、売上自体も顧客数の増加に完全に一致する形で右肩上がりに。しかも、顧客の年間購入額も上がっているので、顧客数以上に売上は上昇してきた。
 近年のコロナ禍の際には、売上もさすがに減少したが、それでも、たったの4%減。コロナでショッピングセンター自体の営業が制限される中、驚くべき数字と言える。そして、2023年にはなんと、顧客数が一気に568人も増え、今日の数字となっている。
 これがいかにすごいことかは、同店の立地を考えれば、より明白になる。同店が入っているショッピングセンターは築30年ほどで、お世辞にも新しいとは言えない。人口減により集客力も年々減少しており、今では空き店舗も目立つ。ショッピングセンター内の店舗はどうしても、そのショッピングセンターの集客力に左右されるが、その中で20年以上にわたって顧客数を増やし、売上も増やしている同店が、いかに特別かが分かる。
 さらに言えば、ここ30年ほどで化粧品専門店は激減している。業界団体の会員数は1995年に1万6310店だったのが、2021年には3695店と、実に4分の1以下になっているとのこと。こうした環境下での成果なのである。

「特別な手立て」はない。やるべきことをやり続けるだけ

 しかしこの「特別な成果」は、「特別な手立て」によるものではない。店主も言う。「たいしたことは何もやっていません。コツコツと地味なことを、ひたすらやっているだけです」。結局は、奇手奇策を狙わず、やるべきことをやり続けること。商売において、それに勝るものはないのである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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